111 / 246
第35話『完璧な入学式』①
しおりを挟む
時が過ぎて、レナちゃんが学園に入学する年齢になった。
そう。16歳である。
これでいよいよ『春風に囁く恋の詩』のゲーム本編が始まるのだ。
長かった。
本当に長かった。
レナちゃんを引き取った時から考えてもそうだけど、そもそもこの世界に転生してからもかなりの時間が経った様に思う。
当初の目標であった、この世界から不幸な子供を無くそう作戦は大分順調で、ムイゼンと同じ様な学園を世界中に増やすのと並行して、学園内に孤児院を作る事が出来たので、不幸になりそうな子供はそこに入れる事が出来る。
そして、16歳になったら、それぞれの学園に入るか、オリヴァー君が作った冒険者組合に入るか選択出来て、自分で生きる方法を選べるという訳だ。
まぁ、勿論それ以外の全く関係ない道を選ぶ事も出来る。
ただ、そっちは私があまりサポートが出来ないというだけで……。
私としては、出来れば何もない道を歩むより、楽な道を選んで貰いたいのだけれど。
でも、子供の人生だしなぁ。
悩ましい。
「シーラ様」
「……うぅむ」
「シーラ様!」
「はっ! な、なんでしょうか!?」
「いえ。そろそろ入学式が始まりますので」
「あ、そうですね。挨拶ですね。はい。頑張ります!」
「お願いします」
私はペコリと挨拶をして、待機室から出て体育館へと入った。
そして、本当に大勢の学生が座っているのを確認して、ゴクリと唾を飲み込む。
体育館の後ろから入って、テクテクと歩きながら、並んで座っている学生の横を進んだ。
途中に、レナちゃんが座っているのが見えて、レナちゃんが振った手に私も手を振ったのだが、一気に生徒がざわついてしまい途中で中断した。
そんな一挙手一投足を気にするのは止めて欲しいと思う。
いや、確かに私はエルフで珍しいだろうけどさ。
動物園の動物では無いのだ。許して欲しい。
そして、どうにか手足を動かして、壇上に立った私は私用の台に上り、講演台に両手をついて視界の中にいる生徒達へ話をするのだった。
『あーあー』
拡声器に魔力を流して声の状態を確認し、大きく息を吸って、吐いた。
そう。16歳である。
これでいよいよ『春風に囁く恋の詩』のゲーム本編が始まるのだ。
長かった。
本当に長かった。
レナちゃんを引き取った時から考えてもそうだけど、そもそもこの世界に転生してからもかなりの時間が経った様に思う。
当初の目標であった、この世界から不幸な子供を無くそう作戦は大分順調で、ムイゼンと同じ様な学園を世界中に増やすのと並行して、学園内に孤児院を作る事が出来たので、不幸になりそうな子供はそこに入れる事が出来る。
そして、16歳になったら、それぞれの学園に入るか、オリヴァー君が作った冒険者組合に入るか選択出来て、自分で生きる方法を選べるという訳だ。
まぁ、勿論それ以外の全く関係ない道を選ぶ事も出来る。
ただ、そっちは私があまりサポートが出来ないというだけで……。
私としては、出来れば何もない道を歩むより、楽な道を選んで貰いたいのだけれど。
でも、子供の人生だしなぁ。
悩ましい。
「シーラ様」
「……うぅむ」
「シーラ様!」
「はっ! な、なんでしょうか!?」
「いえ。そろそろ入学式が始まりますので」
「あ、そうですね。挨拶ですね。はい。頑張ります!」
「お願いします」
私はペコリと挨拶をして、待機室から出て体育館へと入った。
そして、本当に大勢の学生が座っているのを確認して、ゴクリと唾を飲み込む。
体育館の後ろから入って、テクテクと歩きながら、並んで座っている学生の横を進んだ。
途中に、レナちゃんが座っているのが見えて、レナちゃんが振った手に私も手を振ったのだが、一気に生徒がざわついてしまい途中で中断した。
そんな一挙手一投足を気にするのは止めて欲しいと思う。
いや、確かに私はエルフで珍しいだろうけどさ。
動物園の動物では無いのだ。許して欲しい。
そして、どうにか手足を動かして、壇上に立った私は私用の台に上り、講演台に両手をついて視界の中にいる生徒達へ話をするのだった。
『あーあー』
拡声器に魔力を流して声の状態を確認し、大きく息を吸って、吐いた。
3
あなたにおすすめの小説
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる