最恐 百物語

１３話目 『わたし』たちは正しい」

私の中には、私以外に3人の“誰か”がいる。
初めて気づいたのは、小学校の時。
目を覚ますと、知らない場所にいたり、制服が泥だらけになっていたり。

でも、誰も信じてくれなかった。

病院の先生は「解離性同一性障害」と言った。
“多重人格”とも呼ばれるらしい。

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私以外の3人を紹介するね。

■ リナ
最初に出てきた女の子。無感情だけど、私を守ってくれる。
「嫌なやつは、いなくなればいい」とよく言う。

■ カケル
男の子の人格。暴力的で、言葉が汚い。
ときどき、腕に切り傷を残していくのは多分彼。

■ ママ
大人の女性の人格。優しくて、いつも「わたしが代わってあげるね」と言ってくれる。
学校にもたまに来て、先生と話しているらしい。

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この前、クラスの女子に悪口を言われた。
泣きながら家に帰ったら、気を失って、気づけば翌朝。

ニュースで言っていた。

「女子中学生が、全身を切り刻まれ、公園で発見されました。身元は――」

私は泣いた。怖くて、震えて、でも……

鏡を見ると、首にリボンが巻かれていた。
見覚えのある色――昨日、あの子がつけていたリボンだ。

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でも、大丈夫。
ママが笑ってこう言ったの。

「あなたは悪くないのよ。家族があなたを守ってるだけ」

……そう、私たちは家族。
わたしと、リナと、カケルと、ママ。
ちゃんと、役割分担があるの。

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次はね、先生。
昨日、リナが言ってた。

「わたしを変な目で見た。消した方がいい」

きっと、カケルが“やる”。
ママがうまく処理してくれる。
私は……明日の朝も、何も知らない顔をして、学校へ行くだけ。