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第30話『女神メリア様の真実』
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昨今、朝と言えば一日で最高の時間であるが……。
『さぁ、目覚めなさい。女神メリアの使徒タツヤよ』
「……何やってるんですか? メリア様」
「私が朝ごはんを作って差し上げ、さらに起こしてあげました。どうですか?」
「いや、どうって言われても、どうも思わないですが」
「くっ、なんて強情な」
強情って……そりゃそうだろ。としか。
まぁ、良いや。朝から相手してても疲れるだけだし。さっさと準備しよ。
俺は何やら怒っているメリア様を無視して上着を脱いだ。
「きゃっ!?」
「は?」
「な、なに突然脱いでるんですか! 脱ぐなら脱ぐって言ってください! もう、恥ずかしいですね!」
メリア様はそう言うと、怒ってますよというアピールをしながら部屋から出て行った。
「……は?」
それからとりあえず着替えて、リビングに出ると、朝食……の様な物が用意されていた。
いや、多分朝食だ。
魚は炭になってるし、みそ汁の様な物は透明に見えるし、ご飯だけは唯一それっぽいが、なんか固まっている様にも見える。
「どうですか? 私だってやれば出来るんです」
自慢げに腕を組むメリア様の指には絆創膏がいくつも付いていた。
しかし、それに気づいた瞬間、メリア様は恥ずかしそうに頬を染めながら、胸の前でもじもじと両手を絡めて隠そうとする。
が、上手く隠せなかった為か、「失礼します」なんて言いながら走り去っていくのだった。
「……は?」
一人残された俺は、とりあえず魚を頭から食べ、ガリガリと食物がしてはいけない音を口の中からさせながら、味のないみそ汁とやたら固いごはんを食べるのだった。
とりあえず三人のご飯は俺が作ろうと心に決めながら。
そして、とりあえず三人の食事を用意してから、俺は日課になっている朝のランニングに行くわけだが、ここでは特に何も無かった。
しかし、しかしだ。
走り終わって帰ってきた俺に、メリア様がタオルを用意してくれたのだが、ラナ様の時とは違い、タオルはかなり潰れていて、まるでバッグにさっきまで入っていた様な……。
「あんまりマジマジと見ないでください。落とさない様に気を付けようと思って、抱きしめてたらこんな風になっちゃったんです。だって、どうやって持てば良いかよく分からなかったんですよ」
「……」
俺はとりあえず汗をぬぐい、それを持って洗濯機の所へ向かおうとした。
「あ、私が持っていきますよ! わ、凄い汗。スンスン。これが男の人の匂いなんですね……わっ、あ、ごめんなさい! 先に行ってますね!」
「……」
俺は走り去るメリア様の背中を見ながら立ち尽くしていた。
そしてようやく理解が追い付いて、思わず声を漏らした。
「……は?」
家に帰った俺は、とりあえずシャワーを浴びようと、風呂場に入り、頭から水流を叩きつけていた。
冷静になれ。
冷静になれ。
あれはメリア様だ。決して、ちょっと不器用な恋人ではない!
俺は壁に拳を叩きつけながら、心を強く持つ。
もう少しで落ちてしまいそうだった。
恐ろしい……これが女神の本気か!
