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第93話『……そうだよ。お姉ちゃんだって自由になるべきなんだ』
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森の中をさ迷い歩いて、私たちはようやくその集落を見つけた。
そう。獣人たちの住まう集落だ。
そこは人間の住んでいる場所の様に、綺麗に整備された道路や、綺麗に整えられた家がある訳ではなく、ある程度ざっくばらんに作られた家と、特に整備はされていない道があった。
だからと言って別に不快感は感じず、むしろ土の上だから歩きやすかったり、人間の家よりも太い木を使っているからか、頑丈そうに見えるのだった。
「おぉ。よくぞ参られましたな。アメリア様と妹様。そして、その他の方々」
「相変わらず俺たちの扱いが雑過ぎるだろ」
「まぁ、リリィちゃんの扱いが良いからそこまで文句はないけどね」
「えと、私の扱いが皆さんと違うのは何故なのでしょうか?」
「それは当然の事かと思います。何故ならリリィ様はアメリア様の妹君であるのですから」
「私、大した事は出来ませんよ?」
「いえいえ。我らには確かに見えておりますよ。その身の内に眠る力。アメリア様と同じ、世界に繋がる力が」
「世界に繋がる力……」
私は言われた言葉を繰り返し、そして何となく思う。
世界に繋がる力があるという事は、それがあるからこそ、お姉ちゃんは世界から逃れる事が出来ないのではないかと。
でも、そんなのはおかしいのだ。
「……そうだよ。お姉ちゃんだって自由になるべきなんだ」
「リリィ?」
「ううん。何でもないよ。お姉ちゃん」
私は不思議そうな顔をしたお姉ちゃんに笑いかけてから、自分の胸に両手で触れた。
そして内側に眠る大きな力を強く意識する。
この暴力的な力はいずれ私の命を奪うだろう。
体が何でか平気だけど、私の心はそうじゃない。
今こうしている間にも私の精神は燃やされ続けている。
精霊の力が強すぎるのだ。
でも、だ。
例えば全ての精霊を私の中に受け入れれば、完成するのでは無いだろうか?
お姉ちゃんの器となる体が。
ここに来るまでは確信が無かったけれど、ここに居る土の精霊の力を感じれば、それが可能だという事がよく分かる。
土の精霊を受け入れれば、すぐに私の精神は大きすぎる魔力に飲み込まれて消えてしまうだろう。
しかし、その瞬間にお姉ちゃんが私の中に入れば、お姉ちゃんはまた体を取り戻す事が出来るのだ。
……。
でも……これが上手くいけば、私はきっと消えてしまうのだろう。
そうなれば、もう二度とお姉ちゃんに会う事が出来なくなる。
それが酷く怖くて、悲しい。
だから、私は近くに気配を感じる土の精霊に手を伸ばす事が出来ないでいるのだった。
獣人の里では私たちを迎え入れる儀式……という名の祭りが開かれていて、みんな楽しそうにお酒を飲んで騒いでいた。
実に楽しそうである。
「おうおう! リアム! リベンジマッチだ! 正々堂々と勝負しろ!」
「フン。構わないが、また恥を晒すだけだぞ?」
「言ってくれるじゃないか! お前の戦いは研究済みだ!」
「御託はいい。かかって来い」
『ROUND TWO!! FIGHT!!』
どこからか聞こえてきた声に合わせて、二人は拳を握りながら、それを放ち、ギリギリでかわしてゆく。
実に怖い光景だが、リアムさんは獣人さんの攻撃をかるくかわしながら、獣人さんへと攻撃を当てる。
そして、それからさほど時間をかけずに、リアムさんは獣人さんに勝利した。
片腕を上げながら笑うリアムさんは実に満足そうな顔をしており、獣人さんは非常に不満そうな顔をしていた。
そんな獣人さんを見ていると、ムクムクとやる気が沸き上がってきて、私は右手を高く上げながら戦いの場に参加するのだった。
「おい。リリィ。何を考えている」
「獣人さんが可愛そうなので! 私も戦います!」
「……勘弁してくれ」
「大丈夫ですよ! リリィ! リリィが負けても、私が頑張ってリアムさんを倒します!」
お姉ちゃんの応援を背に受けて私は両手の拳を強く握りしめるのだった。
そして、戦いの合図を聞いて、目を閉じながら、両手を振り回して、リアムさんへ突撃する。
「やめんか」
「きゅー! きゅー!」
「レッドリザードみたいな声を出すな。ったく」
私は攻撃を当てる事が出来ず、抱き上げられて、お姉ちゃんの傍に落とされてしまった。
「あぅ!」
「り、リリィ様に何たる暴虐!! 許される事ではない!!」
「傷一つ付いてねぇよ」
「ゆくぞ! 我らの意地! 見せつけるのだ!」
