勇者になんかなりたくないけど異世界では勇者だった!

オレオ

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ルセラ編

19話 異世界なんかで敵になんてなりたくないけど

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「全員行くぞー!」

 アイズ達は神王教にさらわれた十夜を助けるため神王教の大聖堂でアポロンとアルテミスと交戦中だった。

「アポロン兄様は本当に強いですね」

(あぁなんてカッコイイんでしょうかアポロン兄様大好きですわ!)

 アルテミスがほお赤く染め上げアポロンに見とれる。

「アルテミスには負けるよ」 

「いえ、そんな事はありません。私はアポロン兄様に憧れていたのですから、私よりアポロン兄様の方が強いに決まってます」

 心の声を漏らさぬよう冷静に答えた。

「ありがとうアルテミス」

「なんですかあの2人。兄妹のくせにイチャイチャしちゃって!」

 アポロンとアルテミスの様子を見たレイが少し怒ったように言った。

「全員態勢を整えろ!」

 ゴウテツが皆に指示を出す。
 アポロンとアルテミスの攻撃で負傷者が数人出たものの軽傷のため連携がが崩れる事はなかった。

「アイズの兄ちゃん。右端にある階段から地下に移動できる。ここは足止めしとくから2人は先に行け」

 ゴウテツがアイズとレイを守り隙を見て先に進ませてくれた。

「ゴウテツのおっさん、すまねー!」

「ありがとうございますゴウテツさん!」

 2人は右端にある階段へ急いだ。

「行かせませんわ!」

 アルテミスが追撃の矢を放つ。

「させるかー!」

「ゴウテツさん!」

 ゴウテツが斧でアイズとレイを守った。

「早く行け!」

「すまん!」

 ゴウテツが身を挺してレイとアイズを守り、二人は無事に階段を降りた。

「お前らの相手はこの俺様達だ!」

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

「もうすぐ地下に着くからそこまで全力で走れ!」

「アイズさんも頑張って走ってください!」

「おうよ!」

 アイズ達は十夜がいると思われる地下室に急いだ。

「ついたぜ」

「...この扉の先にダーリンはいるのでしょうか...」

「大丈夫だ十夜は必ずここにいる」

 アイズとレイは鉄の白い扉を開けようと手をかけた。

「「いっせーのーで」」

 重く堅い扉を同時に開ける。
 そして光が二人の足下を照らす。

「地下にこんな部屋があるなんてな」

「驚きです」

 アイズとレイは全て黄金でできた部屋に驚き、開いた口が塞がらなかった。

「驚きましたか?」

「誰だ!」

 声のした方を瞬時に見る。
 そこにいたのは3人の白いローブの男達だった。

「俺様は第八の子ポセイドンだ!」

「私は第一の子クロノスです」

「あなたですね!ダーリンをさらったのは」

『クロノス』、手紙に書かれた名前と一致した。

「確かに私は十夜くんを連れ去りましたがそれがなにか?」

 クロノスは不敵な笑みを浮かべながら2人を挑発した。

「てめぇ!」

「ストップストップ!まだ1人自己紹介が終わっていませんよ」

 クロノスがアイズの動きを止める。
 そして仮面をつけた三人目の男が言葉を発し始める。

「我は神王教第十の子ヘラクレス」

(さっきの2人といい今まで戦って来た奴らとは殺気が違う。これが神王教か)

 溢れ出る殺気に一歩足を引き狼狽えてしまったアイズは冷や汗をかいていた。

「クロノス、あの2人殺してもいいのか?」

 筋骨隆々の男がクロノスに問う。

「はいお好きにどうぞ」

「ふはははぁ!」

 男が天に手を掲げる。

「こい!トライデント!」

 男が叫ぶと男の手に光が集まって1つの槍を生成する。

「なんですかあの武器、見たことありません」

「そりゃこの武器は世界に1つの俺だけの武器だからな」

「ポセイドンやるなら早くしてくださいね」

「わかってるよ...じゃ死んでくれや!」

 男は片足を大きく前に出し槍を投げるかのような態勢になった。

「オーシャンスティング!」

 凄まじい力で青白く光る槍をアイズに向けて投げる。

「うぉぉぉぉぉぉ!」

 辛うじて斧で接触は防いだがトライデントの速度は落ちることなくアイズを壁の方へと押し込む。

「うはっ!」

 なんとかトライデントの攻撃を防ぐ。
 そしてアイズが弾いたトライデントはポセイドンの方に戻っていく。

「これを弾き飛ばすなんてな」

「腕がすげぇ痛かったけどな」

「アイズさん!」

 アイズのもとにレイが駆け寄る。

「アイズさん今回復します。ヒール」

「サンキューレイちゃん」

(またさっきのが来たら受け止められる気がしないな。どうすっかな)

