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第95話『なら、それなら! 『聖人として』行くべきだった! それだけの話だよ』
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始まりは小さな願いだった。
誰だって持っている家族と一緒に居たいという願いだ。
しかし、私はそれが許されない世界に居た。
いや、許されはするのだろう。
許されたが……世界にとって必要な人が命を落としてしまう結果になった。
ただ、それだけの話だ。
「……リリィ」
「なぁに? お姉ちゃん」
「私は……何か間違えたのでしょうか?」
「何も間違えてないよ。間違えたのは私だ」
「リリィが?」
「そう。全ての始まり。あの日。リアムさんが家に来た時。お姉ちゃんじゃなくて、私が旅立つべきだったんだ」
「それは……」
「そうすればお姉ちゃんは消えなかった。だから、これは間違えた事を正しく直しているだけなんだよ」
「ですが、それは……リリィが旅立つ必要なんて」
「あったよ」
「っ」
「私は聖人だ。聖人だった」
「リリィ……」
「なら、それなら! 『聖人として』行くべきだった! それだけの話だよ」
私は心の奥底に、体の中心にあった、ずっと眠っていた想いを叫ぶ。
その言葉にお姉ちゃんは目を見開くけど、これが正しい世界なんだよ。
「お姉ちゃん。大丈夫。私は消えるけど、お姉ちゃんのすぐ傍に居るから」
「それの、何が大丈夫なんですか……! 何が!」
「ふふ」
「リリィ……!」
絞り出すような声で叫び、涙を落とすお姉ちゃんに私は笑う。
目を閉じれば世界が見えて、お姉ちゃんの事を待っている人の事を見つける事が出来た。
「お姉ちゃん」
「……」
「お姉ちゃんを待っている人が、世界にはたくさんいるんだよ」
「それはリリィだって同じです! リリィにも!」
「いるかもしれないけど、それは、お姉ちゃんでも大丈夫なんだ。みんなが求めているのは世界を救う聖女。私じゃないよ」
「そんなこと!」
「でも、ね。お姉ちゃんには明確にお姉ちゃんを待っている人が居るんだよ。私には分かる」
辛そうな顔で私を見るお姉ちゃんに私は微笑んで、その子たちの事を教えた。
「エルフのレーニちゃん。それに、お姉ちゃんが光を与えた子。オリヴィアちゃん。二人の事を投げ出すつもり?」
「それは……!」
「どの道、今の状態じゃあ長くは続かない。二人に別れの言葉も言えないまま消えるなんて……それで、良いの? それがお姉ちゃんの願った事なの?」
「私は……」
私はお姉ちゃんの説得が出来たと目を閉じて、息を吐いた。
苦しさはずっと続いている。
体の中がかき回されて、ぐちゃぐちゃにされて、それが強い熱を発して、中から焼かれているみたいだ。
寝ているだけでも苦しい。
精霊の力を四つも宿らせるなんて、人間には出来る事じゃないっていうのがよく分かる。
お姉ちゃんの力を借りていてもこうなんだから。
でも、このまま全てが変われば……。
「おい。リリィ。あんまり勝手な事ばっかり言ってんじゃねぇぞ」
「……リアムさん?」
私が知っているよりもやや荒々しい言葉で話しかけて来たその人に、私は本人かどうか確かめる為に目を開いた。
間違いない。
力強い瞳で私を射抜いているのは、リアムさんだ。
しかし、紳士的な姿も、頼れるお兄さんの様な姿もそこにはない。
あるのはただ、体を燃やし尽くす様な怒りだけだ。
「誰が誰にも求められてないだって?」
「……リアムさん?」
「ここに!! 居るだろうが!! お前には見えないのか!? 俺と、フィンと、カーネリアンと、キャロンと、アメリア!! 五人もいる!! それだけじゃない! お前が俺たちと今日まで旅をしてきた中で出会ってきた連中は!! 全員お前の事を想って、お前を待ってる!! 約束したんじゃないのか!? また会うって、今度は遊びに来るって、そうだろう!! リリィ!!」
「リアム」
リアムさんの叫びに、隣に居たフィンさんが静かにその名を呟いた。
そして、フィンさんもまた、私の手を取って、祈る様に言葉をかける。
「リリィちゃん。俺は、もう二度と同じ思いをするのはごめんだ。前に、アメリアちゃんが居なくなって、心がおかしくなって、生きてるのが嫌になった! 君たちみたいな子を犠牲にして生きているのが、何もかも嫌になったんだ!! どうして、俺が代わりになれなかったのかって! そんな想いを、もう一度させるつもりか!!」
「……フィンさん」
「なぁ、リリィ。お前、俺に言ったよな。一緒に進もうって、未来に進もうって言ったよな! お前のいう未来は、こんな終わりだったのか!? こんな風にアメリア姉ちゃんと同じ悲しみをまき散らして、終わるのが……! お前の言ってた未来なのかよ!」
「……カーネリアン君」
「まだ、終わりじゃない」
「キャロンさん?」
「フン。私はね。アンタらみたいにメソメソ泣いてる事しかっ、出来ない奴らとは違うから。ずっと調べてたの。それで分かったわ。リリィ。貴女の願いとアメリアの願い。両方を叶える方法」
「まさか」
「キャロンさん! 本当ですか!?」
「えぇ。間違いない。りりィはアメリアの器になる為に、精霊を全て受け入れる必要があった。でもね。それはアンタじゃなくても良いのよ!」
「……でも」
「魔法使い。かつて、この世界に存在した伝説の存在。アメリアはそれのお姫様だったんでしょ?」
「はい」
「アメリアとの旅が終わってから、私、昔の伝承を色々と調べたわ。そこで見つけたの」
「見つけた?」
「アメリアの妹。リリィじゃない。もう一人の妹の事を」
私は獣人さんの里に行く前に出会った少女の事を思い出し、あぁと呟いてから息を吐いた。
そして、何となくキャロンさんの言いたい事を察する。
「その妹は人間に捕まったっていう記録はないの。でも、森の住人にとって、魔法使いは神に等しい存在。ならその体だってまだ……!」
「キャロンさん」
「な、なによ。リリィ」
「その方法は、無理です」
「やってみなきゃ分からないじゃない! 魔法使いの肉体は人間の物とは違う。世界の法則とは違う場所で生きている。ならこの世界の中で死んだとしても、その体は……!」
「違うんです」
「え?」
「生きてるんですよ。まだ。その子は」
「……は?」
私の言葉にキャロンさんは目を見開いて、見開いた目から涙をこぼした。
察したのだろう。自分の考えた方法は実現不可能だと。
「お姉ちゃん。ジーナちゃんは生きてるよ」
「え? そ、そんな。だって、あの子の気配は……ずっと」
「だから、もう妹の代わりは要らないの」
「リリィ!! 私はリリィの事をそんな風に!!」
「お姉ちゃん……じゃあ、さようなら」
私は右手を地面に当て、自分の中にある力に繋げた。
そして、世界の中心。
お姉ちゃん達が闇を封印したという場所へと向かう。
そこで待っている子に、会う為に。
花畑から転移したせいか、私はその場所で舞い落ちる花びらと共に降り立った。
そして、膝を抱えながら泣いている少女の前に跪く。
「長く、お待たせしてしまいましたね」
「貴女は……?アメリア様によく似てる人」
「私はアメリアお姉ちゃんの妹。リリィです」
「リリィさん」
「はい。そして、この世界に残る悲しみを終わらせるために、ここへ来ました」
誰だって持っている家族と一緒に居たいという願いだ。
しかし、私はそれが許されない世界に居た。
いや、許されはするのだろう。
許されたが……世界にとって必要な人が命を落としてしまう結果になった。
ただ、それだけの話だ。
「……リリィ」
「なぁに? お姉ちゃん」
「私は……何か間違えたのでしょうか?」
「何も間違えてないよ。間違えたのは私だ」
「リリィが?」
「そう。全ての始まり。あの日。リアムさんが家に来た時。お姉ちゃんじゃなくて、私が旅立つべきだったんだ」
「それは……」
「そうすればお姉ちゃんは消えなかった。だから、これは間違えた事を正しく直しているだけなんだよ」
「ですが、それは……リリィが旅立つ必要なんて」
「あったよ」
「っ」
「私は聖人だ。聖人だった」
「リリィ……」
「なら、それなら! 『聖人として』行くべきだった! それだけの話だよ」
私は心の奥底に、体の中心にあった、ずっと眠っていた想いを叫ぶ。
その言葉にお姉ちゃんは目を見開くけど、これが正しい世界なんだよ。
「お姉ちゃん。大丈夫。私は消えるけど、お姉ちゃんのすぐ傍に居るから」
「それの、何が大丈夫なんですか……! 何が!」
「ふふ」
「リリィ……!」
絞り出すような声で叫び、涙を落とすお姉ちゃんに私は笑う。
目を閉じれば世界が見えて、お姉ちゃんの事を待っている人の事を見つける事が出来た。
「お姉ちゃん」
「……」
「お姉ちゃんを待っている人が、世界にはたくさんいるんだよ」
「それはリリィだって同じです! リリィにも!」
「いるかもしれないけど、それは、お姉ちゃんでも大丈夫なんだ。みんなが求めているのは世界を救う聖女。私じゃないよ」
「そんなこと!」
「でも、ね。お姉ちゃんには明確にお姉ちゃんを待っている人が居るんだよ。私には分かる」
辛そうな顔で私を見るお姉ちゃんに私は微笑んで、その子たちの事を教えた。
「エルフのレーニちゃん。それに、お姉ちゃんが光を与えた子。オリヴィアちゃん。二人の事を投げ出すつもり?」
「それは……!」
「どの道、今の状態じゃあ長くは続かない。二人に別れの言葉も言えないまま消えるなんて……それで、良いの? それがお姉ちゃんの願った事なの?」
「私は……」
私はお姉ちゃんの説得が出来たと目を閉じて、息を吐いた。
苦しさはずっと続いている。
