小林結城は奇妙な縁を持っている

木林 裕四郎

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迷える戦士に戦女神の祝福を

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「ぶ、武器と弾薬? 具体的にどのくらいですか?」
「オレも詳しいことは教えてもらってないけど、ヤバイ量だと思う。機動隊やSATが要るってことだから」
 予想外の情報に結城は驚愕した。遺体の在り処さえ分かれば、あとは術者を捕まえて終わりと思っていたところ、まさかの展開である。ただの人間の術者なら、たとえ荒事になっても大丈夫だったが、聞いた限りでは相手は銃火器を持っているようだ。それも相当量の。
「クキ、そのゴロツキたちはなぜそんなに大量の武器を持っていたのですか?」
「いや、ホントならこんな地方の事務所に大量の武器なんてあり得なかったんですけど、どうもその広域指定暴力団、警察のガサ入れの情報をどっかから掴んだらしくって。それで地方のこじんまりした事務所に預けてやり過ごそうとしてたらしいんですよね。中東辺りから日本の自動車部品と交換で錆だらけの銃をかなり仕入れてたって」
「錆だらけになった銃でもオイルで磨けば充分に使用可能でしたね」
「そうそう。アテナ様、詳しいですね」
「戦いの神を甘く見ないでいただけます? 古今東西の武器と戦術には通じています」
「んで日本で処理する廃材って扱いでチェックも甘かったから、気が付いたらスゴい大量に運ばれてたってわけ」
「九木刑事、もしかして術者はそれを知ってて事務所の襲撃を?」
「いや、そりゃない。ガサ入れ逃れに一箇所に集められたことは関係者以外は知らなかっただろうしな。けど武器を目的に襲撃したのは間違いない。金目のものは盗られてなかったし、怨恨でもなさそうだったし。ただ武器を詰め込めるだけ詰めて持ってったから、逮捕する時が危ないかもって話になってんだよ」
 結城は躊躇していた。早く依頼者の願いを叶えてあげたい一方で、相手は下手に突っ込むには非常に危険度が高い。今までも多少の荒事を経験してきたが、銃で武装した敵に立ち向かうのは初めてだ。
 おそらく術者は操っている遺体に武器を持たせているだろう。
 その上で、挑めるのか。
「クキ、警察はいつ頃までに事件を解決できるのですか?」
「場所が分かったから機動隊とSATを県外から呼んで、作戦を練って、気付かれないように接近して、制圧してってなったら・・・・・・最短で二日後くらいですかね」
「待てませんね。ユウキ、私たちだけで行きましょう」
 九木の解答を聞くや否や、アテナは結城に向き直り、彼の肩に手を置いた。
「ちょっ! いくらなんでもそんな無茶―」
 慌てて九木が何かを言おうとしたが、アテナは掌を彼の顔面に突きつけて制した。
「けど・・・相手は銃を持ってますよ、アテナ様」
 結城の心に迷いを感じたのか、アテナは彼の弱気を払拭するように顔を引き締めて言った。
「私たちと、あなた自身を信じなさい。弱気になっていては、どんな敵にも勝てません。しかし、勝利と自分と仲間を疑わず、最後まで信じて進むなら、必ず良い結果があなたを待っています。あなたは私が見込んだ戦士なのですよ。大丈夫です」
 優しさと慈愛、そして何よりも頼もしさと力強さを称えたアテナの微笑みに、結城はしぼみかけていた意志が再び盛り上がってくるのを感じた。
 そうだ。悪い方向へ考えていたら悪い結果になるだけだ。何が何でも掴み取ると決意して邁進すること。自分を信じて行動することが大事だった。そして、ここにいるのは最高の仲間たち。なら、迷うことも、恐れることもない。
「・・・そうですね、アテナ様。今日で解決するって言ったのは僕だ。ここまで来たら、あとは思い切り突っ込むのみ!・・・ですね」
「その意気ですよ、ユウキ」
「ゆうき、えらいえらい」
 いつの間にか九木から結城の肩に移動していた媛寿が、彼の頭を小さく撫でさすった。
「ありがとう、媛寿」
 結城もまたお返しに、媛寿の髪を梳くように頭を撫でた。気持ちいいのか、目を細めてキャッキャッと声を上げた。
「A●8→(訳:じゃあ準備に一旦戻らないとな)」
「武器、取る。行って、戦う」
 続いてマスクマンとシロガネも腰を上げた。二人もまた、並々ならぬオーラを漲らせている。
「九木刑事、ちょっと待っててもらえませんか。準備してきます」
 結城たちは揃って喫茶店の出入り口へ歩き出した。途中、結城は思い出したように振り返り、まだ呆気にとられる九木にこう告げた。
「それと―――今日中に術者は引き渡します」
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