17 / 35
17.一歩は譲るが、それ以上は退かん!
しおりを挟む
「教えてください。本当のことを話させる方法を。」
アシュレー様は相変わらずの優雅さで美しく笑う。
未来の王妃だから忙しいだろうに、私の訪問を予測して時間を空けていてくれたみたいだ。
「私にできることでしたら力になりますわ。
クー様には大変感謝しております。女の身では自由に外を歩くことも困難ですもの…」
小さくため息をつき、チラッと視線が私を捉える。
「本心を口に出させる方法でしたわね…」
「そ、その前に、アシュレー様も…女性ということに不満がありますか?」
「その口ぶりだと、クー様には不満があるように聞こえますね。
確かにこの国では、女性は教育を受ける権利もありませんもの。女性でも知識を持つのに十分な素質を持ってる方はたくさんいるのに。」
女は教育を受けない。そんな常識に不満を持っていても、この人は私を馬鹿にしない。
「女性に権利が無いのは教育だけじゃ無いですよね。仕事も選べない、給金も自分にはもらえない。結婚だって、誰かが決める。」
ピエールは『女の幸せは男が決める』と言っていた。その幸せって何?
「男性を尊重する文化のせいですわね。その歴史は遥か昔から……心の奥深くまで根付いてしまっているので、民衆の意識をすぐに変えることは不可能ですわ。」
この国のほぼトップが言うんだ、間違いない。制度を変えても意識下に浸透するまではかなり時間がかかるだろう。
私が生きている間は、ずっと女性に自由は無いままかな。
思わず小さなため息が出る。
「でもね」
フフと、アシュレー様がいたずら心を秘めた笑いをする。
「私は一歩を男性の誇りの為に譲りますが、それ以上は引きませんわ。」
にっこりと、アシュレー様が言う。
権利として自由が認められてなくても、それで諦めてない。
この人の心は自由だ。
だったら、女だからって諦めなくても、私だっていいんだ。
「凄いですね、こんな話をする気は無かったのに。」
今日、私がキュレット様の婚約者と会ってきたことを知っているのに、アシュレー様は聞いてこない。
ウィルが爆発の事を知っていたから何があったか知っているはず。そんな情報網を持っているアシュレー様のことだ、ピエールに子供がいることくらい調べがついているに決まってる。
でもその情報でアシュレー様自身が動け無いから私を動かしていて。
だから私もピエールと何を話したかなど言う気はなかった。でもすごく、誰かに相談したかった。
…私チョロすぎるかも。
「共感させて、相手に本音を言いたい気持ちにさせるんですね。
物理の定理と同じように、人を動かすのにも答えがあるということかな。」
嬉しい話を読めば嬉しく、悲しい話を聞けば悲しくなるように。
アランが新聞に書いている推理小説だって、話や状況でハラハラドキドキを意図的に創り出している。
その後いくつか人心掌握術を伝授してもらった。
さすが筆頭公爵家令嬢。この年にしてなかなかの手練である。
恐ろしい子!
アシュレー様は相変わらずの優雅さで美しく笑う。
未来の王妃だから忙しいだろうに、私の訪問を予測して時間を空けていてくれたみたいだ。
「私にできることでしたら力になりますわ。
クー様には大変感謝しております。女の身では自由に外を歩くことも困難ですもの…」
小さくため息をつき、チラッと視線が私を捉える。
「本心を口に出させる方法でしたわね…」
「そ、その前に、アシュレー様も…女性ということに不満がありますか?」
「その口ぶりだと、クー様には不満があるように聞こえますね。
確かにこの国では、女性は教育を受ける権利もありませんもの。女性でも知識を持つのに十分な素質を持ってる方はたくさんいるのに。」
女は教育を受けない。そんな常識に不満を持っていても、この人は私を馬鹿にしない。
「女性に権利が無いのは教育だけじゃ無いですよね。仕事も選べない、給金も自分にはもらえない。結婚だって、誰かが決める。」
ピエールは『女の幸せは男が決める』と言っていた。その幸せって何?
「男性を尊重する文化のせいですわね。その歴史は遥か昔から……心の奥深くまで根付いてしまっているので、民衆の意識をすぐに変えることは不可能ですわ。」
この国のほぼトップが言うんだ、間違いない。制度を変えても意識下に浸透するまではかなり時間がかかるだろう。
私が生きている間は、ずっと女性に自由は無いままかな。
思わず小さなため息が出る。
「でもね」
フフと、アシュレー様がいたずら心を秘めた笑いをする。
「私は一歩を男性の誇りの為に譲りますが、それ以上は引きませんわ。」
にっこりと、アシュレー様が言う。
権利として自由が認められてなくても、それで諦めてない。
この人の心は自由だ。
だったら、女だからって諦めなくても、私だっていいんだ。
「凄いですね、こんな話をする気は無かったのに。」
今日、私がキュレット様の婚約者と会ってきたことを知っているのに、アシュレー様は聞いてこない。
ウィルが爆発の事を知っていたから何があったか知っているはず。そんな情報網を持っているアシュレー様のことだ、ピエールに子供がいることくらい調べがついているに決まってる。
でもその情報でアシュレー様自身が動け無いから私を動かしていて。
だから私もピエールと何を話したかなど言う気はなかった。でもすごく、誰かに相談したかった。
…私チョロすぎるかも。
「共感させて、相手に本音を言いたい気持ちにさせるんですね。
物理の定理と同じように、人を動かすのにも答えがあるということかな。」
嬉しい話を読めば嬉しく、悲しい話を聞けば悲しくなるように。
アランが新聞に書いている推理小説だって、話や状況でハラハラドキドキを意図的に創り出している。
その後いくつか人心掌握術を伝授してもらった。
さすが筆頭公爵家令嬢。この年にしてなかなかの手練である。
恐ろしい子!
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる