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第2話『私の泣き落としで落ちない奴は居ない!!』
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さて。
美少女ハーレムを作るとして一番大事な事は何だろうか。
それは当然、攻略である!!!
当たり前だ。近寄っていくだけで好感持たれるとか。
ちょっと手を差し伸べたら惚れられるとか。
ニ、三回会話したら交際開始とか、する訳がない。
お忘れか? この世界は恋愛ゲームの世界だ。
ちゃんと好感度パラメータが隠しではあるが存在していて、選択肢どころか行動一つにしたって好感度は上下する。
分かりやすい例を言おう。
アリスちゃんという銀河最強のヒロインが居る。
彼女は実は転生者なのだが、前世ではとても大切な人を亡くしたという設定がある。
故に、この世界に生まれ変わってからは強く気高くあろうと考え、弱者の為に戦うヒーローになりたいという夢を持っている。
とても素晴らしいね。美しい。目が開けられませぇん!!
しかしだ。そんなアリスちゃんの見た目は可愛いを凝縮し、さらに集め凝縮した様な美少女だ。
流れる長い金色の髪は光をそのまま溶かしたようであるし、甘い顔立ちは人形の様でありながら、人間らしい温かみがあって、微笑まれるだけで全人類が惚れてしまうだろう。
私は惚れた。
そしてどこまでも透き通る青空を切り抜いたとも言われる瞳はいつも蒼く輝いていて、その意思の強さを宿している。
なるほど、確かに。戦うヒロイン。いや、ヒーローとしてはかなり良い感じだ。
気高さと美しさが完璧に調和している。
しかし、ロリだ。
ロリなのだ。しかも見た目だけで言うなら攻略キャラクターの中で最年少に見える。
あ、いや。リゼットコゼットコンビが居るから、流石に一番年下では無いけれど。ガチロリと比べられるレベルである。
そうなればどうなるか?
可愛いのだ。ひたすらに。
ただ、ただ可愛い。
だから罠の様に設置されている可愛いという選択肢を選びまくり、死ぬ。
彼女は格好いいを求めているのだから当然だろう。
という訳で、各キャラクターごとにガッチリ、カッチリした攻略をしなければいけないという事だ。
ちなみに攻略情報なんてあまり役に立たないと思った方が良いだろう。
何せ戦闘中の指示で好感度が上下するゲームだぞ? もはやちょっとした会話仕草ですら好感度は変化すると思った方が良い。
まぁだからこそ、エリカ様とアリスちゃんを狙うのだけれど。
ふふ。ふふふ。
先ほど攻略情報などないと言ったなぁ! そう確かに攻略情報は無い!
無いが、あるのだよ。二人を攻略する方法が!
それは! 私が無力で可哀想な女の子になる! という事だ。
何故それが良いのか分からないだろう。理由は簡単だ。
先ほどアリスちゃんが前世で大切な人を亡くしたと言ったが、それはエリカ様も同じなのだ。
エリカ様は異世界から転移してくる御方なのだけれど、幼い頃に大切な人を亡くしているらしい。
なんて悲しい。
まぁ異界冒険譚シリーズだし。人の命が安いのはしょうがないけれど、それにしたってもう少しこう手心というか。
どっちのモードもプロローグ前にメインオブメインキャラが曇ってるんですけどォ!?
いや、文句を言ってもしょうがない。ここにゲーム開発者は居ないのだから。
だが考えようによってはこれはチャンスとなる。
そう。幼い頃、この世界が異界冒険譚シリーズの世界であると知ってしまった私は、そこで思いついたのだ。
二人の優しい心につけ込もうと。
我ながら最悪な発想をしているという事は理解している。理解しているが、私だって死にたくないのだ。
前世はロクな死に方しなかったし。
今世くらい幸せに生きたいのだ。
だから、二人には私と共に生きてもらう。
全力で幸せにするから! 私を護って下さい! そして私を導いてください!
