【本編完結済】前世の英雄(ストーカー)が今世でも後輩(ストーカー)な件。

とかげになりたい僕

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第三部

邪魔はしないよ

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 季節は過ぎ、秋へと変わる。
 僕は資格試験や就活、卒論のテーマ決めに集中するため、コンビニのバイトを辞めた。前々からユーリも辞めてほしいとは言っていたし、ちょうどよかったのかもしれない。
 大学も始まり、一年生で講義の多いユーリは、朝から夕方までずっと学内にいる。僕はといえば、大抵ゼミ室か図書室にいるから、ユーリが会いに来ることなんてしょっちゅうだ。

「で、講義は?」
「教授が出張とかなんとかで休みだよ。ひとコマ空いちゃった」
「それで? わざわざ来たのか……」

 分厚い参考書とルーズリーフから目を上げて、肘をつき右隣に座るユーリ見る。その際、首元に見えた赤い跡がやけに目立って、僕はすぐに視線を反らした。
 昨夜つけてほしいと強請られて自分がつけたものなのに、こうして明るい中で見るとやけに恥ずかしい。やっぱり見えない場所につけるんだったと反省した。

「俺はリヒトに会いに来ただけ。邪魔はしないよ?」

 そう言いながらも、ユーリの左手は僕の太ももをゆっくりと撫で上げている。息を軽く漏らして睨みつければ、ユーリは「ん?」と何食わぬ顔で僕を見下ろしていた。

「……っ、なら、手をどけろよ」
「えー。ま、いっか」

 いつもは食い下がらないユーリが、珍しく手をどけた。それに僕は目を丸くして、席を立つユーリに「え、え?」と素っ頓狂な声を上げる。

「どうしたの、リヒト?」

 意地悪な笑みもなく、至ってユーリは普通に首を傾げている。ユーリに向かって伸ばした行き場のない手が、どうすればいいのか虚空を彷徨う。

「あ……、いや、空いた時間、どうするのかと、思って……」
「学内のカフェでも行こうかと思ったんだけど?」
「そう、なんだ」

 おずおずと、彷徨っていた手を下ろした。きつく言った手前、今さら一緒に行くなんてどの口が言えるだろうか。
 けれど、そんな僕のことをよく知っているユーリは「だから」と下ろした手を取り、僕を半ば無理やり立ち上がらせた。

「一緒に行こうよ。息抜きも兼ねてさ」
「あ、う、うん」

 荷物をすぐにまとめて鞄を肩から下げると、ユーリがぐいと僕の腰を引き寄せた。服越しとはいえユーリの熱が伝わり、僕はすぐに「ユーリ……!」と離れようとする。

「んー、ちょっとだけ」
「ちょっとって……」

 一応講義中なため、僕らの他にはほとんど学生はいないが、それでもどこから見られているかわからない。しっかりした胸板を押し返すが、がっちりと腰に手を回され、なおかつパーカーの中に手を入れ、軽く触れられては上手く力が入らない。

「ん……っ、だめ、ユーリっ」
「リヒトの身体、柔らかくてほんと好き」
「ふあっ……」

 男の身体が柔らかいわけあるか。といつも思うが、いや、ユーリと暮らすようになってから三食食べるようになったし、実は少し太ったのかもしれない。それはちょっと嫌だ。
 ユーリの手がパーカーの中からジャージへと移動する。ジャージの中に入れられた手は、さらに下着をずらし、やわやわと僕の臀部を揉んでいる。

「これ以上、は……っ」
「ふーん。でもリヒト、欲しそうな表情かお、してるよ?」

 そんなわけがない。そう訴えるように思いきり睨みつけてやったが、ユーリは明らかに支配者の顔をして、愉しそうに舌舐めずりをしている。

「駄目だって、リヒト。そんな目で見られても興奮するだけだからさ」
「何言って……んっ」

 口を塞がれ、ユーリの舌が無理やり唇を割って入ってくる。逃げるように縮こまっていた舌を絡め取られ、僕もおずおずと舌先で応える。舌の裏側、口内の上側、さらには歯列を念入りに舐め取られ、やっとユーリは口を解放してくれた。

「ちょっとって言ったけど、やっぱりシたい」
「帰るまで我慢しろよ……!」
「つまり、帰ったらぐちゃぐちゃのトロトロにされる覚悟があるってこと?」

 ユーリの欲に満ちた目が、僕を、僕だけを見つめている。だから僕は応えるように、ユーリの口に軽くだけ触れて「……いいよ」と小さく呟いた。その反応はユーリにとって意外だったのか、僕を抱き寄せる力が緩む。その隙に腕を解くようにして抜け出すと、

「ほら、カフェに行くんだろ」

と本棚の合間を縫うように、少しだけ早歩きで、ユーリより先に図書室を出た。
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