神木さんちのお兄ちゃん!

雪桜 あやめ

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第11章 恋と雨音

第436話 結婚と子供

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「あかりが付き合わない理由って、やっぱり俺が、のが原因かな?」

「は?」

 だが、次に飛鳥から放たれた言葉に、隆臣は短く声を発した。

 もちろん、言ってる意味は分かる。
 この眩いばかりの絶世の美男子が相手なのだ。

 今だって、喫茶店にいる客たちが、飛鳥を見つめては、ヒソヒソと話している。

 もう見慣れた光景だが、飛鳥は街を歩くだけで、常に注目を集めるほど、顔がいい。
 
 だからこそ、普通の男が言えば『ナルシストだ』と一蹴されそうなこの発言も、飛鳥だからこそ納得できる部分がある。

「えーと……なんだって?」

 だが、そこを、あえて隆臣が聞き返した。
 すると、飛鳥は

「だってさ。俺、ぶっちゃけ、可愛いかもなーって?」

「…………」

 にっこりと、それでいてお茶目に返した飛鳥は、確かに可愛いかった。

 もちろんこれは、あかりが可愛くないわけでなく、目の前にいる男が、可愛いすぎるだけなのだが……

「お前、やっぱ、振られていいと思う!」

「なにそれ。俺、真面目に話してるんだけど」

「真面目には聞こえねーよ!!」

 自分の好きな人を捕まえて、その人よりも自分の方が、可愛いだと!?

 いや、しかし、どちらの見た目が可愛いかと言われたら、やはり飛鳥に軍配が上がるのだろうか?

 もちろん、これは決して、あかりさんの見た目が悪いわけではない! そう、断じてない!!

 だが、何度も言うが、飛鳥が綺麗すぎるのが悪い!

 この絶世の美男子を前にすれば、そこら辺の女子たちは、みんな負けてしまうのだから、もうどうしようもない!!

「お前、今の発言、あかりさんの前でしてみろ! 絶対、嫌われぞ!」

「言わないよ、あかりの前じゃ。でも、色々考えたんだけど、それしか原因が思い浮かばなくて」

「まぁ、この前、あかりさんの前で、女装したって言ってたしな」

「うん。そうなんだよね。自分でいうのもなんだけど、めちゃくちゃ似合ってて、もう美少女にしかみえなかった」

「ほんと自分で言うのもどうかと思うぞ。でも、お前の女装姿は、誰が見ても完璧だって言うと思う」

「そうなんだよね。この前、あかりも絶賛しててさ……それで、思ったんだけど、やっぱり、自分より綺麗な男と付き合うのって、抵抗あったりするのかな?」

 女子の気持ちは、女子にしか分からない。 

 だからこそ、飛鳥は、あかりさんが付き合えない理由が、自分が綺麗すぎるからだと考えたのかもしれない。

 だが、女子の気持ちはわからないが、自分が、もし女だったらと仮定したら、自分より綺麗な男と付き合うのは、抵抗があるような気がする!!

「それは、そうだろうよ。今まで付き合ってきた女子は、みんな、お前のに惹かれたんだろうが、あかりさんは、見た目に惹かれたわけじゃなさそうだしな」

「あはは……やっぱ、そうだよねー」

 嬉しいやら、悲しいやら。乾いた笑顔を浮かべた飛鳥は、その後、深くため息をついた。

 見た目ではなく、中身を好きになってくれたのは純粋に嬉しい。だが、この見た目のせいで、付き合うのを拒まれているなら、飛鳥には、どうすることも出来ない。

 あかりが、胸の大きさは変えられないといっていたように、飛鳥だって、生まれ持ったこの美貌は、変えることは出来ないのだから。

 しかも、問題はそれだけじゃなかった。

 なぜなら、この美貌のせいで、飛鳥は、時折トラブルに巻き込まれてしまう。そして、そんな飛鳥と付き合うということは、あかりまでトラブルに巻き込まれてしまうと言うことなのだから!

