49日間の恋〜別れは突然に〜

ムロヒ

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9話

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それから私は幽霊と過ごす
このままずっと一緒にいたい
こんな事思ったのは生まれて初めてだった

【朝8時】

“チリリリリ”

「おはよーアユムくん朝だよ!起きて仕事?」

「お、お、おはよう、うん仕事」

「だったら早く起きてよ」

「何でそんなに急がすんだよ」

ミクが腕を引っ張る勢い余って倒れ込んだ時ミクの胸を触ってしまう

「きゃっ!重い」

「ゆ、ゆ幽霊って触れられるんだ…」

「あっ…」

「あ!ごめん…」

「か…か動けない…ちょっとどいて私トイレ」

「え?トイレ?」


「胸…触られた緊張したぁ…」
あれが金縛りってやつね…動けなかった…

私は幽霊に覆い被され金縛りで身動きできない経験をした
しかも相手が幽霊だとしても胸を触られるなんて恥ずかしい
やっぱり幽霊に異変が起きていた
いや…私に異変が起きている可能性も…
最初は見えていなかったのに私の部屋に元々置いてある物が見えはじめていた
私はいつも誤魔化していた言えないあなたが幽霊だなんて

洗面台にある“香水瓶・コスメ”が置かれている

「いつの間に?昨日はこんなの置いてなかったけど昨日はクッションに今日は女性用のコスメ…」

「うわぁめっちゃ怪しんでる…」

幽霊に異変が起きてるのか幽霊に触られる私に異変が起きてるのか分からない…

また私は不動産で話をしに行った

「お願いです教えて下さい」

「だからそれは…それにもう来ないんじゃ?」

「クレームとかではないんです単純に知りたいんです
ちょっとした事で良いので以前私の部屋に住んでたとかでも良いんです」

「知ってどうするんですか?」

「変な事いいますけど単純にいるんです生きてる人と変わらないんです頭おかしいって思いますよね?」

「いやそういう訳では」

「何ですかその嫌そうな顔!すいませんもう良いですご迷惑おかけしました」

私は早々と店内を出るその勢いでコケてしまった

「あ?コケた!」

入口でちょっとした段差でミクが転倒する瞬間を見た

「ハハ!鈍臭いやつ!ん?」

その時ミクがしていたサングラスが落ちる
目の前にあるサングラスに気づかず手探りで探す

「もう最悪眩しくて何も見えないどこなのサングラス」

「え!?何で?見えてない?目の前にあるサングラスが見えてないのか?」

四つん這いになり必死でサングラスを探す

「何で?そもそも幽霊がまた不動産に?」

この時も幽霊が私の事を見ていたなんて気づかなかった…

その日の夜

「私カレー好きなんだ一緒に食べよ!」

「…」

「ん?アユムくん?」

「…」

「ずっと黙ってどうしたの?ごめんカレー嫌いだった?」

「ミクこっち隣おいで…」

幽霊が私を横に座らせた私は頭を撫でられる

「ミクに触れる…こんな触れたら生きてる人と変わらないじゃん」

「何それ…」

ミクはその言葉に切ない気持ちになり思わず涙を流す
そして幽霊は私の頬に触れ抱きしめた

冷たい…あなたが幽霊だと気づいたらあなたは消えちゃうの?

「私で良ければいっぱい抱きしめて良いよ触れ合うのって良いことでしょ?」

「ああ、そうだな」

「一回五千円ね!」

「ミク…」

「ん?」

「五千円は高すぎるよ三千円でお願い」

「急に真面目だね…今日本当どうしたの?」

「いや…自分でも良く分からない
しばらくこうしていたいそれにミクの事もっとちゃんと知りたいと思って」

「え?」
私も知りたいよ…でも…

「ミクは今まで1人で抱えてきたものとか1人で過ごしてきた時間とかそういうのが分かれば俺にも出来る事があるんじゃないかって」

「本当ヒロくんってやさしいね!じゃわがまま言っても良い?」

「わがまま?」

「私デートがしてみたい」

「デートっていやでも俺もデートした事無いし」

「2人で出かけてみたい」

「いいけど相手俺で良いの?」

「うん!連れて行ってくれる?」

「ああ良いよ!」

「ありがと!」

私はつい幽霊とデートする約束をした
このまま一緒に過ごしていいのか…
打ち明けるべきなのかこの状況で私ができる事ってあるのかな

【次の日の朝】

「おはよーアユムくん」

「ん、うん、おはよ!」

「今日のデート夜にしない?」

「何で?雨でも降ってる?」

「ううん…ただ夜がいい!」

「夜だとデートコースほとんどお店閉まってるよ」

「そ、だよねやっぱり無理だよ」

「幽霊ってやっぱり夜行性なの?」

「…」

「どうした?泣いてるの?」

「泣いてなんかない…」

「分かった夜にデートしよう」

「うん…」

「朝ごはん作ってあげる」

「やった!」

「何食べたい?」

「なんでもいい!」

「それ!1番困るやつ」

「そういえばいつも昼間サングラスしてるけどどうして?」

「それもっと困るやつ」

そして
2人は夜になるまで家の中で過ごす

映画を見て泣いた

バラエティーを見て笑った

こんな癒される休日は今までになかった

私がこんなにも楽しく過ごせてる笑ったり泣いたりこのままずっとこうしていたいずっとあなたの側に居たいと思えてくる

夜になると
私はいつも行っている公園に幽霊を連れて来た

2人は公園を歩く

「夜の公園もイイよね!」

私は複雑な気持ちだった…でも私は彼に笑みを見せた
今が楽しければそれでいい…今はこのまま…
私はそう思っていた

「あのさ…手繋ごうか」

「うん!」

「良いなこうやって恋人みたいに手を繋ぐって初めてだけど凄く良いな」

その言葉にミクは泣いてしまう

そんな事言わないで…何であなたは死んでしまったの?どうして私に優しくしてくれるの…

「泣いてるの?ごめん嫌だった?」

「泣いてなんかない!でも凄く嬉しい事言うね!アユムくんの手冷たい」

本当冷たい…

「そう?ミクの手が暖かすぎなんだよ!」

「さっきレンジでチンしてきたから」

「はは!なんだよそれ!」

「昔あだ名が湯たんぽって言われてたんだ!」

私はその日から毎日のように決まって夜にデートをした

その日から毎日のように決まって夜にデートをした

私は悩んだこのままずっと一緒にいて良いのか
私は2人で過ごしたいずっとこのままでいたい
幽霊に本当の事を言うべきか…
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