英雄の世紀

博元 裕央

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・第10集【善悪の戦いの果てに~絶え間ない戦いの中、超人達は吼えた~】

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 バイクとキリギリスの生機幽合体サイバイオカルト、バイクカティディット。

 正義の味方としての彼を、皆はこう呼びました。人間の善き自由を守る疾風、孤独に抗う絆の歌、マスクドラグーン仮面竜騎兵と。

(人間の髑髏とキリギリスの外骨格、フルフェイスヘルメットを融合させたような頭部と、バイク用レーシングスーツとブーツ・グローブに部分部分昆虫の外骨格を模した装甲板を付与した体を持つ超人。首にはスカーフを靡かせ、軍用改造バイクに跨がり事件現場目がけ疾走する当時偶然撮影された映像)

 彼は組織ソサエティにとっては数ある生機幽合体サイバイオカルトの一体に過ぎませんでしたが、奇跡的な改造適合率と天性の素質、あらゆる洗脳の類を受け付けぬ類い希なる精神力で組織ソサエティを脱走。

 キリギリスの跳躍力という縦への機動性とバイクという横への機動性、キリギリスの歌=空気振動を霊的能力で強化し時にソナーめいて使い時に振動を集中させ破壊力としそれ故に単なる騎兵キャバルリーではなく竜騎兵ドラグーンの名を与えられた、生物の可能性と機械の力、霊的な奇跡という、生物的改造と機械的改造と霊的改造を融合させた大日本帝国が辿り着いた究極の改造人間である生機幽合体サイバイオカルトの体現者と言うべき最強の生機幽合体サイバイオカルトとなり、組織ソサエティに属する敵の生機幽合体サイバイオカルトやその他様々な敵を次々打倒していきます。

(日本武道館で行われた様々な国の代表超人が集まる国際超人格闘大会を襲撃し参加者を蹴散らした生機幽合体サイバイオカルトロケットホースとジェットボアを相手に、亡命と祖国窮状の訴えで駆け込んだ結果巻き込まれたプラチナマスクと共に即席タッグマッチで戦うマスクドラグーン。当時国内の正義の味方公営の者を除けば潜伏し秘密裏に戦う事が大半だった為久々に大規模に衆目に晒された当時語り草の映像。マスクドラグーンがジェットボアのジェットナックルパートを投げ技・ドラグーン返しで捌き、直後タッチ後に襲いかかったロケットホースのロケット十六門キック足裏に小型高性能ロケット弾発射口十六門をドラグーンキックで迎撃している。良く見ると観客席に一般人の作家を装い観戦する四島君緒の姿。尚試合結果はパイルホース&ジェットボアが各国代表超人達を蹴散らし多数の死傷者を出して勝利した後、マスクドラグーン&プラチナマスクとタッグマッチの結果プラチナマスクが早期に負傷し劣勢となるもマスクドラグーンが一人奮戦、ロケットホースを倒しジェットボアも重傷を受け撤退。マスクドラグーンは勝利するも負傷したプラチナマスクを助けその場を離脱。尚ジェットボアがマイクパフォーマンスでマスクドラグーンも生機幽合体サイバイオカルトである事を語った為、バタフライニードルによるパスチャーK暗殺事件と並び生機幽合体サイバイオカルトの脅威を世界に知らしめた示威行動した戦いとなった)

 更には時に大西洋支部ユーラメリカブランチ東南亜細亜支部サウスイーストブランチの刺客に攫われそうになるキジンダーやプラチナマスクを助け、時に激しい戦いの中で見た人の世の醜悪に対する葛藤の果てに一時期人類を滅ぼそうとすら思い詰めたサイオマンやデビライザーを改心させ、より一般社会に近い犯罪と戦っていた必殺ザ・バッドやジュエルセブンと手を結び、バロンA、ダブルシャドー、UFOブラザー、侍シシハヤテG等と共闘して回り、正義の味方同士を結び付けました。

(キジンダーを追い詰める大西洋支部ユーラメリカブランチの刺客である非三原則械人アンチアシモフ破戒部隊デストラボットに割って入り、蹴散らしてキジンダーを救出するマスクドラグーン。高速型のブルーウルフを速度で上回り撃破し、重量級のイエローエレファントを戦闘バイク・ストームウィンドを用いた体当たり・ドラクラッシュで破壊)
(蝶を思わせる姿をした超人サイオマンが放つ超能力を、生機幽合体サイバイオカルトの霊的強化で跳ね返し近接戦を挑むマスクドラグーン)
(【まつろわぬもの】の攻撃への恐怖から暴動を起こした民衆の迫害から変身前のデビライザー=牧村明子まきむらあきこを助ける変身前のマスクドラグーン=藤郷猛弘ふじさとたけひろ。ここから縁が生まれ、後の説得が成立する事になる)
(ジュエルセブンと固い握手を交わすマスクドラグーン)