 アイズが考えを巡らす。

「休む時間はないぜー!」

 そしてポセイドンはすぐさま二発目を投げる。

「やばい...!」

 アイズとっさには腕を前に出した。

「フォトンブレイク!」

 その時、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。

「大丈夫ですかアイズくん」

「...お前は!」

 アイズ達を助けてくれたのは神王教第五の子メティスだった。

「遅れてすいません」

「...なっ!お前、裏切るのか!」

「裏切るも何も、私はもともとこちら側でしたので」

「大丈夫っすかー!」

「レイ大丈夫ですかです」

 メティスの後にバステトとヒュプノスが駆けつけた。

「2人ともありがとうございます」

 レイは目に涙を浮かべながら安堵の笑みを浮かべた。

「アイズくんあのトライデントは威力とスピードは凄まじいですが一直線にしか飛んできません。避けに徹っしてください。」

「ありがとよ」

 アイズは立ち上がり再び斧をにぎる。

「何相手に教えてんだ!」

「待ちなさいポセイドン」

 怒りをあらわにしたポセイドンをクロノスが止める。

「次はヘラクレス、君の番です」

「わかりました」

「第十の子が来た事は私たちも知っていましたが仮面で顔が見えないですね」

 少し考え込むような形でメティスが言った。

「やりなさいヘラクレス」

「はい」

 その瞬間、瞬きをしたまさに一瞬の間に音も立てずヘラクレス姿を消した。

「いつのまに...!」

 ヘラクレスは一瞬の内にメティスの懐に入り攻撃を仕掛ける。

「ぐはっ!」

 ヘラクレスは10m以上離れた所から一瞬でメティスの腹に蹴りをいれた。

「「メティス!」」

 アイズ達が今起こった出来事を理解できずただ飛ばされるメティスを眺めることしかできなかった。

「ぐっ」

 メティスは口から血を吐きその場に倒れ込む。

「今すぐ回復を」

「させません」

 そしてヘラクレスはまた姿を消す。

「レイちゃん!」

「やらせないっす!」

 ヒュプノスがヘラクレスの攻撃を防ぐ。

「今のうちに回復を!」

「...はいっ!」

 あっけにとられるレイにヒュプノスが叫ぶ。

「てめぇ!レイちゃんに何しようとした!」

 アイズがヘラクレスに向かって斧を振った。

「お前!その武器は!」


 ダーインスレイブ。
 それは本来十夜が持つべき武器。
 それをヘラクレスが持っていた。

「...もしかしてお前は...」

 それを見たアイズが最悪の結論にいたる。

「...十夜なのか...」

「...うそ...ダーリンが...」

 パチパチパチ。
 手を叩きながらクロノスがアイズ達に歩み寄る。

「その通り...この男こそが貴方達の求める――」

 クロノスがゆっくりと仮面を外した。

「十夜くんです!」

 その瞳に光はなく顔からも感情が読み取れない。
 まさに『無』

「十夜が..,裏切ったのか...」

 アイズが足から崩れ落ち下を向く。

「ノンノンノンです。十夜くんは私が記憶を消したのです」

「そんな事ができるはずがない!」

「いや、消したと言うよりその時の時間を切り離したという方がしっくりきますね」

(そうかクロノスは時を操る能力の持ち主。
 時にさえ関係していればそういった桁外れの能力が使えるのか)

 メティスは自分の中で辻褄を合わせ結論にいたった。

「クロノス!十夜きゅんの記憶を返してくださいっす!」

「じゅんじゅんの記憶を消した罪としてあなたには死んでもらいます!」

「やれるものならどうぞ」

 そして全員が武器を構えた。
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