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第9話『消えた王のカケラ』①
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さて、完全に冷え切った部屋にいた私であるが、いつもの営業スマイルを浮かべたまま虚空に助けを求めていた。
その祈りが通じたのか、扉が勢いよく開かれて、オリヴァー君たちが駆け込んでくるのだった。
「シーラ様! お待たせいたしました!!」
「オリヴァー君。良かった」
「シーラ様! そのお顔の傷は! まさか、帝国の姫が」
「え? いや、これ自体はアイヴィさんが原因という訳では無いのですが、とりあえずキッフレイ大神聖帝国の方に事情をお話したいです」
「承知いたしました」
オリヴァー君は私の言葉に頷くと、私のすぐ傍に移動して、外から部屋の中にキッフレイ大神聖帝国の兵士さんと、初見のイケメンさんを入れるのだった。
「……アイヴィ」
「お、お兄様」
「何か隠していると思っていたが……まさか、この様な事を起こすとは。いや、私が気づいていなかっただけで前からか」
「……」
アイヴィが兄と言った青年は、ベッドに倒れているアイヴィを見下ろすと、小さく溜息を吐いた。
しかし、アイヴィのお兄さんという事は、あのオジサンの子供って事かぁ。
言っちゃ悪いけど、全く似てませんね。
いや、アイヴィとオジサンも似てないけどさ。
ん……よく見るとアイヴィとお兄さんは似ているな。
つまり、オジサンの遺伝子だけ行方不明って事かぁ。
奧さんはどれだけ美人だったのだろうか。
いや、オジサンも昔はイケメンだったのかもしれない。乙女ゲームの世界だし。若いころだけイケメン……。
それは嫌だな。
や、冷静に考えればジェイクさんはイケオジなのだから、関係ないわ。
奧さんの遺伝子が強すぎただけだな。うん。
「シーラ殿」
「はい」
何かアホみたいな事考えてたら、お兄さんに話しかけられた。
私は、間抜け面を晒さない様に、顔を引き締めつついつもの営業スマイルを浮かべる。
「この度は大変申し訳ございません。妹が悪しき思惑で貴殿に近づき、傷つけたようだ」
「いえ。私は自分から傷付きにいった様なものですから」
「と言いますと?」
「アイヴィさんが傀儡魔法なる魔法で、彼女たちを拘束していると聞き、解放しようと戦いを挑んだのです」
「……そうですか」
私はアイヴィに囚われていたメイドさん達に視線を向けながら、そう話すとアイヴィのお兄さんはやや目を細めながら頷いた。
感情は見えない。
「どうやらシーラ殿は噂に聞く以上に高潔な方の様だ。見知らぬ他人の為に、自らの危険も顧みず行動されるとは」
「そんな高尚な事はしていませんよ。ただ、出来るからしただけです」
「そうですか。この様な形で無ければ、素直にシーラ殿の言葉に喜べたのですが。残念です」
その祈りが通じたのか、扉が勢いよく開かれて、オリヴァー君たちが駆け込んでくるのだった。
「シーラ様! お待たせいたしました!!」
「オリヴァー君。良かった」
「シーラ様! そのお顔の傷は! まさか、帝国の姫が」
「え? いや、これ自体はアイヴィさんが原因という訳では無いのですが、とりあえずキッフレイ大神聖帝国の方に事情をお話したいです」
「承知いたしました」
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「……アイヴィ」
「お、お兄様」
「何か隠していると思っていたが……まさか、この様な事を起こすとは。いや、私が気づいていなかっただけで前からか」
「……」
アイヴィが兄と言った青年は、ベッドに倒れているアイヴィを見下ろすと、小さく溜息を吐いた。
しかし、アイヴィのお兄さんという事は、あのオジサンの子供って事かぁ。
言っちゃ悪いけど、全く似てませんね。
いや、アイヴィとオジサンも似てないけどさ。
ん……よく見るとアイヴィとお兄さんは似ているな。
つまり、オジサンの遺伝子だけ行方不明って事かぁ。
奧さんはどれだけ美人だったのだろうか。
いや、オジサンも昔はイケメンだったのかもしれない。乙女ゲームの世界だし。若いころだけイケメン……。
それは嫌だな。
や、冷静に考えればジェイクさんはイケオジなのだから、関係ないわ。
奧さんの遺伝子が強すぎただけだな。うん。
「シーラ殿」
「はい」
何かアホみたいな事考えてたら、お兄さんに話しかけられた。
私は、間抜け面を晒さない様に、顔を引き締めつついつもの営業スマイルを浮かべる。
「この度は大変申し訳ございません。妹が悪しき思惑で貴殿に近づき、傷つけたようだ」
「いえ。私は自分から傷付きにいった様なものですから」
「と言いますと?」
「アイヴィさんが傀儡魔法なる魔法で、彼女たちを拘束していると聞き、解放しようと戦いを挑んだのです」
「……そうですか」
私はアイヴィに囚われていたメイドさん達に視線を向けながら、そう話すとアイヴィのお兄さんはやや目を細めながら頷いた。
感情は見えない。
「どうやらシーラ殿は噂に聞く以上に高潔な方の様だ。見知らぬ他人の為に、自らの危険も顧みず行動されるとは」
「そんな高尚な事はしていませんよ。ただ、出来るからしただけです」
「そうですか。この様な形で無ければ、素直にシーラ殿の言葉に喜べたのですが。残念です」
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