確実に俺を殺しにきている。それだけは確かだった。
「この世界に来てから、俺はいくつもの修羅場を乗り越えてきた。この程度で負けてたまるかよ!」
『あ、あのー』
「っ!? な、なんですか!?」
『その、お背中流しにきました』
「は!? いやいやいや! 要らないですから!!」
『む。そんなに言われたら、むしろ突撃したくなってしまいますよ!』
「ちょ! 待ってください! 良いんですか!? 俺は今、裸で……」
「ふふん。大丈夫ですよ。対策はバッチリです。ちゃんと目隠しをしてきました。っ、きゃっ!」
「危ない!!」
目隠しをしたメリア様は当然の様に風呂場でバランスを崩し、倒れそうになってしまったが、それを何とか支えた。
しかし、しかしだ。
俺は今全力でシャワーを浴びている最中であり、一気に中まで入ってきたら、そのシャワーにメリア様も当たってしまう訳で。
「きゃっ!? な、なんですか!? いやっ」
「シャワーです! シャワーですよ!」
「そ、そうなんですか? びっくりしました」
目隠しをしたまま、風呂場の床に座り込むメリア様はあどけない表情で笑う。
が、服が大変な事になっていた。
俺は急いで壁の方を向き、その姿を見ない様にする。
「あれ? タツヤさん。どうしたんですか……って!!? わ、忘れてください!!」
メリア様はどたどたと走りながら風呂場から出て行った。
おそらくは俺の心を読んだのだろう。
普段はギリギリがー。なんて言いながら、チラ見せしてくるが、服から透けた下着には恥ずかしがるんだなと、俺は謎の情報を得てしまうのだった。
「……勘弁してくれ」
攻撃力が高すぎる。
わざとやっているのか?
そうとしか思えない。
しかし、風呂から出た後にリビングへ向かった俺は、そこで顔を真っ赤にしながら、蚊の鳴くような声で「忘れてください」なんて言うメリア様を見て、心臓を押さえるのだった。
死ぬ。これは、死ぬ。
このままメリア様と一緒に居るのは無理だ。
まず間違いなく殺される。
という訳で、俺は急ぎ、マザーの所へと向かった。
無論、出かけると言ったら、玄関までメリア様が出てきて、綺麗な笑顔で「いってらっしゃい。帰ってくるのを待ってますね」なんて言っていて、俺は死んだ。
そして死体のままマザーの所まで来て、クレームを入れるのだった。
「どういう事ですか。マザー。危うく死ぬところでしたよ」
「そうですか。それは申し訳ない事をしました。こんな事になるのなら、事前にお話をしておくべきでしたね」
「お話……?」
「はい。女神メリアについてです」
「メリア様について」
「メリアはタツヤさんもご存知の通り、信仰を集める為に、色仕掛けの様な事をしているのですが、実のところ、あの子にそういう方面の知識は無いのです」
「え? いや、そんなはずは」
「ただ、裸はエッチな物。そして、男の人は女の子の裸を見たいもの。程度の意識しかありません。それで、何故それが好きなのかはよく分からないまま、あの様な事を行っているのです。まぁ、直接でないというのも大きいのでしょうね」
「いやいや、だって、え?」
「タツヤさん。あの子は元々アーサー君やウィスタリアさんと同じ、争いばかりの世界で生まれた女神です。あの世界にはおよそ恋愛に関する事などなく、ただ命のやり取りしかありませんでした。そんな中で生きてきたメリアは、恋愛ごとなど何も知らず、人間も気が付いたら増えているという様な状態でした」
「……」
「そんな中で、恋愛に興味を持ったあの子が第七異世界課の子たちに借りたのが、いわゆる少女漫画や少年漫画と呼ばれる物で、おそらくはタツヤさんの世界から流れてきた物です」
「なるほど、それで……」
「ですから、あの子にとって直接触れ合ってきた人間というのは女の子しか居ないのです。どうか無礼な真似はお許しください」
「いえ。それは別に、はい。そうですか」
俺はマザーの言葉を聞きながら、呆然と呟いた。
なんて、事だ。
こんなの詐欺じゃないか。
ビッチ系の美少女痴女だと思っていたのに、本当は無知なだけの純粋な女の子だっただと!?