「あかりさんも災難だな。こんなトラブルの中心にいるようなやつに好かれて」

「なにそれ。俺だって、好きでトラブルに巻き込まれてるわけじゃないんだよ」 

「そりゃそうかもしれないが、付き合ったら、大事になるのは目に見えてるだろ。そのトラブルに、あかりさんを巻き込むことについて、罪悪感はないのか?」

「そんなこと言ってたら、俺、一生、結婚できないじゃん」

「け、結婚って……っ」

 え!?
 まさか、もう、そこまで考えてるのか!?

 結婚を考えるほど本気ってことか!?

 いやいや、ちょっと待て!
 だが、流石に、それは重すぎる!!

「お前、まだ付き合ってもないのに、結婚は、ぶっ飛びすぎだろ!」

「わかってるよ。あかりは、結婚したくないみたいだし」

「そりゃ、お前と結婚したらどうなるか」

「いや、俺とじゃなくて、誰とも結婚したくないみたい」

「誰とも?」
 
「うん。恋も結婚もせず、一人で生きていきたいんだって。それに、だいぶ前に『子供は6人くらいほしい』って俺が言ったら、あかりは一人も欲しくないって言ってて……なんか俺たち、結婚とか子供に関する考えは、真逆なんだよね」

(お前ら、一体どこまで進んでるんだよ!?)

 全然、進展してないと思っていたら、もう結婚とか、子供の話までするほどの仲なのか!?

 しかも──

「お前、子供、6人も欲しいのかよ!?」

「え? 食いつくのそこ? まぁ、子供は好きだし、育児だって、それなりにできるし」

「だからって、6人はないだろ」

「なんで?」

「なんでって、産むのあかりさんだろ!」

「そりゃそうでしょ、俺は産めないし──て、話が飛躍しすぎ! まだ、付き合ってもいないのに」

「お前が、結婚とか言い出すからだろ!!」

 なにやら、話があさってに飛びまくる。

 だが、今大事なのは、結婚のことでも、子供のことでもなく、あかりさんが、なぜ飛鳥と付き合ってくれないのかだ!

「結婚なんてほのめかすから、怖がってるんじゃないか?」

「なんで、俺との結婚がホラー化してんの。てか、今の話は、お互いにの世間話だよ。結婚したいなんて、あかりには一言も言ってないし」

「そ、そうか……それなら、よかった」

 付き合ってもないのに、結婚とか、子供の話なんてしだしたら、かなり痛い男だ。

 自分の友人が重すぎるやつじゃなくて、隆臣はホッとする。

 だが、重くはなくても、飛鳥がトラブル体質であることに変わりはなく、隆臣は、あらためて忠告することにした。

「まぁ、デートをするのはいいが、あかりさんに嫌われないよう気をつけろよ」

「え? 嫌われる?」

「だって、そうだろ。あかりさんは、お前に嫌われたがってるみたいが、デートの出来次第じゃ、お前が、あかりさんに嫌われる可能性だってあると思うぞ」

 ガチャン!

 その瞬間、飛鳥が手にしていたスプーンが、手元から滑り落ちた。

 どうやら、珍しく動揺してるらしい。

 だが、まさに盲点だった。
 自分が、あかりに嫌われる可能性があるなんて!

「ちょっと待って、初デートって、そんなにハードル高いの!?」

「そりゃ、初デートで失敗して、嫌われるパターンなんて山ほどあるだろ。お前、普通に映画見に行くだけだと思ってただろ」

「思ってたよ!」

 これだけモテ散らかしてきた飛鳥だが、自分から好きになったのは初めてのことで、ことごとく恋愛初心者だった。

 きっと、デートのプランなんて何も考えず、のうのうと過ごしていたに違いない。

「まぁ、頑張れよ。両想いだからって、余裕ぶっかましてたら『神木さんとのデート、全然楽しくなーい』って言われて、完全に振られるぞ。だから、嫌われたくなかったら、何がなんでもトラブルに巻き込むことなく、スマートにエスコートしてこいよ」

「なんか今、とんでもなく、ハードル爆上がりした気がするんだけど!?」

 ただでさえ、トラブルに巻き込まれやすい美人すぎる飛鳥くん!

 果たして、初デートは無事に終われのか!?

 隆臣は、親友の恋が上手くいくことを、影ながら祈ったのだった。
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