転生の花嫁と捨てられないモノ

オジSUN

文字の大きさ
17 / 25
新章

十六話 イケメンのえくぼ

しおりを挟む
「星野さん。星野さん」

 身体が揺すられている……
 あれ? 俺は……

「姫野さん……?」
「ふふっ。もうっ、護衛として着いてきて頂いたのに、寝ていたら意味ないじゃないですか~」

 そう、いつの間にか寝ていた。
 確か、夜神くんの妹、夜神瞳ちゃんと話してて……

「あれ? 瞳ちゃんは?」

 何時ものように穏やかな微笑みを向けて来る姫野さん。
 その真隣に番いの様に寄り添う夜神くん……
 なにがあったか知らないが、随分と仲良くなったようで何よりである。
 
 ……事後った?
 まぁどうでも良いんだけど。

「何やら、星野さんの瞳に冷たいものを感じるのですが……」

 ぷくっと膨れながら、優しく身体を支えてくれる姫野さん。
 その後ろにいる落ち着き払った夜神くん。
 ……気持ち悪い。

 ぺチンっ!

「っ!」

 姫野さんの手を払ってしまった。

「ご、ごめん。でも、もうダメだろ? ソレで、瞳ちゃんは?」
「……っ! ……」

 姫野さんが何かを言いかけて辞めた事には気づいたが、敢えて突かない。
 ……終わりにする。そう決めた。
 ソレに、傲慢な話だが、姫野さんが俺以外と仲良くしている所を目にしたら、熱かった何かが冷めてしまった。
 ……もう良いだろう。

「妹は訳ありでね。人が多い所を好まないんだ。僕たちが来る前に部屋の奥に避難したんじゃないかな?」
「避難?」

 口を閉じて絶望色に染まる姫野さんの代わりに、夜神くんが答えてくれる。
 やっぱり良い奴だ。
 姫野さん彼に託したことを一ミリの後悔もない。

「ん? もしかして、お気に召したのかい? でも、瞳は……」
「ゲスな勘繰りは辞めてくれよ。そんなんじゃない。ただちょっと……」

 ただちょっと……終止、悲しそうにしていたから気になっただけ。
 俺が何かやらかしたんじゃ無いかと……
 リスティーも良く怒らせるし……

 いや、少し話しただけの女の子、気にする必要も無いか。
 それより、今は早くリスティーに会いたい。
 この胸の空く気持ちをリスティーで埋めたいって言ったら怒りそうだから……ネネにぶつけようかな?
 リスティー……

「いや、良いんだ。それより、縁談は上手く行ったみたいだね」
「ソレはお蔭さまさ」

 キラリとえくぼを作るイケメンに最早イラッともしない。
 どうでもいい。
『あの娘』が言っていた気がする。

『他人は他人。自分は自分。違うのは当たり前です』

 と、あんまり覚えてないけど、言われても無いかもしれないけど、何故かソレだけは心にしっくりとはまった。

「ソレで、これからどうするの? 俺としては――」

 帰りたい。

「――帰ります」
「「え?」」

 俺が言う前に、確固たる意思の篭った声で、姫野さんが断言。
 腕を掴まれ、

「今日はもう、帰らせて頂きます。良いですね?」
「あ、うん。構わないさ」

 強引に引っ張られる。
 そのまま部屋を出ようとしたとき……

 ギィ~

 部屋の奥へ続く扉が開き、真っ暗な暗がりから、瞳ちゃんが顔だけ出した。

「星野様……また、来てくださいますか?」
「っ! ……貴方はッ!」

 瞳ちゃんの姿を見て驚愕している姫野さんに首を傾げつつ、

「良いよ。何か用事があるなら駆け付ける。夜神くんを通せば良いし、これからは何時だって会えるよ」
「っはい! ありがとうございます……星野様」
「固いな。もっと気楽で良いよ。お兄ちゃんとか」

 お兄ちゃん。
 良い響き。

「あ、はい。ふふ……。また、お会いしましょう。お兄様」
「まだ、固いけど……」

 お兄様も良い響きだ。
 問題ない。

「わかった。またね」
「早く行きましょう。星野さん」
「あれ? 姫野さんなんか怒ってる?」
「怒ってません」
「怒ってるよね? 絶対怒ってるよね!?」
「嫉妬しているだけです!」

 嫉妬って……それ怒ってるやん。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...