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第三章
第二話
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一日かけて、名も知らぬ大きな町に辿り着いた。
宿を取って荷物を置いてから、ぶらり散策に出掛けた。
薄橙色の屋根が特徴的な街並みは落ち着きがあり、そこら辺を歩いている人にも同様に気品があった。
「でも、ジャサー城に比べるとちょっと寂しいですね」
「じゃあ、もっと活気のある所を探してみましょうか」
私達は魔法使いと戦士の二人組を尾行した。
彼らは手慣れた様子で酒場に入っていった。
顔を見合わせて頷き、私達も突入した。
中は想像よりも広く、昼とは思えないほど多くの客が居て、小さな樽の椅子に乗って酒と会話を嗜んでいた。
客層は幅広かったが、彼らには共通点があった。
鎧や剣、或いはローブや杖で武装しているのだ。
そう、ここは「冒険者」や「賞金稼ぎ」、「傭兵」と呼ばれる者達の溜まり場であり、「冒険者協会」の管轄場所なのである。
「せっかくだし、ここで腹ごしらえでもしますか?」
ラーラは楽しげに言った。
私達は白パンと茹で野菜のサラダ、そして羊肉の串焼きを注文し、嬉々として料理の到着を待っていた。すると、顔の赤い男性戦士が話しかけてきた。
「嬢ちゃんたち、ここは子ども食堂じゃねえぞ?」
「いえ、私達はこう見えても貴男と同業ですから」
ラーラが答えると、相手は目を丸くした。
「はーすげえな。こんなちっちぇのに、戦えるってのか」
私たちは彼としばらく雑談した。
そのうち料理も次々配膳され、串肉片手に盛り上がった。
宴もたけなわ。そんな最中のこと。
「手配書の追加でーす!」
店員は声を響かせ、店の奥にあり、全席誰からも見える巨大な掲示板の「賞金首」のコーナーに、二枚の手配書が新たに張り出された。
それを見た私達は、目を見開き、未だ肉が刺さった串を皿に食べ残したまま、お金を置いて一目散に逃げ出した。
「まさか、こんなに情報が出回るのが早いなんて」
宿屋のベッドに座りながら、私たちは頭を抱えていた。
張り出された手配書には、詳細情報や賞金の他に似顔絵が大きく載っていた。
それが誰なのか、遠くからでもはっきりと認識できた。
私達二人はこのジャサー地方の主を討った国賊として、早くも賞金を懸けられているのだ。
「さて、王都への旅路で私達は多くの村や町に寄ることになります。どうやって素性を隠すか、貴女ならお分かりですね?」
「はい」
絵の中の私達は、片方が素顔を晒し、もう片方は黒い布で隠していた。
「つまり、ラーラ様は黒ローブに角に背高ブーツの『秘密のラーラ』としての姿、私は姿を誤魔化していない『近衛兵グレア』としての姿で認知されている可能性が高いということです」
「そうです。ですから、今や角のない私が姿を晒してブーツとローブを脱ぎ、グレア様が顔や髪を隠してシルエットも変えれば、彼らにとって私たちの正体に気付くことは難しくなるでしょう」
私達は服屋、靴屋に出掛け、服装を改めた。
ラーラは灰色のドレスに着替えて皮のブーツを履き、私は自分の体格に合った丈の黒いローブに身を包んだ。
装いを変えると気分も変わる。
印象ががらりと変わったラーラを見ながら、新たな旅の開幕を実感した。
宿を取って荷物を置いてから、ぶらり散策に出掛けた。
薄橙色の屋根が特徴的な街並みは落ち着きがあり、そこら辺を歩いている人にも同様に気品があった。
「でも、ジャサー城に比べるとちょっと寂しいですね」
「じゃあ、もっと活気のある所を探してみましょうか」
私達は魔法使いと戦士の二人組を尾行した。
彼らは手慣れた様子で酒場に入っていった。
顔を見合わせて頷き、私達も突入した。
中は想像よりも広く、昼とは思えないほど多くの客が居て、小さな樽の椅子に乗って酒と会話を嗜んでいた。
客層は幅広かったが、彼らには共通点があった。
鎧や剣、或いはローブや杖で武装しているのだ。
そう、ここは「冒険者」や「賞金稼ぎ」、「傭兵」と呼ばれる者達の溜まり場であり、「冒険者協会」の管轄場所なのである。
「せっかくだし、ここで腹ごしらえでもしますか?」
ラーラは楽しげに言った。
私達は白パンと茹で野菜のサラダ、そして羊肉の串焼きを注文し、嬉々として料理の到着を待っていた。すると、顔の赤い男性戦士が話しかけてきた。
「嬢ちゃんたち、ここは子ども食堂じゃねえぞ?」
「いえ、私達はこう見えても貴男と同業ですから」
ラーラが答えると、相手は目を丸くした。
「はーすげえな。こんなちっちぇのに、戦えるってのか」
私たちは彼としばらく雑談した。
そのうち料理も次々配膳され、串肉片手に盛り上がった。
宴もたけなわ。そんな最中のこと。
「手配書の追加でーす!」
店員は声を響かせ、店の奥にあり、全席誰からも見える巨大な掲示板の「賞金首」のコーナーに、二枚の手配書が新たに張り出された。
それを見た私達は、目を見開き、未だ肉が刺さった串を皿に食べ残したまま、お金を置いて一目散に逃げ出した。
「まさか、こんなに情報が出回るのが早いなんて」
宿屋のベッドに座りながら、私たちは頭を抱えていた。
張り出された手配書には、詳細情報や賞金の他に似顔絵が大きく載っていた。
それが誰なのか、遠くからでもはっきりと認識できた。
私達二人はこのジャサー地方の主を討った国賊として、早くも賞金を懸けられているのだ。
「さて、王都への旅路で私達は多くの村や町に寄ることになります。どうやって素性を隠すか、貴女ならお分かりですね?」
「はい」
絵の中の私達は、片方が素顔を晒し、もう片方は黒い布で隠していた。
「つまり、ラーラ様は黒ローブに角に背高ブーツの『秘密のラーラ』としての姿、私は姿を誤魔化していない『近衛兵グレア』としての姿で認知されている可能性が高いということです」
「そうです。ですから、今や角のない私が姿を晒してブーツとローブを脱ぎ、グレア様が顔や髪を隠してシルエットも変えれば、彼らにとって私たちの正体に気付くことは難しくなるでしょう」
私達は服屋、靴屋に出掛け、服装を改めた。
ラーラは灰色のドレスに着替えて皮のブーツを履き、私は自分の体格に合った丈の黒いローブに身を包んだ。
装いを変えると気分も変わる。
印象ががらりと変わったラーラを見ながら、新たな旅の開幕を実感した。
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