魔法世界の宇宙開発!

博元 裕央

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5.今宵、魔女は世界の隣に寄り添った

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 最終的に天空帝国において、魔力を噴射して飛ぶ箒を中心にそれを多数連結し宙に存在する有害な全てから搭乗員を守る為の防御魔法を重ね掛けエンチャントした気密外殻を取り付けた、円筒状の外見と箒を芯とする構造から糸巻ロケットと呼ばれる複合箒システムが、ロバスタンチン・ゴダーコフスキー魔女猫博士魔女魔法による知性猫によって生み出された。

 外殻にトラブルが発生した時や外殻の修理をせねばならない時の為に、気密式羽鎧……空と違い宙では【翼の原理】は使えない為純粋な魔力噴射推進装置に羽は変更されたが慣例上羽鎧という名前は継続された……を操縦者は纏い、様々な防御魔法を付与エンチャントされる。

 箒乗りの魔女達には低速低空域の象徴であった羽鎧の着用は大不評であったが説き伏せ、過去に類を見ない大加速箒に耐える為の一大選抜と訓練が行われた。

 何しろ糸巻ロケットは四本箒を内蔵した第一弾糸巻ロケットにそれぞれ箒を内蔵した加速糸巻ブースターロケットを取り付け、その上に三本の箒を内蔵した第二弾糸巻ロケット、その上に実際に宙に至る小さな第三弾糸巻ロケットがある……そんな大規模極まりない構造だった。

 箒一本に、魔女一人が必要なのである。

 まず第一弾糸巻ロケット加速糸巻ブースターロケットが航空魔法を使用、最初から全力で航空魔法を使用した加速糸巻ブースターロケットの魔女達がパラシュートで脱出。

 ここから第一弾糸巻ロケットが高空航空魔法に切り替え全力魔法使用に入り、魔法力限界まで押し上げた後切り離され降下凧パラシュートで脱出。

 その後第二弾糸巻ロケットの魔女達が最初は高空航空魔法、最後の段階で航宙魔法に切り替えて第三弾糸巻ロケットを宙に押し上げ、自分達は残存魔法力で脱出。

 そして最後の第三弾糸巻ロケットに乗るたった一人の魔女が宙を飛び、観測し、そして空へ、大地へと帰還する。

 “飛ぶ教会”と呼ばれた巨大な飛翔体を支える合計12人の魔女達の組み体操じみた曲芸飛行、しかもうち八人は高空用に改善された飛行魔法と、頂点の四人は宙専用の航宙魔法を覚えねばならぬのである。更に、慣れない宙用羽鎧まで着て。留めに、歴史上類を見ない速度の反動を受けながら。

 魔法大戦時の勇者選抜を思わせる艱難辛苦の訓練の末、十二人の魔女とその十二人中の頂点、即ち第三弾糸巻ロケットに乗る者が選ばれた。

 ニーナ・チェーホワ。

 彼女が、人類最初に宙を飛んだ。

 それまでの実験観測で巨大な球体である事が算出されていた世界を、初めて外側から見て、その周りを巡った。

「今宵、魔女は世界の隣に寄り添った」

 通信魔法によってもたらされたその時の彼女の言葉である。

 彼女は宙から帰還し、英雄となった。
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