株式会社デモニックヒーローズ

とーふ(代理カナタ)

文字の大きさ
15 / 51

第14話『悪役令嬢となる少女』

しおりを挟む
さて、聖女ラナ様は俺の動画を見ながら怪しげな笑顔を浮かべていた訳だが、完全に俺を置き去りにして一人で楽しんでいる。

何で俺の前に座ったの? この人。

「あの。ラナ様?」

「あっ! これは申し訳ございません! タツヤさん。あまりにも尊い世界に心を奪われておりました」

「ソウデスカ」

何言ってるんだろう。この人。

正気じゃねぇのかな。

「実はですね。そんな尊敬するタツヤさんに、今日はとても素晴らしいお話を持ってきたのです」

「なるほど」

「はい。こちらの世界なのですが、どうでしょうか? 私と共に参りませんか?」

俺はテーブルの上に置かれた資料を手に取って、表紙を見る。

そして、紙を一枚ずつめくりながら中身を確かめていった。

なるほど。分からない所はいくつかあるが、概要は掴んだ。

「いくつか質問があるのですが、よろしいでしょうか」

「はい」

「このエリスという子の備考欄に書かれている『悪役令嬢』というのは?」

「それは占い師によって予言された、未来にこの子が歩む道の名です。この子は何もしない場合、悪の道を歩んでしまうのです」

「そして、悪の道を歩むと、この聖女さんが役割をこなす事が出来なくなってしまい、世界が滅ぶと」

「はい」

「大分危険な世界ではないですか?」

「そうですね」

「私ではなく、もっと適任が居ると思うのですが」

「いいえ! タツヤさんが最も適しております! この子の心を大きく揺さぶる為には、タツヤさんでなくては!」

いやいやいや。大役過ぎんだろ。

冷静に考えて欲しいんだけど、一人の女の子が精神的に追い詰められた結果、世界を救う聖女の邪魔をするから、それを止めて欲しいという依頼で、何故、俺。

女の子の扱いならアーサーの方が絶対に上手いって!!

アーサーが無理でもさ。もっと居るじゃん。もっとさ。女の子との付き合いが上手い子!

ねぇ!?

「あの。恥ずかしながら俺は、女の子と付き合った経験も殆ど無いですし。もっと上手に話せる奴とかの方がいいのでは?」

「問題ありません」

聞く耳持たない聖女様だな!

だが、俺は負けんぞ!!

結局。その後俺は聖女ラナ様に抵抗したが、敗北し、共にこの世界へ行く事になった。



かくして、新たな世界へ行く事になった俺であったが、今回は何と子供の姿だ。

まぁ、まだ幼いエリスちゃんと仲良くなる為には同じ年くらいが良いからね。

年齢高すぎると、近づくだけで犯罪になってしまう。これは仕方のない事だ。

そして聖女ラナ様に何か切っ掛けが無いかと聞いたところ、ちょうどエリスちゃんの馬車が盗賊に襲われていると聞き、急いで異世界へと向かうのだった。

まぁ、トラブルが起きている以上は仕方ない。

ここでスパッと華麗に助け、エリスちゃんの信頼を獲得する予定だったのだが、馬車からエリスちゃんが何を思ったのか飛び出してきた為、それを庇って背中に盗賊のナイフを受けてしまった。

「このガキィ!」

「っ! この子に触れるな!!」

しかしそこは既に歴戦の戦士となりつつある俺である。サクっと敵を倒して、格好良く護衛として雇ってくれと言おうとしたんだが、エリスちゃんに無理矢理引っ張られて、馬車の中に叩き込まれてしまった。

そして、彼女の家まで運ばれてゆく。

それからメイドさんに風呂へ入れてもらい、俺はエリスちゃんの部屋に案内されるのだった。

「……あなた、だれ?」

「えと、俺はタツヤ」

「タツヤ?」

「そう」

「なんで、私を助けたの?」

「別に理由なんか無いさ。襲われてるのを見かけたから助けただけだ」

「……そう」

何だか落ち込んでいる様に見える。

なんだ。なんて言うのが、正解だ。

分からん!!

分からんが、この流れなら言えるか?