「……めんどくせぇ」
私はお尻をいたたと押さえながら、お姉ちゃんに甘えた。
お姉ちゃんは私の頭をよしよしと撫でてくれて、私はそれに甘えながら、獣人さんと戦うリアムさんを見つめる。
「格好いいね。お姉ちゃん」
「そうですね」
「私もあんな風に戦えたら、良かったのかなぁ」
「リリィ?」
「……私がもっと強ければ、こんな風に悩まなかったのかなぁ」
「悩みがあるのなら、もっと悩んでも良いんですよ」
「え?」
「私はリリィのお姉ちゃんですから、リリィの悩みはなんでも聞いてあげたいんです」
「……そっか」
「はい」
「でも、この悩みは内緒」
「それは残念ですね」
お姉ちゃんが苦笑する声を聞きながら、私は目を閉じた。
それから宴会は長く、夜遅くまで続いて、私たちは獣人さんが用意してくれた寝床で横になった。
でも、私は眠りが浅くて、夜中に目を覚ましてしまう。
そして、寝床として用意された家から外へ出て、壁に寄りかかりながら空を眺めるのだった。
大きな月と、数えきれないほどの星が瞬く夜空を。
「おや、リリィ様。眠れませんかな?」
「っ! 貴方は」
声のした方に目線を送ると、そこには私の身長の半分くらいしかないタヌキの獣人さんが居た。
髭をいっぱい生やした顔で、穏やかに笑っている。
怖い人では無いみたいだった。
「私はこの里の長ですよ。リリィ様」
「様なんて要りませんよ。私は大した人間じゃないですから」
「いえいえ。その様な事はありませんとも。何せ、貴女には大いなる使命がある」
「……使命」
「無論、どの様に世界が進むか、それは私にも分かりませんが、どの様な選択をしたとて、貴女は世界に大きな影響を与える事でしょう」
「長さんは、私がやろうとしている事が分かるのですか?」
「いえ。詳細は何も分かりません」
「え?」
「ですが、星がそう示しているのです。今、貴女を中心に世界が動いていると」
「……」
「その、星で、お姉ちゃんはどうなっているのでしょうか?」
「アメリア様の星は既に消えております」
「え!? でも」
「えぇ。アメリア様は確かにそこにいる。しかし、既にその運命は尽きております」
私は長さんの言葉に、両手を握りしめながら視線をさ迷わせた。
それはそうだろう。
もし、長さんの言葉が真実であるのなら、私がやろうとしている事に意味が無いのだから。
しかし……。
「ですが、完全に消えた訳ではない。確かに繋がっております。リリィ様と」
「私と?」
「はい。その運命を完全に引き寄せる事は叶わずとも、繋がりを消さずに済むかもしれません。無論リリィ様がそう望むのならば」
「……ありがとうございます。長さん」
「いえ」
私は、長さんの言葉に小さく頭を下げて、自分の中に強く意識を向けた。
そこにあるお姉ちゃんとの繋がりを思い出し、笑う。
未来はすぐそこにある。そう分かったから。
そう。獣人たちの住まう集落だ。
そこは人間の住んでいる場所の様に、綺麗に整備された道路や、綺麗に整えられた家がある訳ではなく、ある程度ざっくばらんに作られた家と、特に整備はされていない道があった。
だからと言って別に不快感は感じず、むしろ土の上だから歩きやすかったり、人間の家よりも太い木を使っているからか、頑丈そうに見えるのだった。
「おぉ。よくぞ参られましたな。アメリア様と妹様。そして、その他の方々」
「相変わらず俺たちの扱いが雑過ぎるだろ」
「まぁ、リリィちゃんの扱いが良いからそこまで文句はないけどね」
「えと、私の扱いが皆さんと違うのは何故なのでしょうか?」
「それは当然の事かと思います。何故ならリリィ様はアメリア様の妹君であるのですから」
「私、大した事は出来ませんよ?」
「いえいえ。我らには確かに見えておりますよ。その身の内に眠る力。アメリア様と同じ、世界に繋がる力が」
「世界に繋がる力……」
私は言われた言葉を繰り返し、そして何となく思う。
世界に繋がる力があるという事は、それがあるからこそ、お姉ちゃんは世界から逃れる事が出来ないのではないかと。
でも、そんなのはおかしいのだ。
「……そうだよ。お姉ちゃんだって自由になるべきなんだ」
「リリィ?」
「ううん。何でもないよ。お姉ちゃん」
私は不思議そうな顔をしたお姉ちゃんに笑いかけてから、自分の胸に両手で触れた。
そして内側に眠る大きな力を強く意識する。
この暴力的な力はいずれ私の命を奪うだろう。
体が何でか平気だけど、私の心はそうじゃない。
今こうしている間にも私の精神は燃やされ続けている。
精霊の力が強すぎるのだ。
でも、だ。
例えば全ての精霊を私の中に受け入れれば、完成するのでは無いだろうか?