という気持ちで、いこうかなと思っています。対戦よろしくお願いします。
なんて、教会の中庭で日向ぼっこをしながら考えていたら、不意に遠くから声が聞こえてきた。
「セシル! こんな所に居たのね!」
「あら。ニナ。何かありましたか?」
「いや、別に何も無いけどさ。一応アタシ。聖女様の護衛騎士だから。傍に居ないといけないのよ」
「そういえば、そうでしたね。でも少しの間くらい私一人でも大丈夫ですよ」
「セーシール? 約束、ちゃんと覚えてるんでしょうね?」
「や、約束ですか? 当然覚えてますよ」
「ふぅーん。じゃあ言って見なさい」
「え!? あ、あの、その。絶対に一人で行動しない様に。ニナが部屋に行くまで部屋から出ないで待っている事……ですか?」
「その通り。ではお聞きしますけど、聖女様? 朝はどの様な行動をされておりましたか?」
「いや、あの……その。一人で部屋を出て、お祈りを」
「もう!! 焦る気持ちは分りますけどね! そうやって勝手な行動を取られると困るんですよ!」
「ひぃ。ご、ごめんなさい。ごめんなさい」
私は必死にニナに頭を下げながら赦しを請うた。
正直朝は頭空っぽ過ぎてなーんにも考えずに行動していたから、こんな事になってしまったのである。
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
……でも、と思う。
もしこれがアリスちゃんかエリカ様ならどうだろうか。
私のミスであったとしても、私をフォローしてくれるのではないだろうか。
優しく抱きしめて、セシルさんは悪い事をしたかもしれないですけど。反省しているので、そんなに気にしないでくださいとか言ったのではないだろうか。
しかし、ニナはどうだ。
私を冷たい目で見下ろして、私が頭を下げ続けている現状に何も言わない。
まるでそれが当然であるかの様に。
怖い。幼馴染が怖い!
昔はこんな風じゃ無かった!
もっと優しくて、私に甘えていて、私を甘やかしてくれたのに!
今は細かい事をネチネチ、ちょっとした事でガミガミ言う教育ママみたいになってしまったのだ。
私は悲しい。
でも、まぁ。良い所もある。
元々女の子ながら活発なタイプであったニナは、いつの間にか男装をした騎士になっていたのだ。
しかもこれがビックリするくらい似合っている。
私は前世においてかなり雑食なオタクであったが、そうでなかったとしても男装女子とかいう完全生命体を嫌いになる訳が無い。
当たり前だ。
だって見てよ!
元々それなりに長かった栗色の髪を一つにまとめて、男性用の騎士服を着ていてもさぁ! 唇には目立たないくらい僅かに色を差してんだよ!?
それに、それにさ! 元々美麗な顔立ちだから格好良いんだよ! しかも、王子様みたいな甘い笑顔も出来るからさ。完璧のペキって訳よ。
さらに私の推しオタクポイントを言うのなら、瞳だね。トパーズの瞳がさ。火の魔術を使うと赤い色が混じって、輝くんだよ。
それで、それで! 聖女様に触れるな! って剣を振り回しながら魔物を斬っていくニナはもう……ヤバい。
乙女ゲームモードに居たら攻略してたわ。間違いなく。
しかし、残念ながらニナという最高の素材を傍に置くのはこのパチモン聖女である。
どうも。申し訳ございません。
でも絵面だけは良いから許してちょ。
ほら。私、この世界じゃ美少女だから。ガハハ。
なんて笑っている場合じゃないな。そろそろ本格的に赦しを請うとするか。
「あの。ニナ……許しては貰えないでしょうか?」
「うっ」
両手を握り合わせて身長の高いニナを見上げながらウルウル。
瞳を滲ませる速さなら、この世界でもダントツトップな私は、泣き落としが何よりも得意である。
そしてェ!! 私の顔面偏差値は高い。
ここから導き出される結論はー!!
「……はぁ。今回だけですよ。次からは気を付けてください。私も早く動ける様にはしますから」
こうである!!
ドヤ。
私の泣き落としで落ちない奴は居ない!!
強靭! 無敵! 最強!!
このまま世界を……じゃなかった。エリカ様とアリスちゃんを捕りにイクゾォオオオ!!
という訳で、そろそろ計画を実行に移しますか。
もうちっとでエリカ様が転移してくる頃だしね。
出来れば転移イベント見たい!!!