あかん。殺される。
これはあまりにも強すぎる。
「タツヤさん」
「はっ、はい!」
「これはただのお願いですが、良ければタツヤさんからあの子に色々な事を教えてあげてくれませんか?」
「え?」
「よろしくお願いします」
「いや、ちょっと!?」
マザーはだんだんと姿を消しながら、言葉だけを残す。
『大丈夫。手を出しても責任を取ってくれれば許しますよ』
「マザー!! 話を聞いてください、マザー!!!」
『では、頼みました』
かくして、俺はやたらと重い荷物を背負う事になるのだった。
『さぁ、目覚めなさい。女神メリアの使徒タツヤよ』
「……何やってるんですか? メリア様」
「私が朝ごはんを作って差し上げ、さらに起こしてあげました。どうですか?」
「いや、どうって言われても、どうも思わないですが」
「くっ、なんて強情な」
強情って……そりゃそうだろ。としか。
まぁ、良いや。朝から相手してても疲れるだけだし。さっさと準備しよ。
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「きゃっ!?」
「は?」
「な、なに突然脱いでるんですか! 脱ぐなら脱ぐって言ってください! もう、恥ずかしいですね!」
メリア様はそう言うと、怒ってますよというアピールをしながら部屋から出て行った。
「……は?」
それからとりあえず着替えて、リビングに出ると、朝食……の様な物が用意されていた。
いや、多分朝食だ。
魚は炭になってるし、みそ汁の様な物は透明に見えるし、ご飯だけは唯一それっぽいが、なんか固まっている様にも見える。
「どうですか? 私だってやれば出来るんです」
自慢げに腕を組むメリア様の指には絆創膏がいくつも付いていた。
しかし、それに気づいた瞬間、メリア様は恥ずかしそうに頬を染めながら、胸の前でもじもじと両手を絡めて隠そうとする。
が、上手く隠せなかった為か、「失礼します」なんて言いながら走り去っていくのだった。
「……は?」
一人残された俺は、とりあえず魚を頭から食べ、ガリガリと食物がしてはいけない音を口の中からさせながら、味のないみそ汁とやたら固いごはんを食べるのだった。
とりあえず三人のご飯は俺が作ろうと心に決めながら。
そして、とりあえず三人の食事を用意してから、俺は日課になっている朝のランニングに行くわけだが、ここでは特に何も無かった。
しかし、しかしだ。
走り終わって帰ってきた俺に、メリア様がタオルを用意してくれたのだが、ラナ様の時とは違い、タオルはかなり潰れていて、まるでバッグにさっきまで入っていた様な……。
「あんまりマジマジと見ないでください。落とさない様に気を付けようと思って、抱きしめてたらこんな風になっちゃったんです。だって、どうやって持てば良いかよく分からなかったんですよ」
「……」
俺はとりあえず汗をぬぐい、それを持って洗濯機の所へ向かおうとした。
「あ、私が持っていきますよ! わ、凄い汗。スンスン。これが男の人の匂いなんですね……わっ、あ、ごめんなさい! 先に行ってますね!」
「……」
俺は走り去るメリア様の背中を見ながら立ち尽くしていた。
そしてようやく理解が追い付いて、思わず声を漏らした。
「……は?」
家に帰った俺は、とりあえずシャワーを浴びようと、風呂場に入り、頭から水流を叩きつけていた。
冷静になれ。
冷静になれ。
あれはメリア様だ。決して、ちょっと不器用な恋人ではない!
俺は壁に拳を叩きつけながら、心を強く持つ。
もう少しで落ちてしまいそうだった。
恐ろしい……これが女神の本気か!
