乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜

勿夏七

文字の大きさ
29 / 196
5章 水の町

29.水の町

しおりを挟む
 アズミからの提案を朝リビングで全員に話した。
 イナトは「あの賢さなら何かしら糸口を見つけられるかもしれない」と頷く。
 しかし、ルーパルドとロクは「本当に頼れるのか?」と疑心暗鬼。
 
 この中でアズミに会ったことがあり、実際力を使ったのを見ていたのはイナトのみ。
 私を含め3人は、目の前で知識を披露してもらったことはない。
 ロクに関しては出会ったことすらない。
 だから仕方ないことなのだろうが、まさかルーパルドも反対派なことには驚いた。

「ルーパルドはなんでアズミの合流に乗り気じゃないの?」
「失礼を承知で言いますけど、旅を怖いと言う理由で途中で投げ出したお人ですよ? 一度会ったことはありますけど、コミニュケーションも取れるかどうか怪しいですし」
「ルーパルド、結構バッサリ言うね……」

 ルーパルドがこんなにもストレートに物を言うとは思っていなかった。
 もし私も途中で辞めたいと言っていたら、白い目で見られていたのだろうか。
 イナトがチュートリアルで出会う男で良かったのかもしれない。いや、そもそもそのつもりで製作者は作っていた可能性もあるが。

「コミニュケーションについては、チャットを使えばなんとかなるよ」

 アズミの愚痴には男の愚痴が多く含まれていた。
 その点から、アズミに男の人が苦手なのかと聞いてみたところ、苦手だとはっきりと答えた。
 事情はわからないが、何かしら苦手になるきっかけがあったのだろう。
 あの時は大男にいきなり挨拶されて、怖かったのかもしれない。

「ルーパルドが怖かったんだと思うよ。アズミは男の人が苦手って言ってたから」
「団長は大丈夫だったんじゃないですか?」
「アズミは背の高い男性が特に苦手だと言っていた。僕より背の高いルーパルドに苦手意識を持つのはおかしくない」
「身長のせい……」

 男の人の身長は高ければ高いほど良しとされているイメージがある。ルーパルドも私と同じ思考だったのだろう。あり得ないとでも言いたげな表情だ。

「背の高い男が苦手なやつだっているだろ」

 ロクの発言にルーパルドは口元に手を当て難しい顔をしていた。まだ信じられないようだ。
 
「女は背の高い細マッチョが好きだって俺や団長に寄ってくる女性は皆言ってたのに」
「好みはそれぞれだからね……」
「じゃ、じゃあリン様はどうなんです?」
「私? 私はいいと思うよ。背の高い細マッチョ」
「なんか、可もなく不可もなく感あるなぁ」

 背の高さはあまり気にしたことはない。私より高ければそれでいい気もしている。まぁ、小さくても好きと思える要素があれば、身長を気にすることもないだろう。

 ちなみに、この中で1番背が高いのはルーパルド。次にイナト、そしてロク。とはいえ、全員私よりも断然高い。
 ルーパルドなんかは少し屈んで私の話を聞いてくれることもあるレベルだ。大きいのも考えものかもしれない。

「……話が脱線していますよ。アズミについて、意見が分かれてしまいましたが、決定権は救世主様にあると僕は思います」
「まぁ、私が旅をする必要があるからね」
「リンが決めたのならそれでいい。俺は俺の意見を述べただけだ」
「俺が悪いみたいになってないか?」
「大丈夫大丈夫。ルーパルドは何か他に意見ある?」
「……ないですよ。救世主さまに従います」
「じゃ、決まりね。ここの地域の探索を終えたらアズミを迎えにいくね」

 気がかりなのは、私以外男であること。
 だが、提案したのはアズミだしきっと何か考えがあるのだろう。


 ◇


 箱から出て着実にワープポイントの解放を終わらせていく。
 暑くなってきたらすぐに宝石を取り替えてもらうようにしたため、かなり快適だ。
 このままさっさとワープポイントの解放を終わらせてアズミと合流しよう。

「次のワープポイントは町の中です」
「村じゃなく町?」
「ええ。水の豊かな場所ですよ」

 水が綺麗で、その水のおかげで町の中は暑さを感じにくのだとイナトが説明してくれた。
 ルーパルドも追加で説明してくれる。
 
「地域の水が全部そこにあるんじゃないかってレベルの水の量です。だから人も住み着くんじゃないんですかね」

 村は廃れ、その町に住み着く人が多くいるのだそう。ただ、外から来た人と元から居た人とでは壁があるらしい。
 元々町に住んでいた人々は裕福な人が多く、外からくる人は貧困生活を送っていることが多いからだとか。
 とはいえ、王が住んでいる街よりかはお金の流れは控えめだ。

「他と交流がないから他にはない物があったりするんですよね。娯楽ものは特に」
「例えばどんなの?」
「見たことのない小説や漫画が売ってるとか。俺の同期の彼女が欲しいってずっと言ってるらしいです。全国回るし買ってこようか聞いてみたんですけど、それは恥ずかしいって拒否られました」
「恥ずかしい? どんな内容なんだろう……」

 イナトもルーパルドも知らないらしく首を横に振る。
 どんな物を読みたがっているのかバレるのが恥ずかしいのか、それとも男に買わせるのは恥ずかしいのか、捉え方によって変わる。
 まぁ、町に入ればわかることだろう。
 楽しみが増えたおかげか、足取りは軽かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】甘やかな聖獣たちは、聖女様がとろけるようにキスをする

楠結衣
恋愛
女子大生の花恋は、いつものように大学に向かう途中、季節外れの鯉のぼりと共に異世界に聖女として召喚される。 ところが花恋を召喚した王様や黒ローブの集団に偽聖女と言われて知らない森に放り出されてしまう。 涙がこぼれてしまうと鯉のぼりがなぜか執事の格好をした三人組みの聖獣に変わり、元の世界に戻るために、一日三回のキスが必要だと言いだして……。 女子大生の花恋と甘やかな聖獣たちが、いちゃいちゃほのぼの逆ハーレムをしながら元の世界に戻るためにちょこっと冒険するおはなし。 ◇表紙イラスト/知さま ◇鯉のぼりについては諸説あります。 ◇小説家になろうさまでも連載しています。

【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事?!

未知香
恋愛
※エールや応援ありがとうございます! 会社帰りに聖女召喚に巻き込まれてしまった、アラサーの会社員ツムギ。 一緒に召喚された女子高生のミズキは聖女として歓迎されるが、 ツムギは魔力がゼロだった為、偽物だと認定された。 このまま何も説明されずに捨てられてしまうのでは…? 人が去った召喚場でひとり絶望していたツムギだったが、 魔法師団長は無魔力に興味があるといい、彼に雇われることとなった。 聖女として王太子にも愛されるようになったミズキからは蔑視されるが、 魔法師団長は無魔力のツムギをモルモットだと離そうとしない。 魔法師団長は少し猟奇的な言動もあるものの、 冷たく整った顔とわかりにくい態度の中にある優しさに、徐々にツムギは惹かれていく… 聖女召喚から始まるハッピーエンドの話です! 完結まで書き終わってます。 ※他のサイトにも連載してます

推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について

あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

【完結】恋につける薬は、なし

ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。 着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

処理中です...