異界冒険譚シリーズ【ミラ編】-少女たちの冒険譚-

とーふ(代理カナタ)

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第14話『ミラ。二人きりで会いたい。ヘイムブルの、思い出の湖で君を待つ』 2/3

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「そして目的通りソイツを見つけたんだがな、このまま倒しても肉を持って行くのは大変じゃないかと気づいてな。二人で上手くソイツを誘導して式場まで連れて行ったんだ」

「えぇぇぇええ!? 何故、その様な事を!?」

「肉を運ぶのが面倒だったからな」

「さっきそう言っていただろう。聞いていなかったのか? ミラ。これがシュンの常識だ」

「聞いていましたけど、聞いていましたけれど! 結婚式ですよ!? 二人の幸せな場所ですよ!? 一番大事な瞬間じゃないですか! そこに!? 国難級の魔物を連れて行った!? どういう事ですか!」

「どういうと言われてもな、そのままだ」

「くぅっ」

私は過去の事とは知りつつも、今すぐその場所に移動して、シュンさんとそのお友達を止めたいと思ってしまった。

どうにか出来ないだろうか。

余りにも宗介さんと和葉さんが可哀想だ。

しかし、現実にはどうにも出来ず、ただ話を聞くばかりだ。

「それでな。上手く誘導出来て、式場まで運ぶことが出来たんだよ」

「ほぅほぅ。盛り上がってきたな」

「あぁ、あわわ」

「そして森の主と共に会場へと乱入した俺たちは、そのままその場で倒そうとしたのだが、ここで問題が発生してな。なんと、この魔物が暴走し始めたんだ。腕を大きく振るってな、地面に居る俺達を攻撃しようとした。まぁ、俺と時道は咄嗟に避けてかわしたんだが、コイツはそのまま体勢を崩して、会場へ倒れそうになってな」

「な、なんてことを……」

思わずその光景を想像して倒れそうになってしまった。

多くの苦難があり、ようやく一つのゴールへとたどり着いた二人に対するあまりにも、あんまりな仕打ち。

せめてこのお話の最後がハッピーエンドで終わる様にと私は祈る。

「会場も気づき、迎撃態勢を取ろうとしたのだが、どうやっても間に合わない。そこで俺と時道は己の限界を超え、代々家に伝わる技の域を超える領域へと足を踏み出した。それを両側から森の主に放つ事により、森の主はまた空中へと跳ね上がり、それに向かって宗介と和葉が共に己が放つ事の出来る最高の技を放ち、森の主を見事に打ち取ったという話だ」

「はっはっは。もう無茶苦茶だな。ヤマトの民というのは!」

「そうでもない。どこでも普通に行われている事だろう。確か、そう。結婚式では、二人で手を合わせて何かを真っ二つにするという……」

「もしかして、ケーキ入刀の話をしていますか?」

「あぁ、確かそんな名前だったな」

「少なくとも、シュンさんのお友達以外はその様なケーキ入刀を行ってません。普通にケーキを二人で切るだけです」

「そうか。だが、まぁ似たようなものだろう」

「……」

どこも同じじゃない!!
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