3 / 20
第1幕【出逢い:レダ王国】
しおりを挟む‥
......
…暑゙い…
もうどのくらい歩いただろうか…
オーリオロンの禿鷲は俺の頭の遥か上で様子を伺っている
俺が旨そうに見えるのか?
よしてくれ…
残念だが諦めるんだな。まだ俺はまだ死ぬ気はないんでね
ラスリルの茎を折り、口にふくませる
少しは喉の渇きがおさまるってもんだ
それにしてもどこまで歩けばいいのか…
ふぅ
このままじゃほんとに倒れちまいそうだ
ゆらゆらと揺らめく蜃気楼は喉の渇きを忘れさせ死への泉に誘(イザナ)うようだ
禿鷲はまさにそれを待っているのだ
「ちっ」
空に向かって石を投げつけると、禿鷲は諦めたのか西の方へ飛んでいった
ん?
またまぼろしか?
何気なくその先に目をやると、かすかに煙が見えるではないか!
何度も何度も目を細め事実を確認する
ああ‥やっとまともな飯と酒にありつけそうだ
そう思うと足取りも軽くなりそこへ向かった
―街中―
「いらっしゃ~い!旅の人!ホルステンの干し肉なンかどうだい?こいつは旅の必需品だぜ~」
ここは活気があり、かなり大きな街だ
人があふれ飛び交う掛け合い、一歩歩けば声を掛けられかなりのにぎわいを示していた
また独特のなまりが心地よく通り抜けるのが気持ちいい
気に入った
「あンた!これ食いなっ。腹減ってンだろ~。」といってアモラの実を投げてくる
「ありがとう。」
俺はにこりと会釈をした
一口かじると忘れていた味覚を思い出す
「…うまい。」
一気にむさぼるように食べてしまった
女将は満面の笑みを浮かべ
「ひょっとしてあンた!何も食ってないンだろ。入っていきな!別に金なンか取りゃしないよ。おいで、ほら!」
俺はますますこの街が気に入ったようだ
呼ばれるまま、店の中に入っていった
女将は飯を作ってくれている
「この国はなんていうところだ?」と聞くと
「この国を知らないのかい?よっぽどの田舎から来たンだろうね~。ここはレダ王国、トラキアへ繋ぐ商売の拠点だよ。あンたはどこへ行くのかい?」
どこ?……か
俺の旅には行く宛もない
ただ忘れられた古しえのエピタフ(石版)を探している
黙っていると続けて女将がいう
「ここの王様はとても素晴らしいお方だよ。王様は戦争を嫌い、まず国民のために命を惜しまないような聡明な方だよ。ただねぇ…
ちょっとあンた聞いてンの?」
調理場から顔を覗かせる
「あぁ、聞いてるよ」
とは言ったものの調理場からのいい匂いに、殆ど聞こえていないといった方が正確だろう
フライパンを返す毎に漂う香りに今にも気絶しそうだ
「ただね…ここの参謀長はジークといって、軍事を強化するために常に王様に進言しているいけ好かないやつがいるのさ」
◆ジュッジュ~
「さあ、出来たよー」
女将はいそいそと皿に盛り
「さっき眼を見た時、ピーンと来たんだよ。
あンたは綺麗な眼をしているねぇ。あンたみたいな人が王様の手助けになればと思ったンだよ。さあ、おたべ!」
◆ドンッ!
そういって目の前に出された料理に、胃袋が早く喰わせろとキリキリ痛む
両手を合わせ感謝の言葉をかける
あっ!?
食べようとすると女将が顔をしかめ耳元で囁いた
「噂をすれば、だよ。ホラ」
女将が見つめるその先は何となく嫌な雰囲気だ。いかつく男達がやってくる
やれやれ…
またトラブルか?
何かが起きそうだな‥‥全く
0
あなたにおすすめの小説
古書館に眠る手記
猫戸針子
歴史・時代
革命前夜、帝室図書館の地下で、一人の官僚は“禁書”を守ろうとしていた。
十九世紀オーストリア、静寂を破ったのは一冊の古手記。
そこに記されたのは、遠い宮廷と一人の王女の物語。
寓話のように綴られたその記録は、やがて現実の思想へとつながってゆく。
“読む者の想像が物語を完成させる”記録文学。
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる