ホラーゲームに異世界転移した最強のオッサンはクリーチャーを殲滅しつつ美少女に説教す

因幡雄介

文字の大きさ
17 / 21
ホラーゲーム『デス・スペースシップ』

彼女はああ見えて18歳

しおりを挟む
 妙だ。

 なぜ会ったこともないのに、私たちのことを知っている。

 初めて聞く声だったが……。

「どういうことだ? 文曲」
『不明。信号を追跡できませんでした。強制的にハッキングしてきたようです』
「そうか……」

 情報がないのなら、それ以上詮索のしようがない。

『管制棟を発見。熱源反応はひとり』
「なるほど。すべてのブリッジを閉ざして、引きこもっているわけか」
『おかしいですね? ガンシップがあるのに、なぜ脱出しないのでしょうか?』

 そう言うと、文曲が映っているモニターにノイズが走りだした。

 映像が切り替わり、メガネの女性が両手の甲にアゴをのせて映っている。

 サイホン最高指揮官だ。

 パワードスーツのシステムに、無線でハッキングしてくるとは。

 サイホンは私をにらみ、

『驚いたよ。まだ生きていたとはな』
「神は死なぬ。観念するがいい」
『その変な口調にも聞き飽きた』

 と、イラついている。

 サイホンは口を緩ませ、

『まあいい。貴様ともこれが最後だ。――本物の神の光を浴びせてやろう』

 何か攻撃をしてくるのか、片手を動かして、キーを押した。

『粒子の収束を確認。砲身がこちらに向けられています。粒子砲を撃つようです』

 文曲がサイホンがやりたかった攻撃方法を説明。

 あせったせいか、私のAIに先を読まれてしまった。

 なさけない最高指揮官だ。

「ふう。そんなもので私を倒せるとでも思っているのかね? ブースターを使ってかわせば簡単に……」
『もう撃ってます。よけられません』
「……なぬっ!?」

 粒子の束が私の体をおおった。

「早く言わんかぁぁぁっ!!」

 無能なAIのおかげで、粒子砲は私に直撃した。

『はははははははっ!! どうだ神の光は!! 貴様などこの部屋に入ることすら……』

 サイホンが何か言っているが、かまわず分厚い耐圧ガラスをぶち破って、管制棟に侵入。

 床を転がって、片手をつき、すっくと立ち上がる。

 パワードスーツについたガラスの破片を手ではらい、右肩を回した。

「ふむ。ここが管制棟か」
『損傷率0%。無傷です』

 文曲がスーツの傷を調査し終わり、私は金属製の床と自動扉の前に立つ。

 酸素が真空状態の宇宙へと抜けていく。

『バカな! どうして貴様は生きている!』

 サイホンは声を荒立てる。

「神の光とは片腹痛い。マンションの照明のほうがまぶしかったわ」
『ひとり暮らしで、引きこもってるんですねぇ』
「待っていろ。すぐそこに行って、みっちり説教してくれる。私なしでは生きられないように調教してやろう」
『教祖さま誕生です』

 文曲のツッコみが終わり、サイホンからの通信を強制遮断した。

 空気が抜けつつある部屋を出て、廊下を歩く。

 七瀬からもらったメモリーをどうするか考えていると、

『そこのメモリースロットに入れてください』
「サイホンがいる所じゃなくてもいいのか?」
『管制棟は独立してますが、棟自体はすべてのネットワークにつながっているので大丈夫です』

 文曲がそう言うので、メモリーを適当にスロットに入れてやる。

 あとは優秀なのか、どうなのか、よくわからないAIが操作を完了させた。

 管制棟の全ブリッジが起動待機状態に入った。

『あとは七瀬さんがブリッジを起動させ、みんなで渡ってくると思います。サイホンさんを捕らえましょう。脱出時、何をしてくるか予測がつきません』
「ああ、今すぐ捕まえて、3時間ぐらい説教してやる!」
『クリーチャーがくるので、脱出してからにしてください』

 七瀬みたいなことを言う文曲。

 フラストレーションはたまる一方だが、人間の安全が最優先か。

 最上階の部屋に入ると、サイホンがサブマシンガンを撃ってくる。

「この化け物が!」
「化け物? 失敬だぞ!」

 撃ってきた弾は、パワードスーツによってかってにはじかれ、メーターや計器、制御モニターをつぶしていく。

 サイホンは銃を撃つのをやめ、絶望的な顔つきになり、

「なんだそのよろいは? 傷一つつけられないとは……」
「神に銃弾などきかん。さて、お説教の時間だ」

 私は手を差し出し、指をポキポキ鳴らす。

「……わかった。こっちにこい」

 サイホンは銃をイスに捨て、頬を赤く染めると、となりの部屋の自動ドアを開けた。

 暗くて中身が見えないので、わなかと思ったが、無敵であるこのパワードスーツの前では不安などない。

 彼女の後ろについていき、部屋に入った。

 照明がつき、色はピンクだった。

 棚や机の上には、動物のぬいぐるみが置かれてある。

 子供の部屋か?

 かわいいものに包まれ、ファンシーな気分になった。

 サイホンはベッドに体を投げ出し、ミニスカから出る黒タイツの足を開け、

「さあ! 抱くがいい!!」
「……はっ!?」

 突然すぎて、言葉が右耳から左耳に抜け出した。

「どうした! お説教をするのだろう! たっぷり堪能しろ!」

 枕に後頭部を埋め、両目を閉じて待ちかまえるサイホン。

「いっいや、ちょっと待て。何か勘違いしてないか?」
「勘違いだと、まさか貴様――たたないのか?」
「ふっ――固い装甲で守られているのでな」

 私とサイホンの間に、微妙な空気が流れる。

『装甲のせいではありません。六道さんは血液の質が悪いです』

 文曲が真剣な場を乱してくれた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

処理中です...