愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

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第35話『完璧な入学式』①

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時が過ぎて、レナちゃんが学園に入学する年齢になった。

そう。16歳である。

これでいよいよ『春風に囁く恋の詩』のゲーム本編が始まるのだ。

長かった。

本当に長かった。

レナちゃんを引き取った時から考えてもそうだけど、そもそもこの世界に転生してからもかなりの時間が経った様に思う。

当初の目標であった、この世界から不幸な子供を無くそう作戦は大分順調で、ムイゼンと同じ様な学園を世界中に増やすのと並行して、学園内に孤児院を作る事が出来たので、不幸になりそうな子供はそこに入れる事が出来る。

そして、16歳になったら、それぞれの学園に入るか、オリヴァー君が作った冒険者組合に入るか選択出来て、自分で生きる方法を選べるという訳だ。

まぁ、勿論それ以外の全く関係ない道を選ぶ事も出来る。

ただ、そっちは私があまりサポートが出来ないというだけで……。

私としては、出来れば何もない道を歩むより、楽な道を選んで貰いたいのだけれど。

でも、子供の人生だしなぁ。

悩ましい。

「シーラ様」

「……うぅむ」

「シーラ様!」

「はっ! な、なんでしょうか!?」

「いえ。そろそろ入学式が始まりますので」

「あ、そうですね。挨拶ですね。はい。頑張ります!」

「お願いします」

私はペコリと挨拶をして、待機室から出て体育館へと入った。

そして、本当に大勢の学生が座っているのを確認して、ゴクリと唾を飲み込む。

体育館の後ろから入って、テクテクと歩きながら、並んで座っている学生の横を進んだ。

途中に、レナちゃんが座っているのが見えて、レナちゃんが振った手に私も手を振ったのだが、一気に生徒がざわついてしまい途中で中断した。

そんな一挙手一投足を気にするのは止めて欲しいと思う。

いや、確かに私はエルフで珍しいだろうけどさ。

動物園の動物では無いのだ。許して欲しい。

そして、どうにか手足を動かして、壇上に立った私は私用の台に上り、講演台に両手をついて視界の中にいる生徒達へ話をするのだった。

『あーあー』

拡声器に魔力を流して声の状態を確認し、大きく息を吸って、吐いた。
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