魔法世界の宇宙開発!

博元 裕央

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3.初期のアプローチとその失敗

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 最初に月へのアプローチを仕掛けたのは魔法皇国であった。

 元々本来魔法研究の総本山でありながら、実用本位の航空魔法兵器の開発においては軍事力に長け国名にまで航空魔法に関わる名を掲げた天空帝国に脅かされていた。

 危機感と魔法学知識の両輪が、魔法皇国を月へ突き動かしたのである。

 魔法皇国が選んだ手段は転移魔法であった。

 月が砂漠に近い環境の大地からなる事、大地からは19万大隊王尺38万kmの距離である事はそもそも魔法皇国が主となって作った天文台からの観測で確認されていた。

 他諸国の魔法学では不可能だが、魔法皇国の魔法学であればこれだけの条件で十分目標までの転移魔法を構築する事が出来るとされ、事実計画の主導者ジェルズ・ウィヴァー大司教は、ウィヴァーライトと呼ばれる巨大魔方陣を書き上げた。

 実験場である第三魔法図書館中央ホール、大闘技場にも勝る空間一面に巨大にして複雑な複合重層立体魔方陣が構築され、そして。

 ……第三魔法図書館は完全に壊滅した。後に第三魔法図書館航宙惨事と呼ばれるこの事件は、月の空間と接触した魔方陣が周囲の空気を魔方陣崩壊まで強風を発生させ各種物資諸共強烈に吸い込み続けた事と、儀式に使われたものと第三魔法図書館の収蔵品の幾つかからなる複数の魔法巻物スクロール魔法具アイテムがそれにより損壊して誤作動した事が原因であった。

 同時期、山人ドワーフ親方連邦国の親方の一人である“魔砲親方”インピール・バービケルヌは、彼が戦時中に作り上げ大いに活躍させた、魔方陣を刻み込んだ筒に魔炭など複数の秘薬を詰め鉛の殻たる砲弾に収めた魔法巻物スクロールをその上から装填する事で凡人並の魔法操作能力しか持たない複数人で手間こそかかるが大魔法使いに匹敵する攻撃魔法を筒から発射出来るようになる“魔砲”の構造を応用。

 砲弾に人類が入るくらい巨大化させた大魔砲マウントヤードで月に山人ドワーフを撃ち込もうと画策し、実行に移した。

 これは結果としては強化魔法で守られた山人ドワーフの非常な頑丈さと、月着陸を想定した衝撃吸収装置などの安全装置や密閉構造の為死者こそ出なかったが、月に届く事無く地上に落下し、着弾点が酷い事になった。

 また、なまじ密閉構造で後の問題・・・・に耐えてしまい、強い衝撃を受けるが故に大した観測機器を詰めなかったことから、続く宇宙開発の事故を阻止出来なかった不運でも知られている。

 そう、これに続き、そして再びの悲劇となったのは、天空帝国の新型箒と組合ギルド共和国の大型絨毯であった。何れも初期の牧歌的なものから大戦の技術で磨き上げられ、箒は結界と強化により音の壁マッハに耐え絨毯は飛行する基地とでも言うべきものであったが、航空に至る程の飛翔力・結界維持魔力の消費の激甚化が発生。更には疲弊した防御の限界を超えて操縦者を蝕む低温と酸欠。魔力消耗と環境の複合的ダメージによる操縦者の意識喪失で箒と絨毯は相次いで墜落した。

 また、同時期にそれぞれ魔法天馬や魔獣馴致法などを主とし航空魔法でやや出遅れていた森林連合王国と大草海単于国は、前者は品種改良した自身の魔力を全てより高い成長へと品種改良し硬度化した中空の幹に吊籠エレベーターを通せるようにした魔法樹木で、後者は“空見の”フィエの技術の発展系である魔法飛行船の人形機関を可能な限り省魔力化し、それらで一先ず登れる所まで昇りそこから魔法天馬や魔獣を飛ばそうとしたが、こちらも同様の理由で一定以上の高度には到達出来なかった。

 先の魔法大戦で人類と魔類が空中戦を行ったのは、地上を視認し対地攻撃を行える程度の高さ。

 この時人類はまだ、空の上がどうなっているのかを知らなかったのである。
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