体の中がかき回されて、ぐちゃぐちゃにされて、それが強い熱を発して、中から焼かれているみたいだ。
寝ているだけでも苦しい。
精霊の力を四つも宿らせるなんて、人間には出来る事じゃないっていうのがよく分かる。
お姉ちゃんの力を借りていてもこうなんだから。
でも、このまま全てが変われば……。
「おい。リリィ。あんまり勝手な事ばっかり言ってんじゃねぇぞ」
「……リアムさん?」
私が知っているよりもやや荒々しい言葉で話しかけて来たその人に、私は本人かどうか確かめる為に目を開いた。
間違いない。
力強い瞳で私を射抜いているのは、リアムさんだ。
しかし、紳士的な姿も、頼れるお兄さんの様な姿もそこにはない。
あるのはただ、体を燃やし尽くす様な怒りだけだ。
「誰が誰にも求められてないだって?」
「……リアムさん?」
「ここに!! 居るだろうが!! お前には見えないのか!? 俺と、フィンと、カーネリアンと、キャロンと、アメリア!! 五人もいる!! それだけじゃない! お前が俺たちと今日まで旅をしてきた中で出会ってきた連中は!! 全員お前の事を想って、お前を待ってる!! 約束したんじゃないのか!? また会うって、今度は遊びに来るって、そうだろう!! リリィ!!」
「リアム」
リアムさんの叫びに、隣に居たフィンさんが静かにその名を呟いた。
そして、フィンさんもまた、私の手を取って、祈る様に言葉をかける。
「リリィちゃん。俺は、もう二度と同じ思いをするのはごめんだ。前に、アメリアちゃんが居なくなって、心がおかしくなって、生きてるのが嫌になった! 君たちみたいな子を犠牲にして生きているのが、何もかも嫌になったんだ!! どうして、俺が代わりになれなかったのかって! そんな想いを、もう一度させるつもりか!!」
「……フィンさん」
「なぁ、リリィ。お前、俺に言ったよな。一緒に進もうって、未来に進もうって言ったよな! お前のいう未来は、こんな終わりだったのか!? こんな風にアメリア姉ちゃんと同じ悲しみをまき散らして、終わるのが……! お前の言ってた未来なのかよ!」
「……カーネリアン君」
「まだ、終わりじゃない」
「キャロンさん?」
「フン。私はね。アンタらみたいにメソメソ泣いてる事しかっ、出来ない奴らとは違うから。ずっと調べてたの。それで分かったわ。リリィ。貴女の願いとアメリアの願い。両方を叶える方法」
「まさか」
「キャロンさん! 本当ですか!?」
「えぇ。間違いない。りりィはアメリアの器になる為に、精霊を全て受け入れる必要があった。でもね。それはアンタじゃなくても良いのよ!」
「……でも」
「魔法使い。かつて、この世界に存在した伝説の存在。アメリアはそれのお姫様だったんでしょ?」
「はい」
「アメリアとの旅が終わってから、私、昔の伝承を色々と調べたわ。そこで見つけたの」
「見つけた?」
「アメリアの妹。リリィじゃない。もう一人の妹の事を」
私は獣人さんの里に行く前に出会った少女の事を思い出し、あぁと呟いてから息を吐いた。
そして、何となくキャロンさんの言いたい事を察する。
「その妹は人間に捕まったっていう記録はないの。でも、森の住人にとって、魔法使いは神に等しい存在。ならその体だってまだ……!」
「キャロンさん」
「な、なによ。リリィ」
「その方法は、無理です」
「やってみなきゃ分からないじゃない! 魔法使いの肉体は人間の物とは違う。世界の法則とは違う場所で生きている。ならこの世界の中で死んだとしても、その体は……!」
「違うんです」
「え?」
「生きてるんですよ。まだ。その子は」
「……は?」
私の言葉にキャロンさんは目を見開いて、見開いた目から涙をこぼした。
察したのだろう。自分の考えた方法は実現不可能だと。
「お姉ちゃん。ジーナちゃんは生きてるよ」
「え? そ、そんな。だって、あの子の気配は……ずっと」
「だから、もう妹の代わりは要らないの」
「リリィ!! 私はリリィの事をそんな風に!!」
「お姉ちゃん……じゃあ、さようなら」
私は右手を地面に当て、自分の中にある力に繋げた。
そして、世界の中心。
お姉ちゃん達が闇を封印したという場所へと向かう。
そこで待っている子に、会う為に。
花畑から転移したせいか、私はその場所で舞い落ちる花びらと共に降り立った。
そして、膝を抱えながら泣いている少女の前に跪く。
「長く、お待たせしてしまいましたね」
「貴女は……?アメリア様によく似てる人」
「私はアメリアお姉ちゃんの妹。リリィです」
「リリィさん」
「はい。そして、この世界に残る悲しみを終わらせるために、ここへ来ました」
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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