乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜

勿夏七

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22章

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 ワープポイントを使って洞窟があった場所へ。
 だが、そこには何もなく、雪原が広がっているだけ。
 ロクは辺りを見渡し首を傾げる。

「ここにあったはずなんだが……」
「渡者、場所間違えたんじゃないのか?」

 ま、俺は場所さえ覚えてないけどな~。とルーパルドは渇いた笑いを浮かべた。
 だから責められないとでも言うような言い方だ。ルーパルドも少しは吹っ切れたのだろう。
 昔のままだったらもっと意味もなく怒っていそうだ。

「あってますよ」
「うお!」

 ひょっこり現れた召使。ルーパルドは声を上げ、ロクは瞬時に距離をとった。
 ちなみにイナトは微動だにしていない。イナトは召使を見て、質問を投げかける。

「ということは、もしかして救世主専用洞窟でしょうか」
「はい。スタート国に現れるはずの洞窟が、なぜかこの国に出現してしまったようです」

 私の近くで「バグ、というやつですね」と小声でそう説明してくれた。3人に言ってもわからないから私にこっそりそう言ったのだろう。
 召使もこの世界をゲーム世界として認識しているのだろうか。ゲーム世界としての認識でなくても、救世主を助ける側の神や召使など限られた人だけ知っているのかもしれない。

「洞窟をお探しですか?」
「いえ、もしかしたらこの付近で召使さんいるかなーと思って」
「なるほど。……ここのマップのアップグレードはまだでしたからね」

 早速マップをアップグレード。意外とアップグレード用の素材は簡単だ。出会う魔物を倒し続けていたら余るほどの素材だ。

「ここまでお疲れ様でした。もう一息ですね」
「これも召使さんのサポートあってですよ」
「ありがとうございます。今後も出来る限りサポートをさせていただきますよ」

 それでは。と召使は姿を消した。
 最初から助けてくれているが、会話はほどほど。自身のことも話さないので、どんな人か今もよくわかっていない。

「仕事人ってやつ?」
「あれくらい淡白だとそう思いますよね。でも、気をつけてくださいね。意外とああいうタイプの方が執着強いですよ」

 ルーパルドに言われ、この世界ならあり得そうだと思いちょっと怖くなった。

「やだなー。流石にそんなこと、ないでしょ……」

 そうでないと困る。これ以上私に好意を向けてくる男はいらない。ゲームだったら選びたい放題だ~なんて喜べたはずなのに。浮気もきっとし放題だろう。と言っても、どんなシステムか知らないのだが。
 さすがに生身……と言って良いかわからないが、私が自分で体験している風になっているのだから、自重は必要だ。元の世界に帰ったら満喫させてもらおう。

「ところで、ダンジョンの場所はわかりましたか?」

 イナトに言われてマップを開く。すると、すぐにそれらしきものを見つけた。魔族の巣窟ど真ん中。デカデカとダンジョンと書かれている。何で突然こんなに雑なんだろう。
 元々ネーミングセンスが微妙だったり、男がちょろすぎるとかあったりはしていたけれども……
 
 私のマップは皆に見えないため、イナトの持っている地図で場所を指差す。

「ここだね」
 
 すると、ルーパルドは顔を引き攣った。

「魔族に見つからずダンジョン攻略とか無理じゃないです?」
「メカクレオンの素材でどうにからないか?」
「ああ、そういえばそんなのあったね」

 箱のアイテムボックスに入れっぱなしの素材。まさかここで役に立つかもしれないだなんて。

「ちょうどいいですし、今日のところは休みましょうか。メカクレオンの素材をどう使うかも考えなければいけませんし」


 ◇

 箱に入った後、私は1人1人にアクセサリーを渡していく。

「はい、どうぞ」

 ダサいだのなんだの言われたらどうしようなんて考えていたが、皆喜んでくれたようだ。まあ、これも私が救世主だからだろう。多分。
 
「俺からもこれをやる」

 ロクは親指につける用の指輪をくれた。それを見た途端、慌てるルーパルド。
 
「は!? 渡者がアクセサリーを?!」

「渡してないの俺だけじゃね!?」とルーパルドは"負けた"とでも言うかのように口を大きく開け、衝撃を受けている。
 つい最近イナトからブレスレットを貰ったし、自分だけ渡していない。と思うのはしょうがない。だが、そんなにアクセサリーを貰っても、効果を発揮するのは一部だけ。
 装備を整理した方がいいかも……いや、装備できるスロットが増えれば問題ない気もする。レベルアップしたらスロット増えないかな。

「あの、これをどうぞ」

 突然ポーチから取り出されたネックレス。男物のようだが、ルーパルドの私物だろうか。

「なんか、男は女物を、女は男物を身につけると良いとか唆されて、ついペア用の買っちゃって」

 照れるルーパルド。それを隣でジト目で見ているロク。

「俺のは渡者の証のやつだ。指輪の方が落としにくいと思ったんだ。あの金髪のだって実用的なやつだろ」

 ロクとしては、お前だけ機能性じゃなく恋愛向けのアクセサリーを渡すなんて。と言っていそうに見える。実際の心の声はわからないが、強ち間違っていないのではないかと思われる。
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