「あのさ」

「……なに?」

「実は俺、旅をしてるんだけどさ。その、仕事を探しててさ」

「……?」

「だー! もう! ごめん。上手く話せないや。あのさ。俺を雇ってくれないかな?」

「……あなたを?」

「そう。馬車に護衛も居なかったしさ。俺、腕には自信あるから、君を守れると思うんだよね」

「私を、まもる……でも信用できないわ」

「そりゃそうだ」

俺は子供らしさを前面に出しながら、笑う。

いやー。貴族相手に敬語を使わないとか、心臓がバクバク言ってるが、上手く耐えているぞ。

良い感じだ。

後は信用して貰えばこのまま雇って貰えそうだし。ここで必殺秘密兵器の登場でござい。

「これ。旅の途中で見つけたんだけどさ。ちょうど良いと思うんだよね。こっちのスイッチ持って」

俺はスイッチを持ってもらい。もう一方の首輪を空中に魔法で浮かし、影響が外に広がらない様に魔法で周囲を透明な膜で包む。

「そのスイッチ押してみて」

「……うん」

エリスちゃんは俺に言われた通り、スイッチを押し、直後膜の中で首輪がそれなりに大きな爆破を起こした。

そして、その爆発にエリスちゃんは目を見開いている様だった。

「どう? 凄いでしょ。これなら、俺が裏切っても、君がスイッチ一つを押すだけで大丈夫ってワケ」

俺はもう一個の首輪とスイッチを取り出し、首輪を自分の首に付け、スイッチをエリスちゃんに手渡した。

そして、笑う。

「どうかな?」

「や、やだ。こんなの持てない!」

「あぁ、言ってなかったけど、大丈夫。この爆発は外には向かわないからさ。安心してよ」

「そうじゃない! そういう事じゃない! だって、貴方、怖くないの?」

「まー。怖くないって言ったら嘘になるかな。でも、君に信用してもらいたいからさ」

「……どうしてそこまで」

悩み、迷い、戸惑っているエリスちゃんに俺は何と言えば良いか考える。

考えるが、正直良い言葉は思いつかなかったし。

ここに来るまでに考えていた言葉も忘れた。

だから、正直に本音を話してみる事にする。

短い間だが、エリスちゃんと直接話して心に浮かんだ言葉を。

「君の目がね。気になったんだ」

「目?」

「そう。目。最初に会った時も、今、こうして話をしていてもそうなんだけどさ。君の目が寂しいって訴えているみたいで、目を離したら何処かに消えてしまいそうで、気になったんだ。君をちゃんと見ていたいと思った」

「……」

「だから傍に居たいって思った。本当は色々目的があったんだけど……って、ヤベ。今のは忘れて下さい」

気分のままに話していたら失言をしてしまい。俺は両手で口を塞いだが、エリスちゃんは特に機嫌を悪くしたような様子はなく、ただ穏やかに小さく笑った。

「……うん。良いよ。貴方を、雇ってあげる」

「本当に?」

「うん。もし、私に何かしたいのなら、もうやってるだろうし。こんな怖い物を渡してきてまで、私に近づきたい『理由』があるんでしょう? 今の失言はワザとらしかったけど。そこまで頭が回るようには見えないし。本当に失言なのかな」

「……」

「多分私の命を奪いたいとか、そういう事じゃ無いんだろうけど。私には言えない理由なのね。そう考えると護衛っていうのも間違いじゃないのかな」

俺は背中を滝の様に流れる汗を感じながら、ジッと俺を見る黒くて冷たい黒曜石の様な瞳から逃れる事が出来ずに硬直してしまった。

全部……では無いだろうけど、バレテーラ。

やっぱり俺じゃ荷が重いってぇ! この仕事!

ムリムリカタツムリ!

「……っ」

「あら? なんで逃げるの? 私の護衛になりたいんでしょ? タツヤ。なら逃げちゃ駄目よ」

「申し訳、ございません」

「今の言葉。さっきまでの言葉と違って自然と出てきたわね。ならそっちが素なんだ。普段から敬語で生活してるって、どういう身分なのかしら」

たっ、タスケテー!!

俺は身動きの出来ぬまま、虚空に向かって助けを求めるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...