1 / 1
幽霊に取り憑かれたけど強かった
しおりを挟む
ダンジョンの深部で、ゆうりは一人、剣を握りしめていた。仲間は逃げた。いや、逃げさせた。
ここには、ボス――ダイチーがいる。そして、問題はもう一つ。ゆうりの体に“何か”が入り込んでいた。
「……お前、まだ私を受け入れていないのか?」
頭の中に響く女の声。
それは幽霊だった。三日前、ゆうりが封印された鏡に触れたときに取り憑いてきた謎の存在。
「勝手に入ってきたのはそっちだろ……!」
「だが、強さが欲しいのだろう?」
幽霊――名を名乗らない彼女は、異常なほどの力を持っていた。
戦闘になると、まるでゆうりの体を借りて戦うかのように力を発揮し、魔物を瞬時に屠ってきた。
「お前が力を貸すのは、私の体を乗っ取るためか?」
「違う。ただ、あのダイチーは私の仇だ。奴を倒すまで……私も、お前も、止まれない」
⸻
ダイチーは、巨大な鬼のような姿をしていた。炎の棍棒を振り回し、咆哮一つで地面が揺れる。
通常の冒険者なら瞬殺される相手だ。
だが、ゆうりの中の幽霊がささやく。
「心を委ねろ、力は貸す。だが、魂までは渡さなくていい。ただ――共に戦え」
ゆうりは、ふっと息を吐いた。そして目を閉じ――開けたとき、瞳は薄紫に染まっていた。
「……行くぞ!」
一歩、ダイチーの懐に飛び込む。
棍棒が振り下ろされる瞬間、それを紙一重で避け、ゆうりの剣が輝いた。
それは斬撃ではなく、まるで光の奔流。
「封印・断界の刃!」
幽霊の記憶と力を引き出した技が、ダイチーを真っ二つに切り裂いた。
炎の鬼が、静かに崩れ落ちる。
⸻
戦いが終わり、ダンジョンに静寂が戻る。
「……ありがとう。お前の力がなかったら、勝てなかった」
「ふふ……礼は不要。これで、私も成仏できるかもしれない」
「え?」
「ダイチーは、私の命を奪った魔物だったの。やっと……終わったのね」
ゆうりの中から、温かい光がふわりと抜けていく。
「最後に……一つだけ伝えたい。お前のような魂に触れられて、私は――嬉しかった」
光は消え、声ももう聞こえなかった。
⸻
ダンジョンの外。仲間たちが心配そうに待っていた。
「ゆうり! 生きてたのか!」
「……ああ。ちょっと、取り憑かれてただけ」
「取り憑かれて!? 大丈夫なのか?」
ゆうりは、空を見上げて微笑んだ。
「うん、大丈夫。幽霊に取り憑かれたけど……強かったからな」
ここには、ボス――ダイチーがいる。そして、問題はもう一つ。ゆうりの体に“何か”が入り込んでいた。
「……お前、まだ私を受け入れていないのか?」
頭の中に響く女の声。
それは幽霊だった。三日前、ゆうりが封印された鏡に触れたときに取り憑いてきた謎の存在。
「勝手に入ってきたのはそっちだろ……!」
「だが、強さが欲しいのだろう?」
幽霊――名を名乗らない彼女は、異常なほどの力を持っていた。
戦闘になると、まるでゆうりの体を借りて戦うかのように力を発揮し、魔物を瞬時に屠ってきた。
「お前が力を貸すのは、私の体を乗っ取るためか?」
「違う。ただ、あのダイチーは私の仇だ。奴を倒すまで……私も、お前も、止まれない」
⸻
ダイチーは、巨大な鬼のような姿をしていた。炎の棍棒を振り回し、咆哮一つで地面が揺れる。
通常の冒険者なら瞬殺される相手だ。
だが、ゆうりの中の幽霊がささやく。
「心を委ねろ、力は貸す。だが、魂までは渡さなくていい。ただ――共に戦え」
ゆうりは、ふっと息を吐いた。そして目を閉じ――開けたとき、瞳は薄紫に染まっていた。
「……行くぞ!」
一歩、ダイチーの懐に飛び込む。
棍棒が振り下ろされる瞬間、それを紙一重で避け、ゆうりの剣が輝いた。
それは斬撃ではなく、まるで光の奔流。
「封印・断界の刃!」
幽霊の記憶と力を引き出した技が、ダイチーを真っ二つに切り裂いた。
炎の鬼が、静かに崩れ落ちる。
⸻
戦いが終わり、ダンジョンに静寂が戻る。
「……ありがとう。お前の力がなかったら、勝てなかった」
「ふふ……礼は不要。これで、私も成仏できるかもしれない」
「え?」
「ダイチーは、私の命を奪った魔物だったの。やっと……終わったのね」
ゆうりの中から、温かい光がふわりと抜けていく。
「最後に……一つだけ伝えたい。お前のような魂に触れられて、私は――嬉しかった」
光は消え、声ももう聞こえなかった。
⸻
ダンジョンの外。仲間たちが心配そうに待っていた。
「ゆうり! 生きてたのか!」
「……ああ。ちょっと、取り憑かれてただけ」
「取り憑かれて!? 大丈夫なのか?」
ゆうりは、空を見上げて微笑んだ。
「うん、大丈夫。幽霊に取り憑かれたけど……強かったからな」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる