最強ショタ魔王の家出録〜ショタ化した元おっさん、偶然出会った勇者と共に世界平和を目指します〜

青王(あおきんぐ)

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5章 第三、第四の街 ブリジア・ギガンテス

81話 作戦

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 突然現れた巨人族よりも、山よりも大きいゴーレム。
 それに迎撃体制をとる巨人族。
 そして勇者として逃げる訳にはいかないと言うユーリと、逃げるべきだと主張する他の面々。
 
 様々な反応や対応を見せる中、俺はスカーレットに耳元で指示を出した。


「スカーレット、よく聞け。俺は今から一人であのゴーレムと戦う」

「い、いけません……! エル様……!!」

「黙れ……俺に指図するな……!」

「は、はい……」

 少しきつい言い方になってしまい、スカーレットには申し訳なさを感じたが、皆を無事に生かす為には俺が一人で戦うしかなかった。

「スカーレットはユーリ達と共に巨人族を連れてこの場から出来るだけ離れるのだ」

「そんな……! エル様……」

「それしかないのだ。聞き入れるのだ。頼む……」

 俺がそう言うとスカーレットはその場に座ったまま不安そうな表情を浮かべて、こくりと頷いた。

「安心しろ。俺は大丈夫だ。俺が負けるなんて事は万が一にも有り得ない」

「はい……。私はエル様を信じています……」

「ただそれだといくつか問題が生じるのだ」

「…………と言いますと?」

 スカーレットは途端に怪訝な表情を浮かべる。
 そして俺はそんなスカーレットにその問題点を説明していった。

「まず一つ目は、皆でこの場から逃げる際に俺がいない事がユーリ達にバレてしまう事だ」

「そう……ですね。普通に考えればエル様もお逃げになるはずですからね……」

 するとスカーレットは顎に手を置き、思案顔をした。
 そんな彼女もとても美しい。
 
「そうだ。そして二つ目は自分達が逃げたとして、あのゴーレムをどうするのかとユーリ達が疑問を抱く事だ」

「確かに……。特にユーリあたりが、しつこく聞いてきそうですね。――――ではどうするのですか? 巨大ゴーレムを倒しつつ、ユーリ達と共に逃げるなんて、エル様が二人いないと出来ませんよ……?」

「ふんっ。正解だ……スカーレット」

「え……はい……?」

 スカーレットは困惑している。
 しかし俺は構わず話を続けた。

「今から俺は自分の分身体を出現させる」

「え、はい……? どうやって……。そんな魔法は聞いた事がありませんよ……?」

「ふんっ。俺には出来ない事などない。まぁ見ておれ――――【分身体 発現】!」

 俺がそう唱えるとスカーレットの隣に俺と瓜二つな分身体が現れた。

「え!? エル様が二人……!?」

「そっちは俺の分身体だ。だが、話す事は出来ない。要は見た目が似ているだけの、ただの人形だな」

「人形……ですか……」

 そう言いながらスカーレットは俺の分身体をじーっと見つめる。

「スカーレットはそれを抱いてユーリ達と合流し、何か言われたら、俺はあのゴーレムが恐くて泣きまくって、疲れて寝てしまったとでも説明しておけば良い」

「承知しました。あの一つよろしいでしょうか?」

 俺の説明を聞きスカーレットは頷くと、俺の分身体を抱き、片手を挙げた。

「何だ? 言ってみよ」

「この分身体なのですが、後で頂けませんでしょうか?」

 何を言い出すかと思えば、スカーレットは鼻息を荒くして俺にそう尋ねて来た。

「嫌な予感がするから駄目だ」

「そんなぁ……!! 欲しいです!!」

「駄目だ!! 大体、分身体を貰って何をするつもりだ!?」

「それはぁ~決まってるじゃないですかぁ~」

 スカーレットはそう言うと舌なめずりをして、あえてゆっくりと言葉を発し、妖艶な雰囲気を纏った。

「なら尚更駄目だな……」

「うぅ……承知しましたぁ……」

 スカーレットは酷くガッカリとした表情で肩を落とした。

 ――そんな事をするなら分身体とじゃなくて、本物の俺としてくれよ……!!
 俺はいつでもウェルカムなのだからさぁ……!!

「そんな事はさておきだ。次にあのゴーレムと戦う俺なのだが……」

「そちらについても何かお考えが?」

「あぁ。ユーリ達にゴーレムの今後を説明する際、"が倒すから大丈夫"という説得材料が必要になってくる。つまり、今のままの俺の姿では駄目なのだ」

「確かにそうですね。エル様が二人いる事になりますし、余計な誤解を生んでしまう可能性がありますからね……」

「そうだ。だから俺は今から別人になろうと思う」

「はい……?」

 俺がそう言うとスカーレットは再びポカンとした表情を浮かべる。

「別人と言っても俺は俺だ。魔法で二〇歳くらいの俺に化けようと思う」

「そんな事が可能なのですか?」

「愚問だ。いくぞ? ――――――【二〇歳の俺に変身】!!」

 俺はそう唱えると某ライダーさながらのポーズを決めた。
 すると俺の身体は白い光に包まれ、みるみる内に二〇歳の青年の姿へと変わった。

「どうだ? これだと誰も俺があのちびっこいエルだとわからんだろう?」

「あぁ……エル様……」

 俺は自慢げに大人になった姿をスカーレットに見せ付けるが、彼女は口を開けて何とも言えない表情を浮かべていた。

「どうした? 俺が俺である事には変わりないだろう?」
 
「あぁ……エル様が……ショタではなくなってしまいました……」
 
 俺がそう問うと、スカーレットは物凄く残念そうにそう言った。

 ――くっ……。コイツ……どこまでいってもショタコンは譲れないのだな……。
 大人になった俺には興味無しかよ……!

「…………安心しろ。後で元の姿に戻る」

「そうですか……! よかった……!」
(ホッ……よかった。でもこれはこれで素敵ね……。私がショタ以外にときめくなんて……。さすがはエル様だわ)

 俺がそう言ってやるとスカーレットはホッと胸を撫で下ろしていた。

「コホン……。とにかく。俺はこの姿でゴーレムを倒す。その隙にスカーレットは皆を連れてここから離れるのだ。分身体については先に伝えた通りだ。俺はゴーレムを倒したらすぐスカーレット達と合流し、分身体と入れ替わる。良いな?」

「はっ! 承知しました!」

 そう言うとスカーレットは愛おしそうに俺の分身体を抱きしめながら、ユーリ達の元へと駆けて行った。

 ――くそっ……。俺の分身体ながらスカーレットに抱きしめられるなど羨ましいが過ぎるぞ……!
 そこは俺の場所だぞ……!
 こんな事なら感覚共有も付与しておくんだった……。
 
 俺がそんな事を考えている内に、スカーレットはユーリ達と合流した。
 
 そして遠目からでもわかる程に、スカーレットを含めた他の面々とユーリが少し揉めていたようだが、彼女が大人になった俺の方を指差しながら事情を説明すると、何とかそれも収まったようだ。
 
 ユーリは不服そうな顔をしつつも、全員で巨人族達を説得し、早々にギガンテスを後にして行った。

「スカーレット、みんなを頼んだぞ。――――――よし、俺はアイツだな……」

 俺はそんな独り言を呟くと、もう寸前の所まで迫って来ていた巨大ゴーレムへ目をやった。

「よし、それじゃあやろうか。岩野郎……!」

 俺がそう言いゴーレムを睨み付けると、奴の動きが止まった。

「誰だテメェは……? 俺様は巨人族の奴らに用があるんだ。そこをどけ……!」

「そんなでかい図体をしていおいて、えらく流暢に話すのだな。あと一つ確認なのだが、貴様は魔族軍幹部、五芒星の"壊し屋"ゴラムで間違いないな?」

「あぁ!? そうだけど、テメェは何なんだよ!? さっきから偉そうにしやがって! ぶっ壊すぞ!?」

 俺の態度が気に入らなかったのか、ゴラムは語気を強めて俺を威圧した。

「ふん。まぁそう慌てるな。後で存分に相手をしてやる。それよりも貴様のその身体、そこらにあった山を壊して合成したのか?」

「うっせぇな……。あぁ、そうだよ!! 俺の身体は山をぶっ壊して創ったんだ! 文句あっか!?」

 ――それはつまりほぼロボットって事だよな!?
 男の子が皆大好きなロボットだよな!?
 やべぇ、興奮してきた。
 まさか子供の頃に飽きる程見てきたアニメのロボットみたいなやつと戦える日が来ようとは夢にも思わなかったな……。

「ふふ……。いいや、文句は無い」
 
「じゃあ聞いてくんなよ!! うざってぇ野郎だ、テメェから先に始末してやる……!! 死ねぇ!!!」

 ゴラムはそう言うと力一杯に腕を振り下ろして来た。
 迫り来る大きな拳はまるで隕石の様に思えた。

「そこはまずビームだろうが……!!! ――――【身体能力超強化】! 【魔王パンチ 一〇〇パーセント】」

 そして俺はそれに自らの拳をぶつけた――――――
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