確実に俺を殺しにきている。それだけは確かだった。
「この世界に来てから、俺はいくつもの修羅場を乗り越えてきた。この程度で負けてたまるかよ!」
『あ、あのー』
「っ!? な、なんですか!?」
『その、お背中流しにきました』
「は!? いやいやいや! 要らないですから!!」
『む。そんなに言われたら、むしろ突撃したくなってしまいますよ!』
「ちょ! 待ってください! 良いんですか!? 俺は今、裸で……」
「ふふん。大丈夫ですよ。対策はバッチリです。ちゃんと目隠しをしてきました。っ、きゃっ!」
「危ない!!」
目隠しをしたメリア様は当然の様に風呂場でバランスを崩し、倒れそうになってしまったが、それを何とか支えた。
しかし、しかしだ。
俺は今全力でシャワーを浴びている最中であり、一気に中まで入ってきたら、そのシャワーにメリア様も当たってしまう訳で。
「きゃっ!? な、なんですか!? いやっ」
「シャワーです! シャワーですよ!」
「そ、そうなんですか? びっくりしました」
目隠しをしたまま、風呂場の床に座り込むメリア様はあどけない表情で笑う。
が、服が大変な事になっていた。
俺は急いで壁の方を向き、その姿を見ない様にする。
「あれ? タツヤさん。どうしたんですか……って!!? わ、忘れてください!!」
メリア様はどたどたと走りながら風呂場から出て行った。
おそらくは俺の心を読んだのだろう。
普段はギリギリがー。なんて言いながら、チラ見せしてくるが、服から透けた下着には恥ずかしがるんだなと、俺は謎の情報を得てしまうのだった。
「……勘弁してくれ」
攻撃力が高すぎる。
わざとやっているのか?
そうとしか思えない。
しかし、風呂から出た後にリビングへ向かった俺は、そこで顔を真っ赤にしながら、蚊の鳴くような声で「忘れてください」なんて言うメリア様を見て、心臓を押さえるのだった。
死ぬ。これは、死ぬ。
このままメリア様と一緒に居るのは無理だ。
まず間違いなく殺される。
という訳で、俺は急ぎ、マザーの所へと向かった。
無論、出かけると言ったら、玄関までメリア様が出てきて、綺麗な笑顔で「いってらっしゃい。帰ってくるのを待ってますね」なんて言っていて、俺は死んだ。
そして死体のままマザーの所まで来て、クレームを入れるのだった。
「どういう事ですか。マザー。危うく死ぬところでしたよ」
「そうですか。それは申し訳ない事をしました。こんな事になるのなら、事前にお話をしておくべきでしたね」
「お話……?」
「はい。女神メリアについてです」
「メリア様について」
「メリアはタツヤさんもご存知の通り、信仰を集める為に、色仕掛けの様な事をしているのですが、実のところ、あの子にそういう方面の知識は無いのです」
「え? いや、そんなはずは」
「ただ、裸はエッチな物。そして、男の人は女の子の裸を見たいもの。程度の意識しかありません。それで、何故それが好きなのかはよく分からないまま、あの様な事を行っているのです。まぁ、直接でないというのも大きいのでしょうね」
「いやいや、だって、え?」
「タツヤさん。あの子は元々アーサー君やウィスタリアさんと同じ、争いばかりの世界で生まれた女神です。あの世界にはおよそ恋愛に関する事などなく、ただ命のやり取りしかありませんでした。そんな中で生きてきたメリアは、恋愛ごとなど何も知らず、人間も気が付いたら増えているという様な状態でした」
「……」
「そんな中で、恋愛に興味を持ったあの子が第七異世界課の子たちに借りたのが、いわゆる少女漫画や少年漫画と呼ばれる物で、おそらくはタツヤさんの世界から流れてきた物です」
「なるほど、それで……」
「ですから、あの子にとって直接触れ合ってきた人間というのは女の子しか居ないのです。どうか無礼な真似はお許しください」
「いえ。それは別に、はい。そうですか」
俺はマザーの言葉を聞きながら、呆然と呟いた。
なんて、事だ。
こんなの詐欺じゃないか。
ビッチ系の美少女痴女だと思っていたのに、本当は無知なだけの純粋な女の子だっただと!?
あかん。殺される。
これはあまりにも強すぎる。
「タツヤさん」
「はっ、はい!」
「これはただのお願いですが、良ければタツヤさんからあの子に色々な事を教えてあげてくれませんか?」
「え?」
「よろしくお願いします」
「いや、ちょっと!?」
マザーはだんだんと姿を消しながら、言葉だけを残す。
『大丈夫。手を出しても責任を取ってくれれば許しますよ』
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