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第67話『世界を変えた一言』(ヤスミン視点)①
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(ヤスミン視点)
とんでもない事が始まった。
私は体育館で叫ぶ人々を見ながらふとそんな事を思った。
多分、この体育館に居る人の中で普通の人間は私一人だろう。
私以外の人は暴走し、熱狂し、叫んでいる。
正直、ちょっと帰りたい。
私の家は、どちらかと言うとのんびりしたタイプの人ばかりで、お父様もお母様もお兄様もマイペースでのんびり屋だ。
そんな家だからか、使用人の人ものんびりとした人が多くて、下級貴族という事もあり、和やかな空気が流れている様な家である。
だから、か。
強くて凛々しくて、格好良くて。自分で道を決めたらどんどん進んでゆくレナに憧れて友達になったのだけれど。
まさか、こんな風になってしまうとは。
群衆の前で拳を突き上げて、叫ぶレナを見ていると、なんか思ってたのと違うな。という感想が胸を過る。
そう。そうなのだ。
ほんのちょっと前まで、格好いいレナが女の子として目覚めそうになっていて、とても可愛らしい顔をしながら、恋ってなんだと思う? なんて乙女の質問をしてきていたのに。
今は倒せ、滅ぼせ、前に進めと、過激な騎士みたいな事を口にしている。
いったい何があったんだろうか。
私たちの部屋に飛び込んできたシーラ様はレナが聖女だって言ってたけど、聖女ってこういう人じゃなかった気がする。
暴れる魔物を大人しくさせたっていう伝説もあるけど、それは聖女の心の清らかさに魔物の中に心が芽生えて……。とかそういう伝説のハズだ。
今のレナはどちらかと言うと、力で魔物を制圧して、言う事を聞かせている様な感じだろう。
イメージと違う。
こんなの、私が子供の頃に憧れた聖女様じゃない。
そう。そうだよ。
どちらかと言うと、レナは戦乙女って感じじゃない。
前に出て、卑劣な敵と戦ってさ。強くて美しくて、凛々しい。
そんな姿はまさにレナという感じだ。
うんうん。そんなレナが恋に悩むのも、かなりアリだ。
でも、そう考えると、聖女様の位置を誰にするかが悩ましいよね。
王道なら、同じ部屋の私だけど、私は聖女なんで柄じゃない。
どちらかと言うと、聖女様の伝説を広める語り手だ。
趣味で書き物もしてるしね。
そうなると……。
「聖女様は、シーラ様?」
うーん。しっくりくる。
エルフだから神秘性も高いし、可愛いし。
レナとは昔からの知り合いだし。
最適かな……。と、妄想の海に沈んでいた私は気が付いたら、周りの人が私を見ながら黙り込んでいる事に気づいた。
とんでもない事が始まった。
私は体育館で叫ぶ人々を見ながらふとそんな事を思った。
多分、この体育館に居る人の中で普通の人間は私一人だろう。
私以外の人は暴走し、熱狂し、叫んでいる。
正直、ちょっと帰りたい。
私の家は、どちらかと言うとのんびりしたタイプの人ばかりで、お父様もお母様もお兄様もマイペースでのんびり屋だ。
そんな家だからか、使用人の人ものんびりとした人が多くて、下級貴族という事もあり、和やかな空気が流れている様な家である。
だから、か。
強くて凛々しくて、格好良くて。自分で道を決めたらどんどん進んでゆくレナに憧れて友達になったのだけれど。
まさか、こんな風になってしまうとは。
群衆の前で拳を突き上げて、叫ぶレナを見ていると、なんか思ってたのと違うな。という感想が胸を過る。
そう。そうなのだ。
ほんのちょっと前まで、格好いいレナが女の子として目覚めそうになっていて、とても可愛らしい顔をしながら、恋ってなんだと思う? なんて乙女の質問をしてきていたのに。
今は倒せ、滅ぼせ、前に進めと、過激な騎士みたいな事を口にしている。
いったい何があったんだろうか。
私たちの部屋に飛び込んできたシーラ様はレナが聖女だって言ってたけど、聖女ってこういう人じゃなかった気がする。
暴れる魔物を大人しくさせたっていう伝説もあるけど、それは聖女の心の清らかさに魔物の中に心が芽生えて……。とかそういう伝説のハズだ。
今のレナはどちらかと言うと、力で魔物を制圧して、言う事を聞かせている様な感じだろう。
イメージと違う。
こんなの、私が子供の頃に憧れた聖女様じゃない。
そう。そうだよ。
どちらかと言うと、レナは戦乙女って感じじゃない。
前に出て、卑劣な敵と戦ってさ。強くて美しくて、凛々しい。
そんな姿はまさにレナという感じだ。
うんうん。そんなレナが恋に悩むのも、かなりアリだ。
でも、そう考えると、聖女様の位置を誰にするかが悩ましいよね。
王道なら、同じ部屋の私だけど、私は聖女なんで柄じゃない。
どちらかと言うと、聖女様の伝説を広める語り手だ。
趣味で書き物もしてるしね。
そうなると……。
「聖女様は、シーラ様?」
うーん。しっくりくる。
エルフだから神秘性も高いし、可愛いし。
レナとは昔からの知り合いだし。
最適かな……。と、妄想の海に沈んでいた私は気が付いたら、周りの人が私を見ながら黙り込んでいる事に気づいた。
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