なので、エリカ様が現れる予定のヴェルクモント王立学院へ。
ゴー! だ。
美少女ハーレムを作るとして一番大事な事は何だろうか。
それは当然、攻略である!!!
当たり前だ。近寄っていくだけで好感持たれるとか。
ちょっと手を差し伸べたら惚れられるとか。
ニ、三回会話したら交際開始とか、する訳がない。
お忘れか? この世界は恋愛ゲームの世界だ。
ちゃんと好感度パラメータが隠しではあるが存在していて、選択肢どころか行動一つにしたって好感度は上下する。
分かりやすい例を言おう。
アリスちゃんという銀河最強のヒロインが居る。
彼女は実は転生者なのだが、前世ではとても大切な人を亡くしたという設定がある。
故に、この世界に生まれ変わってからは強く気高くあろうと考え、弱者の為に戦うヒーローになりたいという夢を持っている。
とても素晴らしいね。美しい。目が開けられませぇん!!
しかしだ。そんなアリスちゃんの見た目は可愛いを凝縮し、さらに集め凝縮した様な美少女だ。
流れる長い金色の髪は光をそのまま溶かしたようであるし、甘い顔立ちは人形の様でありながら、人間らしい温かみがあって、微笑まれるだけで全人類が惚れてしまうだろう。
私は惚れた。
そしてどこまでも透き通る青空を切り抜いたとも言われる瞳はいつも蒼く輝いていて、その意思の強さを宿している。
なるほど、確かに。戦うヒロイン。いや、ヒーローとしてはかなり良い感じだ。
気高さと美しさが完璧に調和している。
しかし、ロリだ。
ロリなのだ。しかも見た目だけで言うなら攻略キャラクターの中で最年少に見える。
あ、いや。リゼットコゼットコンビが居るから、流石に一番年下では無いけれど。ガチロリと比べられるレベルである。
そうなればどうなるか?
可愛いのだ。ひたすらに。
ただ、ただ可愛い。
だから罠の様に設置されている可愛いという選択肢を選びまくり、死ぬ。
彼女は格好いいを求めているのだから当然だろう。
という訳で、各キャラクターごとにガッチリ、カッチリした攻略をしなければいけないという事だ。
ちなみに攻略情報なんてあまり役に立たないと思った方が良いだろう。
何せ戦闘中の指示で好感度が上下するゲームだぞ? もはやちょっとした会話仕草ですら好感度は変化すると思った方が良い。
まぁだからこそ、エリカ様とアリスちゃんを狙うのだけれど。
ふふ。ふふふ。
先ほど攻略情報などないと言ったなぁ! そう確かに攻略情報は無い!
無いが、あるのだよ。二人を攻略する方法が!
それは! 私が無力で可哀想な女の子になる! という事だ。
何故それが良いのか分からないだろう。理由は簡単だ。
先ほどアリスちゃんが前世で大切な人を亡くしたと言ったが、それはエリカ様も同じなのだ。
エリカ様は異世界から転移してくる御方なのだけれど、幼い頃に大切な人を亡くしているらしい。
なんて悲しい。
まぁ異界冒険譚シリーズだし。人の命が安いのはしょうがないけれど、それにしたってもう少しこう手心というか。
どっちのモードもプロローグ前にメインオブメインキャラが曇ってるんですけどォ!?
いや、文句を言ってもしょうがない。ここにゲーム開発者は居ないのだから。
だが考えようによってはこれはチャンスとなる。
そう。幼い頃、この世界が異界冒険譚シリーズの世界であると知ってしまった私は、そこで思いついたのだ。
二人の優しい心につけ込もうと。
我ながら最悪な発想をしているという事は理解している。理解しているが、私だって死にたくないのだ。
前世はロクな死に方しなかったし。
今世くらい幸せに生きたいのだ。
だから、二人には私と共に生きてもらう。
全力で幸せにするから! 私を護って下さい! そして私を導いてください!