お姉ちゃんの器となる体が。
ここに来るまでは確信が無かったけれど、ここに居る土の精霊の力を感じれば、それが可能だという事がよく分かる。
土の精霊を受け入れれば、すぐに私の精神は大きすぎる魔力に飲み込まれて消えてしまうだろう。
しかし、その瞬間にお姉ちゃんが私の中に入れば、お姉ちゃんはまた体を取り戻す事が出来るのだ。
……。
でも……これが上手くいけば、私はきっと消えてしまうのだろう。
そうなれば、もう二度とお姉ちゃんに会う事が出来なくなる。
それが酷く怖くて、悲しい。
だから、私は近くに気配を感じる土の精霊に手を伸ばす事が出来ないでいるのだった。
獣人の里では私たちを迎え入れる儀式……という名の祭りが開かれていて、みんな楽しそうにお酒を飲んで騒いでいた。
実に楽しそうである。
「おうおう! リアム! リベンジマッチだ! 正々堂々と勝負しろ!」
「フン。構わないが、また恥を晒すだけだぞ?」
「言ってくれるじゃないか! お前の戦いは研究済みだ!」
「御託はいい。かかって来い」
『ROUND TWO!! FIGHT!!』
どこからか聞こえてきた声に合わせて、二人は拳を握りながら、それを放ち、ギリギリでかわしてゆく。
実に怖い光景だが、リアムさんは獣人さんの攻撃をかるくかわしながら、獣人さんへと攻撃を当てる。
そして、それからさほど時間をかけずに、リアムさんは獣人さんに勝利した。
片腕を上げながら笑うリアムさんは実に満足そうな顔をしており、獣人さんは非常に不満そうな顔をしていた。
そんな獣人さんを見ていると、ムクムクとやる気が沸き上がってきて、私は右手を高く上げながら戦いの場に参加するのだった。
「おい。リリィ。何を考えている」
「獣人さんが可愛そうなので! 私も戦います!」
「……勘弁してくれ」
「大丈夫ですよ! リリィ! リリィが負けても、私が頑張ってリアムさんを倒します!」
お姉ちゃんの応援を背に受けて私は両手の拳を強く握りしめるのだった。
そして、戦いの合図を聞いて、目を閉じながら、両手を振り回して、リアムさんへ突撃する。
「やめんか」
「きゅー! きゅー!」
「レッドリザードみたいな声を出すな。ったく」
私は攻撃を当てる事が出来ず、抱き上げられて、お姉ちゃんの傍に落とされてしまった。
「あぅ!」
「り、リリィ様に何たる暴虐!! 許される事ではない!!」
「傷一つ付いてねぇよ」
「ゆくぞ! 我らの意地! 見せつけるのだ!」
「……めんどくせぇ」
私はお尻をいたたと押さえながら、お姉ちゃんに甘えた。
お姉ちゃんは私の頭をよしよしと撫でてくれて、私はそれに甘えながら、獣人さんと戦うリアムさんを見つめる。
「格好いいね。お姉ちゃん」
「そうですね」
「私もあんな風に戦えたら、良かったのかなぁ」
「リリィ?」
「……私がもっと強ければ、こんな風に悩まなかったのかなぁ」
「悩みがあるのなら、もっと悩んでも良いんですよ」
「え?」
「私はリリィのお姉ちゃんですから、リリィの悩みはなんでも聞いてあげたいんです」
「……そっか」
「はい」
「でも、この悩みは内緒」
「それは残念ですね」
お姉ちゃんが苦笑する声を聞きながら、私は目を閉じた。
それから宴会は長く、夜遅くまで続いて、私たちは獣人さんが用意してくれた寝床で横になった。
でも、私は眠りが浅くて、夜中に目を覚ましてしまう。
そして、寝床として用意された家から外へ出て、壁に寄りかかりながら空を眺めるのだった。
大きな月と、数えきれないほどの星が瞬く夜空を。
「おや、リリィ様。眠れませんかな?」
「っ! 貴方は」
声のした方に目線を送ると、そこには私の身長の半分くらいしかないタヌキの獣人さんが居た。
髭をいっぱい生やした顔で、穏やかに笑っている。
怖い人では無いみたいだった。
「私はこの里の長ですよ。リリィ様」
「様なんて要りませんよ。私は大した人間じゃないですから」
「いえいえ。その様な事はありませんとも。何せ、貴女には大いなる使命がある」
「……使命」
「無論、どの様に世界が進むか、それは私にも分かりませんが、どの様な選択をしたとて、貴女は世界に大きな影響を与える事でしょう」
「長さんは、私がやろうとしている事が分かるのですか?」
「いえ。詳細は何も分かりません」
「え?」
「ですが、星がそう示しているのです。今、貴女を中心に世界が動いていると」
「……」
「その、星で、お姉ちゃんはどうなっているのでしょうか?」
「アメリア様の星は既に消えております」
「え!? でも」
「えぇ。アメリア様は確かにそこにいる。しかし、既にその運命は尽きております」
私は長さんの言葉に、両手を握りしめながら視線をさ迷わせた。
それはそうだろう。
もし、長さんの言葉が真実であるのなら、私がやろうとしている事に意味が無いのだから。
しかし……。
「ですが、完全に消えた訳ではない。確かに繋がっております。リリィ様と」
「私と?」
「はい。その運命を完全に引き寄せる事は叶わずとも、繋がりを消さずに済むかもしれません。無論リリィ様がそう望むのならば」
「……ありがとうございます。長さん」
「いえ」
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