 その結果、日本支部ジャパンブランチを構成する各種外殻組織アウターユニットに対する正義の味方達の戦いが力を盛り返します。

 これに対し日本支部ジャパンブランチは最終作戦を決行。中核団体である矛の会スピアーズと直属団体である、無音建武隊、正義の味方に打倒されていったその他小組織からその過程で有用として救出・抽出した戦力を持ってクーデターを起こし、自衛隊と正義の味方に服従を要求、新政府の樹立を試みました。後世に言う四島事変です。

「我々は今や自衛隊と正義の味方にのみ、真の日本、真の日本人、真の武士の魂が残されているのを夢見た。しかも法理論的には自衛隊は違憲である事は明白で在り、対怪獣の戦いで国民を守りながらも半ば被差別階級の如く継子扱いされ、正義の味方は曖昧に玉虫色の条約で誤魔化され現実的には私的制裁を行う暴行殺人犯であると監視され、国の根本問題である防衛がご都合主義の法的解釈によって誤魔化され、軍の名を用いない軍・戦士の名を用いない戦士として日本人の魂の腐敗、道義の退廃の根本原因を為してきているのを見た。そしてまた日本の正義の味方が、アメリカのヒーローに隷属させられ、ベトナム戦争に派兵される危機を見た。最も名誉を重んじられるべき存在達が、最も悪質な欺瞞の下に放置搾取されてきたのである。自衛隊は敗戦後の国家の不名誉な十字架を負い続けてきた。正義の味方は菩薩仮面の時代から戦後秩序とやらの外側の存在として東西の国際的陰謀に貶められてきた。自衛隊は国軍たり得ず、建軍の本義を与えられず、正義の味方は公的に認められぬ存在の勝手な活動として扱われ、共に都合の良い警察力の物理的に巨大な外様としての地位しか与えられず、その忠誠の対象も明確にされなければ正義というものが真摯に共有されることも無かった」
「我々は至純の魂を持つ諸君が、一個の男子、真の武士として蘇る事を熱望するあまり、この挙に出たのである。我々は正義の味方に、自衛隊に手向かわれても、彼等のために世を変え、共に手を取り合い誇りある存在するに値する新しい日本を作る事を要求する」
「沖縄返還とは何か? 本土の防衛責任とは何か? アメリカは真の日本の自主的軍隊と独立した正義の味方が日本の国土と日本の正義を護り、アメリカのジャスティス以外の日本の正義が存在する事を喜ばず認めぬ事は自明である。今日本の自主性を回復せねば、左派の言う如く、日本の自衛隊も正義の味方も、永遠にアメリカの奴隷、アメリカンヒーローの奴隷として終わるであろう」
「にも関わらず国民は、自衛隊と正義の味方を言わば矛盾の生け贄とし、経済的繁栄に現を抜かし、国の大本を忘れ、国民精神を失い、本を正さずして末に走り、その場凌ぎと偽善に陥り、自ら魂の空白状態へ落ち込んでゆく。政治は矛盾の糊塗、自己の保身、権力欲、偽善にのみ捧げられ、国家百年の大計は外国に委ね、敗戦の汚辱は払拭されずに唯誤魔化され、日本人自ら日本の歴史と伝統を涜していく。国の根本問題に対して頬っ被りを続ける事になった、そんな盗人のような繁栄が嬉しいか! 否! 我々は否と言う! 否と言う為に今ここに起ったのである!」
「何れ誰もが必ず寿命で失う生命の尊重のみで、魂は死んでもよいのか。生命以上の価値無くして何の軍隊、命を捨てて守るに値するもの無くして何が正義の味方だ。今こそ我々は生命尊重以上の価値を諸君の目に見せてやる。それは自由でも民主主義でも無い、日本だ。我々の愛する歴史と伝統の国、日本だ。これを骨抜きにしてしまった憲法と戦後冷戦世界秩序に体をぶつけて死ぬ奴はいないのか! いるぞ! ここに我々がいる! そして諸君等にもそうあれと、魁となって私は今問いかけているのである!」

 万能戦艦高天原から各地に投影された立体映像による四島君緒の演説です。

 当初、前哨戦であり囮作戦であった自衛隊市ヶ谷駐屯地での戦いでマスクドラグーンが瀕死の重傷を負った為正義の味方側の初動が遅れた事、SC号事件で強奪された核弾頭を無音建武隊が所持していた事、横須賀米軍基地が高天原の砲撃で在日米軍最精鋭のヒーローであったミスターUSA諸共壊滅したことからクーデターはほぼ完全に東京を制圧。

(広島での奪一家との最終決戦を終えた直後負傷も疲労も厭わず乗機ザバッギーを走らせ東京へ向かう必殺ザ・バッド)
(万能戦艦高天原、芸術怪獣サンフィロトンの猛烈な攻撃を掻い潜り何とか東京に突入せんとする、ベール二世との決闘で得た巨大人型機動兵器【ティアマト女王】号を駆るサイオマン、マンモスと鯨が合体したような姿の妖海獣形態に変身したバババの化子、そしてプラチナマスクジャイアント)

 更に外郭組織アウターユニットの残存勢力が各地の在日米軍・在日人類防衛軍HDF基地・正義の味方を破壊・攻撃し混乱状態を作りますが、自衛隊はクーデターに同調しませんでした。しかし同時に国会が制圧されたことで正式な出動命令を受ける事も出来ず、またこの期を利用し正義の味方を否定し完全に国家に隷属させようとする時の総理大臣・斉藤小作肝煎りの政府内秘密結社・黒従事軍の陰謀計画【英雄のいない八月THE HERO IS NOT ON AUGUST】もあり一時状態は膠着。

「行け! 殺せ! 犯罪者ソサエティ共は皆殺しだ! 己を法律や民主主義より優先する反逆者せいぎのみかた共も皆殺しだ! 現行政府体制秩序に従えない者は全て殺せ!」
「……群れの空気と衝動に生きる猿や欲望しかない豚よりも更に醜いな。貴様等は、法律という梯状神経の反射で生きる虫螻だ。マスクドラグーンは……心は誰より人間だぞ!!」
(乱入する黒従事軍の黒く無個性な機械鎧人パワードスーツに対し、負傷しながらも負傷を微塵も感じていない様子でマスクドラグーンまで攻撃された事に怒気の叫びを上げ押寄せる黒従事軍兵を切り捨てていく四島君緒=バラセンガラス。後日公開された当時キジンダーのカメラアイ・イアマイクが録画録音した映像。これが証拠の一つとなり斉藤小作首相は逮捕された)

 最終的にデビライザーが自らの命を擲った超能力で復活させたマスクドラグーンがパワーアップしマスクドラグーンダブルとして再起した事により正義の味方達が動き出し、決戦が発生。

「どうした! お前は、お前が味方する正義はその程度か! 人間の自由と絆はどうした! 私が掲げる武士の大義に、お前が味方する正義を負けさせて良いのか!? お前の正義を勝たせられないなら……ここで散れ! デビライザーの命諸共、その命、私のものとしろマスクドラグーンッ!」
「させる、ものかっ! 俺は、俺が見た全て、俺が絆を結んだ全てを守る! 俺は皆の自由を守る! 自由と絆も共存させて守るっ!!」
「この醜い世界の放埒で侵略的な自由から、善き自由を守れるのか! お前達を否定する法律と民主主義と国家から、善き絆を守れるのか!」
「君緒の気持ちは分かる! だが!それでも俺は、支配や戦争では無い道で抗い続ける! この思いと姿と歌と抗いを示し続ける事で、人の心にその道を伝える……君緒が与え君緒との戦いで鍛えたこの強さでっ!!」
(軍研究所解散後他の全てが試作品であるその身の再解析から生まれた最初に完成された始祖生機幽合体サイバイオカルトであり、であるが故に最も古くから鍛錬と戦闘を続けてきたが故の強さを持つバラセンガラスと、最新生機幽合体サイバイオカルトにして最も濃密に他の生機幽合体サイバイオカルトと戦い続けてきた上にデビライザーの命を捧げた再生で更に強化されたより戦闘的な姿となったマスクドラグーンDの激闘。最早目にも留らぬ、光輝く超音速の竜巻同士が激突しているが如き光景。後日公開された、当時キジンダーのカメラアイ・イアマイクが録画録音した画像)

 沖縄での新左翼所属の生機幽合体サイバイオカルトヌンチャクシーサーによる反米軍・反ベトナム戦争・反日本復帰・反人類防衛軍HDF海洋科学軍事要塞・沖縄独立を志向した各種暴動の教訓によるコーアンナイン・チームファイブによる皇居防御と四島側が皇居に対しては包囲に留めた事もあり、最終的にはマスクドラグーンが四島の変身したバラセンガラスを漁夫の利を目論んだ黒従事軍を共闘して撃破した上での一騎打ちにより打倒。これを見た無音建武隊と万能戦艦高天原が残党を回収し撤退した事により組織ソサエティ日本支部は壊滅。また、この際にもしも自分がマスクドラグーンに敗れたらその後もマスクドラグーンが勝者たり続ける事を望み四島が意図的に残した組織ソサエティの内部情報が公開され、世界中の対組織ソサエティ活動が活発化。

 組織ソサエティが東側を影から支援支配し主導してきた冷戦という対立構造が、マスクドラグーン達正義の味方が世界を駆ける事により大きく変化していく事になります。
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