強制的魔王

ほのぼのる500

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強化1

14話

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疲れた。
やばい、またふらふらしてきた。
落ちないように気を付けないと。

「はぁ~、疲れた。しんどい。魔石はまだあるのか?」

「多分。でもあと少しだと思う」

ピコン。
ピコン。

「「ん?」」

この音は成長した時の音だったな。
はぁ~今、確認するのは無理だな。
後だ。
とっとと、魔石の回収を終らせよう。

「後はこの周辺だけだな?」

「うん」

俺もアルフェもふらふらだね。
なんで、こんなに頑張っているんだ?
休みたい。

「やった~! 最後!」

アルフェの言葉に最後の力を振り絞る。
最後の3個は俺が1個、アルフェが2個を持って玄関までふらふら移動する。

ピコン。
ピコン。

あっ、また鳴った。
もしかして限界まで動いたら成長するの?
もしそうなら何回ふらふらになればいいんだろう。
……考えるのは止めよう。
なるようにしかならない。
カラン。

「終わったよな?」

「うん。終わった~」

これが魔石だったらだけど。
でも落ちてる物はこれしかなかったし、大丈夫でしょ。

「これを部屋の中にもっていかないと駄目なのか……」

そうだった。
ここに置いていてもどうにもならないんだった。
……無理!

「疲れだ~」

バサバサと地面に降りたち、壁に寄り掛かる。
もう動きたくない。
すっ。

「えっ?」

もたれかかっていた壁が消える。
そのままコロンと後ろに転がると、ぱっと視界が明るくなる。
どうやら玄関にもたれかかったらしい。

「魔石を確認しました! 吸収します」

「えっ?」

「何?」

女性の機械声が何かを言ったが、疲れて呆然としていたため聞き取れなかった。
ただ、何か吸収と言っていた気がする。
何を吸収するんだ?
アルフェに視線を向けるも、蝙蝠。
表情が読めない。
残念だ。

「何か起こるのか?」

「さぁ、分からないけど休憩させてほしいよ~」

とりあえず、中に入って確認しようと体を動かそうとすると、積みあがった魔石がカタカタと動き出す。

「なっ、なに?」

えっ、もしかして敵が蘇ったりするの?
ぷるぷる震える羽を何とか動かして体を空中に浮かせる。
……駄目だ、落ちる。

「アルフェ、大丈夫か?」

ふらふらの体で浮いたアルフェはすくに落ちた。
どう見ても飛べる状態ではない。
近づいて様子を見ようとするが、俺も動きづらい。
そうとう疲れているようだ。

「はぁ、ようやく来れた」

「あたしたちボロボロだね」

「そうだな」

カタカタ、カタカタ。

「あっ」

ラルグの驚いた声に視線を追うと、拾ってきた魔石が1つ1つ光って建物の中に飛んで行く。

「どうなってるの?」

「さっき、吸収とか聞こえたからそれか?」

なるほど。
見に行きたいけど……。

「動ける?」

「動けると思うか?」

私の質問に、疲れた声で答えるラルグ。
まぁ、無理だよね。
その間にも次々と魔石は光、そして飛んで行ってしまう。
何が起こっているのを確認したいが、動けないし諦めしかないよね。

「あれ、魔石だったな」

「そうだね」

「まぁ、それは良かったよな」

「うん。それはね」

「見に行くのは、諦めるか」

「そうだね。どうせ動けないし」

これで何があっても仕方ない。
ん?
体がおかしい?
何だ、全身に痛みが……うっ。

「ラルグ。どうしたの?」

隣に来たラルグの様子がおかしい。
体全体をバタバタ動かして、苦しそうだ。

「ラルグ?」

痛い。
何だ、体がっ!

「ラル……えっ!」

目の前のラルグが淡い光に包まれていく。
全体が光に包まれると赤い蛇型ではなく、蛇の姿が見えた。
全体的に黒い鱗に覆われた蛇の姿に、蛇が苦手は私は無意識に後ろに下がってしまう。
あれ?
ピシッ、ピシッ、ピシッ、ピシッ。

黒い鱗にヒビが入っていくのが見える。

「いやいや、何?」

「いったいっ! ぐっ!」

なんだこれ。
何が起こってるんだ?
体中が痛い。
引き裂かれそうだ。
体が痛みでのたうち回るが、意味が無いのか痛みが増す。
次の瞬間、ずるりと体の周りの何かが剥がれていくが分かった。

「脱皮!」

アルフェの声が耳に届く。
はっ?
だっぴって?
あっ、もしかして脱皮?
まさか俺、脱皮したのか?
パコン。

「はぁ、はぁ、はぁ、なんなんだ」

体を確認しながら尻尾まで見ていくと、尻尾の先に何かが落ちているのが見えた。
あれは俺から剥がれた皮?
本当に脱皮したのか、俺。

「ラルグ、大丈夫?」

「蛇の成長って魔王と何か関係あるのか?」

「あ~、魔王に近づいたとか?」

「いや、俺たち魔王として生れ落ちだんだよな」

魔王に近づくのはおかしいだろう。
既に魔王のはず……見えないが。

「まったく魔王感がないけどね。蛇と蝙蝠の異世界物語の方がしっくりきそう」

「ぷっ、確かにそうだな」

はぁ~それにしても疲れた。
ばたんと体を地面に横たえる。
まさか脱皮するとか……元人間だから違和感しかないな。

「大丈夫?」

「何とか、体の痛みは落ち着いた」

体をぐっと起き上がらせる。
脱皮する前より体は軽いな。

「ラルグ、少し大きくなったみたい。それに何だろう色が濃くなった」

さっきまで見えていたラルグの姿は、今は見えない。
正直、見えないことにほっとした。
蛇、怖い!
今は、元の赤い蛇型だ。
でも、どうも大きくなっている気がするし、それに赤い色が濃くなっている気がする。

「大きく? 色が濃い?」

どういう意味だ?
いや、大きくというは分かる。
蛇は脱皮すると大きくなるからな。
色?
色とはなんだ?

「さっき話したでしょ? ラルグの事は赤い蛇型、正確に言えば赤色で細長にモノに見えるんだけどね。その見えている色が濃くなってるの」

「そうなのか。色が」

体が大きくなったという事から強くなったと考えてもいいのか?
いや、ステータスを見てみないと分からないな。
期待して裏切られるゲームだからな、これ。

「そういえば、いつの間にか魔石が無くなってるね」

アルフェの言葉に、魔石のあった場所を見る。
何もない。

「ラルグ、体は動く? そろそろ飛べそうだから見に行きたいんだけど、1人だと怖い」

「大丈夫だ。一緒に戻ろう」

良かった。
何が起こるか分からないから怖いんだよね。

ラルグが少し先を進むのを見ながら飛んで部屋の中に戻る。

「何も無いな」

「そうだね」

部屋の中に飛んでいた魔石もないな。
ラルグが言ったように吸収されたのかな?
でも、いったい何に吸収されたんだろう?
止まり木に摑まり、周辺を見る。

「無いな」

「うん」

とりあえずステータスをを調べるか。

「ステータスオープン」

ウィン。

魔王名:ラルグ・デグ・シャルマス (1.2)
世界 :ゼブリタブリ
国  :漆黒の国(闇魔法10%アップ)

魔法:闇魔法(2)、毒攻撃(1)
スキル:毒耐性(1)、暗視、夜目(1.2)、嗅覚強化(1)、身体強化(1.1)、超音波攻撃耐性(1)、 強打(1)

そう言えば、脱皮した時に聞いたことが無い音がした気がする。
あれは何が成長する音だったんだ?

「身体強化? いつそんなスキルを使ったんだ?」

他は、ん?
魔王の名前のよこの数字が1.2に変わっている。
これは何のレベルなんだろう?
魔王名:ラルグ・デグ・シャルマス (1.2)?
もしかして魔王として成長したって事か?

「ラルグ、どうしたの?」

「あ~、魔王名の隣の数字が1から1.2に代わってる」

「それは魔王として成長したという事だよね」

アルフェもそう考えるって事は正解か?

「たぶん?」

なんで疑問系なんだろう?
間違いないと思うけどな。
そう言えば私も成長しているはずだよね?

「ステータスオープン」

魔王名:アルフェ・ラ・マッキ(1)
世界 :ゼブリタブリ
国  :暗黒の国(闇魔法15%アップ *特殊条件あり)

魔法:闇魔法(2)、飛行魔法(1.3)、超音波攻撃(1.1)
スキル:暗視、夜目(1)、探知能力(1.1)、魔力探知(1)

「ごめん、ラルグ。確認して?」

「あぁ、飛行魔法が1.3に成長して、探知能力が1.1に成長してるみたいだ」

微妙だけど、成長しないよりはいいよね。

「吸収した魔石の数は63個です! さぁ、どうする? 【魔物を出現させる5個】【光と影を産む150個】」

「ヴァンが溜まりました。世界の配置を決めよう!」

もう少し休憩をさせてください。
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