聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第40話『私はただ状況に流され、人に流され、それが嫌になり逃げて、今、こうしてここにいるだけですから』③

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「ではアメリア姫はこれから何を望むんだ?」

「世界により大きな光を。と今は考えています。世界の果てにある闇を封印するだけでそれが出来るのかはまだ分かりませんが、今の私に出来る事はそれくらいしかありませんから」

「そうか……」

大佐さんは少しの間何かを考えていたが、不意に顔を上げて私についてきて欲しいと言った。

そして私はそんな大佐の言葉に頷いて、ドワーフさん達の住処の奥へと進んでゆく。



どれほど歩いただろうか。

それほど遠い距離では無かったと思う。

しかし、ここがどの辺りなのだろうという様な考えは、それを見た瞬間に全て消え去った。

「これはな。光を生み出す力だ」

「……爆弾、ですか」

「そうだ。世界に光が溢れてから、魔術が人間にとって当たり前になる前、アルマの様な光の力を欲した人類が造っちまった最悪の発明であり。世界に決して存在していてはいけないものだ」

「はい。その通りだと思います」

「アメリア姫。俺は、俺たちはコイツを世界に解き放たない為に、この山に住んでいる」

「……」

「コイツは確かに大きな光を生み出すが、それと同時に大きすぎる哀しみも生み出す。悪魔の発明だ」

「……はい」

「俺は今の人間が恐ろしい。確かに暗黒時代は最悪の時代だった。しかし、あの時生きていた俺たちは、人間たちは、戦う為だけにこんなモノを造り出す様な化け物じゃなかった筈だ。命を奪うのではなく、繋ぐ為に、希望の為に生きていたハズだ」

大佐さんは涙ぐみながら、爆弾から近くにある灯りに目を向けた。

やや大きな箱の、中に魔力が流れる事で光を発する暗黒時代に造られた魔道具を。

「コイツは人々が共に生きる者の笑顔が見たいという事で、造り出した物だ。コイツを見た時、洞窟は外よりも暗いだろうと人間が俺たちに渡してくれた時、なんて素晴らしい生き物なのだろうと感動した。彼らの様に、誰かの為に生きたいと願う程に。しかし、今はもう違う。今、外に居る連中は化け物だ。何かを殺す為に、その理由を探している。挙句の果てに人同士で殺し合い、奪い合っている。なぁ、アメリア姫。長く世界を見つめてきた魔法使いの姫。何か無いだろうか。人類を止める術は。俺たちはもう、これ以上人類を嫌いたくないんだ」

私は大佐さんの必死な訴えを受けながら目を閉じた。

そして、ずっと考えていた一つの考えを口にする。

「今も人類はおそらく闇の中に居ます。だからこそ、脅威となるかもしれない物に怯えている」

「……」

「もしかしたら今の人に必要なのは、世界そのものではなく、心を照らす光なのかもしれませんね」

その為に何が必要なのかはまだ見えていない。

だが、やらなければいけない事は、分かった様な気がした。

私にしか出来ない。私のやりたい事が、そこにある気がした。

そして、その決意を精霊が感じたのか。

私の内側で熱い力が宿るのを感じる。

それは火の精霊が私と最上位契約をしたという証だった。
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