という気持ちで、いこうかなと思っています。対戦よろしくお願いします。
なんて、教会の中庭で日向ぼっこをしながら考えていたら、不意に遠くから声が聞こえてきた。
「セシル! こんな所に居たのね!」
「あら。ニナ。何かありましたか?」
「いや、別に何も無いけどさ。一応アタシ。聖女様の護衛騎士だから。傍に居ないといけないのよ」
「そういえば、そうでしたね。でも少しの間くらい私一人でも大丈夫ですよ」
「セーシール? 約束、ちゃんと覚えてるんでしょうね?」
「や、約束ですか? 当然覚えてますよ」
「ふぅーん。じゃあ言って見なさい」
「え!? あ、あの、その。絶対に一人で行動しない様に。ニナが部屋に行くまで部屋から出ないで待っている事……ですか?」
「その通り。ではお聞きしますけど、聖女様? 朝はどの様な行動をされておりましたか?」
「いや、あの……その。一人で部屋を出て、お祈りを」
「もう!! 焦る気持ちは分りますけどね! そうやって勝手な行動を取られると困るんですよ!」
「ひぃ。ご、ごめんなさい。ごめんなさい」
私は必死にニナに頭を下げながら赦しを請うた。
正直朝は頭空っぽ過ぎてなーんにも考えずに行動していたから、こんな事になってしまったのである。
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
……でも、と思う。
もしこれがアリスちゃんかエリカ様ならどうだろうか。
私のミスであったとしても、私をフォローしてくれるのではないだろうか。
優しく抱きしめて、セシルさんは悪い事をしたかもしれないですけど。反省しているので、そんなに気にしないでくださいとか言ったのではないだろうか。
しかし、ニナはどうだ。
私を冷たい目で見下ろして、私が頭を下げ続けている現状に何も言わない。
まるでそれが当然であるかの様に。
怖い。幼馴染が怖い!
昔はこんな風じゃ無かった!
もっと優しくて、私に甘えていて、私を甘やかしてくれたのに!
今は細かい事をネチネチ、ちょっとした事でガミガミ言う教育ママみたいになってしまったのだ。
私は悲しい。
でも、まぁ。良い所もある。
元々女の子ながら活発なタイプであったニナは、いつの間にか男装をした騎士になっていたのだ。
しかもこれがビックリするくらい似合っている。
私は前世においてかなり雑食なオタクであったが、そうでなかったとしても男装女子とかいう完全生命体を嫌いになる訳が無い。
当たり前だ。
だって見てよ!
元々それなりに長かった栗色の髪を一つにまとめて、男性用の騎士服を着ていてもさぁ! 唇には目立たないくらい僅かに色を差してんだよ!?
それに、それにさ! 元々美麗な顔立ちだから格好良いんだよ! しかも、王子様みたいな甘い笑顔も出来るからさ。完璧のペキって訳よ。
さらに私の推しオタクポイントを言うのなら、瞳だね。トパーズの瞳がさ。火の魔術を使うと赤い色が混じって、輝くんだよ。
それで、それで! 聖女様に触れるな! って剣を振り回しながら魔物を斬っていくニナはもう……ヤバい。
乙女ゲームモードに居たら攻略してたわ。間違いなく。
しかし、残念ながらニナという最高の素材を傍に置くのはこのパチモン聖女である。
どうも。申し訳ございません。
でも絵面だけは良いから許してちょ。
ほら。私、この世界じゃ美少女だから。ガハハ。
なんて笑っている場合じゃないな。そろそろ本格的に赦しを請うとするか。
「あの。ニナ……許しては貰えないでしょうか?」
「うっ」
両手を握り合わせて身長の高いニナを見上げながらウルウル。
瞳を滲ませる速さなら、この世界でもダントツトップな私は、泣き落としが何よりも得意である。
そしてェ!! 私の顔面偏差値は高い。
ここから導き出される結論はー!!
「……はぁ。今回だけですよ。次からは気を付けてください。私も早く動ける様にはしますから」
こうである!!
ドヤ。
私の泣き落としで落ちない奴は居ない!!
強靭! 無敵! 最強!!
このまま世界を……じゃなかった。エリカ様とアリスちゃんを捕りにイクゾォオオオ!!
という訳で、そろそろ計画を実行に移しますか。
もうちっとでエリカ様が転移してくる頃だしね。
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