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第38話『勝利者などいない戦い』③
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それからナルシス君とレナちゃんがそれぞれ別の場所に立ち、強い方法だと思っている方に人が集まってゆく。
見た感じでは、平民とか騎士とか、戦う経験の多い方がレナちゃんの方に付いて、貴族とか学者とかあまり戦った経験のない方がナルシス君の方に付いている感じかな。
とりあえず全員がどちらかのチームに分かれた事を確認し、私は自分の分身を作りそれぞれのチームに向かわせた。
「はい。では敗北条件はそのコピーシーラが消えたらです」
「じゃあ勝ったら貰っても良いの!?」
「駄目です!」
「ぶー!」
レナちゃんから謎の注文が飛んできたが、何か変な事に使う人が出てきそうだから、却下しておいた。
そして、何故かナルシス君の方はコピーの私用の椅子を用意していて、そこにお姫様の様に座らせていた。
お人形遊びとか好きなんだろうか。
逆にレナちゃんの方は私のコピーを持ち上げて、体の細部を確認したりしている。
……さっさと始めて終わらせよう。
作戦名:夕焼けの河原で殴り合って友情や愛情を育もう作戦。
「では、始め!」
開始の合図と同時にあらかじめ話した様に、レナちゃんが魔力砲をナルシス君達に向かって放つ。
しかし、ナルシス君たちは防御魔法でそれを防ぐ……と見せかけて、防御魔法の人に魔法闘争を仕掛けさせてから、別の人が魔法で土の壁を作り、それで魔力砲を防いでゆく。
そして、その壁で身を隠しながらレナちゃん達に向かって魔法を使おうとするのだった。
だが、その魔法は魔法闘争で防がれて、と一進一退の攻防をしている。
何だかんだと優秀な人たちが多いから、戦いは拮抗している様だ。
そんな中、一人、一人と魔法を受けて退場してゆき、最後にナルシス君とレナちゃんの二人だけになった。
想定通りの展開である。
ここから二人の分かり合う展開がと私が期待に思わず立ち上がる。
そして、魔法で地面を爆発させてレナちゃんがナルシス君へと一気に迫る。
おそらくは魔法闘争で決着をつけるつもりなのだろう。
ナルシス君もそう考えたのかスカウターを用意して……固く握りしめたレナちゃんの拳を頬に叩きつけられて、地面に転がる。
「えぇ!?」
レナちゃんはそれから地面に転がっているナルシス君に魔力砲を放ち、それを防ごうと魔法を使おうとしている所を魔法闘争で邪魔する。
私は咄嗟にナルシス君を助けたが、泥にまみれ、ボロボロなナルシス君は大層不憫な姿だった。
「も、申し訳、ございません。シーラ様」
「い、いえ。怪我は大丈夫ですか?」
「ふん。よわっ! また口だけだったね! じゃ、私はシーラちゃんを二人とも持って帰るから」
地面に転がるナルシス君を見て、鼻で笑い去ってゆくレナちゃんを見ながら私はコピーを消して、何か想定とは違う景色に首を傾げた。
何がいけなかったんだろうか。
次は気を付けないと。
そして、演習場では悔しそうなナルシス君とレナちゃんの声が響くのだった。
見た感じでは、平民とか騎士とか、戦う経験の多い方がレナちゃんの方に付いて、貴族とか学者とかあまり戦った経験のない方がナルシス君の方に付いている感じかな。
とりあえず全員がどちらかのチームに分かれた事を確認し、私は自分の分身を作りそれぞれのチームに向かわせた。
「はい。では敗北条件はそのコピーシーラが消えたらです」
「じゃあ勝ったら貰っても良いの!?」
「駄目です!」
「ぶー!」
レナちゃんから謎の注文が飛んできたが、何か変な事に使う人が出てきそうだから、却下しておいた。
そして、何故かナルシス君の方はコピーの私用の椅子を用意していて、そこにお姫様の様に座らせていた。
お人形遊びとか好きなんだろうか。
逆にレナちゃんの方は私のコピーを持ち上げて、体の細部を確認したりしている。
……さっさと始めて終わらせよう。
作戦名:夕焼けの河原で殴り合って友情や愛情を育もう作戦。
「では、始め!」
開始の合図と同時にあらかじめ話した様に、レナちゃんが魔力砲をナルシス君達に向かって放つ。
しかし、ナルシス君たちは防御魔法でそれを防ぐ……と見せかけて、防御魔法の人に魔法闘争を仕掛けさせてから、別の人が魔法で土の壁を作り、それで魔力砲を防いでゆく。
そして、その壁で身を隠しながらレナちゃん達に向かって魔法を使おうとするのだった。
だが、その魔法は魔法闘争で防がれて、と一進一退の攻防をしている。
何だかんだと優秀な人たちが多いから、戦いは拮抗している様だ。
そんな中、一人、一人と魔法を受けて退場してゆき、最後にナルシス君とレナちゃんの二人だけになった。
想定通りの展開である。
ここから二人の分かり合う展開がと私が期待に思わず立ち上がる。
そして、魔法で地面を爆発させてレナちゃんがナルシス君へと一気に迫る。
おそらくは魔法闘争で決着をつけるつもりなのだろう。
ナルシス君もそう考えたのかスカウターを用意して……固く握りしめたレナちゃんの拳を頬に叩きつけられて、地面に転がる。
「えぇ!?」
レナちゃんはそれから地面に転がっているナルシス君に魔力砲を放ち、それを防ごうと魔法を使おうとしている所を魔法闘争で邪魔する。
私は咄嗟にナルシス君を助けたが、泥にまみれ、ボロボロなナルシス君は大層不憫な姿だった。
「も、申し訳、ございません。シーラ様」
「い、いえ。怪我は大丈夫ですか?」
「ふん。よわっ! また口だけだったね! じゃ、私はシーラちゃんを二人とも持って帰るから」
地面に転がるナルシス君を見て、鼻で笑い去ってゆくレナちゃんを見ながら私はコピーを消して、何か想定とは違う景色に首を傾げた。
何がいけなかったんだろうか。
次は気を付けないと。
そして、演習場では悔しそうなナルシス君とレナちゃんの声が響くのだった。
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