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19章
117.透明な壁
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ロクの言っていた石造建築物が見えてきた。情報通り、巡回している人形がいる。……人形と言っても見た目は骸骨のようだ。片手にはクロスボウを持っている。遠距離攻撃ができるということはある程度距離を詰めれば見つかってしまうだろう。
「ああいうタイプは近くに操っている奴がいるはずだ」
「その操っているのを倒さないと一生終わらないやつだね?」
ロクの説明で私は何度倒しても復活する敵を思い出す。もちろんゲームでの話であって、この世界ではまだそう言ったタイプには会ったことはない。
「理解が早いな」
驚いた様子のロク。私がまさかそんなことを知っていると思っていなかったのだろう。イナトは尊敬の眼差しで私を見つめている。
「救世主様、時々経験者のように語りますよね。実際闘いも慣れているようですし」
「ある意味経験者かも? 人の作った物語を体験できる道具があるって言えばいいのかな。それで戦闘体験もできるんだよ」
「へぇ、そりゃ便利だ。シミュレーションが頭の中以外でできるのは羨ましいかも」
今はVRなんかもあるし、実際に体を動かしてスポーツをしたり武器を振ったりもできる。改めて思うが、私のいた世界は便利なところだ。
「敵の場所調べられないかな」
ミニマップに写る敵のアイコンは人形分のみ。正体を隠しているのだろうか。
アズミにチャットを送り小型ロボットを出動してもらう。ロボットはすぐに私達の元へ到着した。
「いきなりだったのにありがとう!」
「前よりも忙しくないから朝飯前だよー」
アズミはすぐに周辺の情報を確認してくれた。だが、すぐにロボットはエネルギーがなくなったかのように消えてしまった。
「ミニマップに情報が載るようにはなったけど、ロボットはどうしたんだろう?」
アズミに連絡を入れると、突然動かせなくなったと言う。もう一度ロボットを操作しようにもクールタイム中と表示され起動もできない。
「妨害か何かかな」
「そうでしょうね。やはりあそこには何かあるようだ」
あいかわらず人形は建築物の周りを歩いている。
「一旦俺が槍で倒しましょうか」
「もう一体は俺がやろう」
やる気満々の2人に任せてイナトと私はその様子を見守ることにした。
ルーパルドは私から投げる用の槍を受け取り、人形目掛けて勢いよく投げる。ロクはその隣からナイフを投げた。どちらも正確に敵の脳天を貫く――かと思いきや、透明な壁によって弾かれてしまった。
気づいた人形はこちらに弓を放ってくる。透明な壁に当たるから安心だと思っていたが、壁を抜けこちらに飛んでくる。
「相手の攻撃だけ壁貫通してくるとかずるくない!?」
「一度撤退しましょう!」
慌てて人形との距離を取り、森を走り抜け浜辺まで来た。流石に弓が飛んでくることもなくなり、脱力する。
ロクは人形がいた方向を眺めながら落ち着かない様子で言う。
「あの壁を壊せる何かがあるはずだ。くまなく探そう」
ロクとしては早くあの人形や操っている敵を倒したくてうずうずしているのだろう。
「まず私の持ってる地図にアズミが情報載せてくれたから、イナトの持ってる地図に写そ」
イナトに地図を開いてもらい、印をつけていく。宝箱のマークや敵の位置、何のマークかわからない印もつけていく。
敵の数自体多くない。だが、これは地上のみの情報。建築物の内部までは確認できていない。
「この中のどれかが人形を操ってる敵かな?」
「数は少ないんで全部潰しても良さそうですね」
さらっとルーパルドは全滅させようとしている。それはまあ、別に構わない。
そういえばこの世界の名前のない敵は休憩を挟むと復活しているのだろうか。死にゲーなのだから復活していそうだが、わからない。
あまり同じ場所に訪れることもないので気にしていなかったな……。
「近いところから行きましょう」
イナトはしゃがみ込んでいるロクを見た。
ロクはどうやら砂に隠れているカニを掘り返しているようだ。ルーパルドはロクの頭を軽く叩いた。
叩かれたことを気にせず立ち上がり、ロクは「カニ食べたい」と呟く。
「……わかった。今日はカニだな」
今日の食事当番はイナトだ。面倒くさそうな表情を見せたイナトだったが、特に文句を言うことなくリクエストに応えてあげるようだ。
「団長、俺にだけ厳しくないです?」
私に耳打ちをするルーパルド。堂々とイナトの前で言えばいいのに、小心者だなぁ。
「イナトって意外とロクに甘いよね」
「わがままを聞けばそれだけ素直に指示に従うので」
「エゴだったか……」
渡者――というかロクの扱いが上手いと言うべきか。
確かにイナトに命令されればロクはすぐに行動に移す。疑問などがあればもちろん質問はするが、嫌だとか言っていた記憶はない。
「ルーパルドもロクくらい素直になればイナトも優しくしてくれるんじゃない?」
「それは無理ですね。俺は自由が好きなんで」
ルーパルドは爽やかな笑顔でそう言った。何か違うような気もしたが、本人がそう言うのだからそういうことにしておこう。
「ああいうタイプは近くに操っている奴がいるはずだ」
「その操っているのを倒さないと一生終わらないやつだね?」
ロクの説明で私は何度倒しても復活する敵を思い出す。もちろんゲームでの話であって、この世界ではまだそう言ったタイプには会ったことはない。
「理解が早いな」
驚いた様子のロク。私がまさかそんなことを知っていると思っていなかったのだろう。イナトは尊敬の眼差しで私を見つめている。
「救世主様、時々経験者のように語りますよね。実際闘いも慣れているようですし」
「ある意味経験者かも? 人の作った物語を体験できる道具があるって言えばいいのかな。それで戦闘体験もできるんだよ」
「へぇ、そりゃ便利だ。シミュレーションが頭の中以外でできるのは羨ましいかも」
今はVRなんかもあるし、実際に体を動かしてスポーツをしたり武器を振ったりもできる。改めて思うが、私のいた世界は便利なところだ。
「敵の場所調べられないかな」
ミニマップに写る敵のアイコンは人形分のみ。正体を隠しているのだろうか。
アズミにチャットを送り小型ロボットを出動してもらう。ロボットはすぐに私達の元へ到着した。
「いきなりだったのにありがとう!」
「前よりも忙しくないから朝飯前だよー」
アズミはすぐに周辺の情報を確認してくれた。だが、すぐにロボットはエネルギーがなくなったかのように消えてしまった。
「ミニマップに情報が載るようにはなったけど、ロボットはどうしたんだろう?」
アズミに連絡を入れると、突然動かせなくなったと言う。もう一度ロボットを操作しようにもクールタイム中と表示され起動もできない。
「妨害か何かかな」
「そうでしょうね。やはりあそこには何かあるようだ」
あいかわらず人形は建築物の周りを歩いている。
「一旦俺が槍で倒しましょうか」
「もう一体は俺がやろう」
やる気満々の2人に任せてイナトと私はその様子を見守ることにした。
ルーパルドは私から投げる用の槍を受け取り、人形目掛けて勢いよく投げる。ロクはその隣からナイフを投げた。どちらも正確に敵の脳天を貫く――かと思いきや、透明な壁によって弾かれてしまった。
気づいた人形はこちらに弓を放ってくる。透明な壁に当たるから安心だと思っていたが、壁を抜けこちらに飛んでくる。
「相手の攻撃だけ壁貫通してくるとかずるくない!?」
「一度撤退しましょう!」
慌てて人形との距離を取り、森を走り抜け浜辺まで来た。流石に弓が飛んでくることもなくなり、脱力する。
ロクは人形がいた方向を眺めながら落ち着かない様子で言う。
「あの壁を壊せる何かがあるはずだ。くまなく探そう」
ロクとしては早くあの人形や操っている敵を倒したくてうずうずしているのだろう。
「まず私の持ってる地図にアズミが情報載せてくれたから、イナトの持ってる地図に写そ」
イナトに地図を開いてもらい、印をつけていく。宝箱のマークや敵の位置、何のマークかわからない印もつけていく。
敵の数自体多くない。だが、これは地上のみの情報。建築物の内部までは確認できていない。
「この中のどれかが人形を操ってる敵かな?」
「数は少ないんで全部潰しても良さそうですね」
さらっとルーパルドは全滅させようとしている。それはまあ、別に構わない。
そういえばこの世界の名前のない敵は休憩を挟むと復活しているのだろうか。死にゲーなのだから復活していそうだが、わからない。
あまり同じ場所に訪れることもないので気にしていなかったな……。
「近いところから行きましょう」
イナトはしゃがみ込んでいるロクを見た。
ロクはどうやら砂に隠れているカニを掘り返しているようだ。ルーパルドはロクの頭を軽く叩いた。
叩かれたことを気にせず立ち上がり、ロクは「カニ食べたい」と呟く。
「……わかった。今日はカニだな」
今日の食事当番はイナトだ。面倒くさそうな表情を見せたイナトだったが、特に文句を言うことなくリクエストに応えてあげるようだ。
「団長、俺にだけ厳しくないです?」
私に耳打ちをするルーパルド。堂々とイナトの前で言えばいいのに、小心者だなぁ。
「イナトって意外とロクに甘いよね」
「わがままを聞けばそれだけ素直に指示に従うので」
「エゴだったか……」
渡者――というかロクの扱いが上手いと言うべきか。
確かにイナトに命令されればロクはすぐに行動に移す。疑問などがあればもちろん質問はするが、嫌だとか言っていた記憶はない。
「ルーパルドもロクくらい素直になればイナトも優しくしてくれるんじゃない?」
「それは無理ですね。俺は自由が好きなんで」
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