最強ショタ魔王の家出録〜ショタ化した元おっさん、偶然出会った勇者と共に世界平和を目指します〜

青王(あおきんぐ)

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第4章 ジャペン編

115話 凄惨な現場

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 何故か少し開いた門を潜り、俺達はジャペンへと入った。
 しかし、そこは死人アンデッドの大群が暴れ回る凄惨な現場と化していた。

 
「ど、どういう事だ……これは?」

「わからねぇ……。だが、コイツらは死人アンデッドだ。つまりあのアホ女の仕業だ……!」

 俺が戸惑い、つい言葉を漏らすと、ゴラムは怒りを露わにして、近付いて来る死人アンデッドを殴り飛ばした。

「いや、だが俺は貴様と会う前に、ロクサーヌへ死人アンデッドを連れて引き上げろと命じたはずだ。それに俺の真意を理解しているロクサーヌが、こんな真似をするとは到底思えない」

「そ、そうか……。エル様がそう言うなら……。だけどよ、死人アンデッドっつうのは生成したリッチーを主と認めて従うもんだ。それ以外に従わせる方法はねぇ。あのアホが指示しねーっつうなら一体誰が――――いや……待てよ?」

 俺の話を聞きゴラムは一人で淡々と考えを述べ、何かに気が付いた様子で、顎に手を置き思案を始めた。その姿は最早、ギガンテスの門を殴り壊すといった脳筋思考の持ち主とは到底思えないものだった。

 ――コイツ……めちゃくちゃ頭脳派じゃん……!
 褐色の肌にその姿勢は似合わないって!
 知的な雰囲気がギャップになってて可愛いけどさ……!?

 
「――――答えが出たぜ、エル様。コイツらが好き勝手に暴れてるこの状況と、ロクサーヌが指示を出していないと仮定した場合に考えられるのは二つだ」

「二つか。ならば、どちらも聞かせてもらおうか」
 
 思案を終えたゴラムは俺の方へと向き直る。俺は腕を組み、これぞ魔王と言わんばかりに偉そうな態度で聞く体勢に入った。

 ――俺は魔王っていっても中身は人間だしな。
死人アンデッドについての知識も、現代のゲームやアニメから得たものしか無い。
 それだったら本職かつ、昔に沢山勉強したというゴラムの方が圧倒的に知識量は勝るだろう。


「一つはあのアホが元々、この町で暴れるよう指示を出していて、まだその指示を撤回していない事だ」

 ――なるほど。死人アンデッド達がロクサーヌの指示しか聞かないのなら、その線も考えられるか。
 だが、恐らくそれは無い。
 指示を撤回する以前に、平和主義なロクサーヌが死人アンデッド達に、ジャペンを襲わせるような事はしないはずだ。
 となると……。


「二つ目は何だ?」

「二つ目は、あのアホが何者かに襲われて、その後洗脳魔法をかけられて、操られるがままにコイツらに暴れるよう指示を出したか……だな」

 ――洗脳魔法……。
 確かにロクサーヌがそんな指示を出していたとは考えにくい。
 なら、誰かに操られて、そう指示を出したと考えるのが普通か。
 だが、一体誰が……?

「そういう事か……。ならその洗脳魔法をかけた奴を探し出さないとだな」

「あぁ。だけどよ、あのアホは一応五芒星の一角にまで上り詰めた強者だ。そんなアイツがまんまと洗脳されるとは思えねぇ。もし不意を突かれて洗脳魔法をかけられたとしても、並大抵の魔法じゃアイツの意識は揺らがねぇ。つまりは五芒星より格上、闇属性の特級魔法を使える奴しか考えらんねぇ」

 ゴラムは様々な事柄から色々な可能性を考え、そんな答えを導き出した。俺はそんな彼女に感心すると同時に思案を続けていた。

 ――五芒星より格上で闇属性を特級まで使える人物か……。
 となると相手は四天王の誰か……。
 ふにゃ丸は闇属性に適性はあるが数値は5000、使えて上級といったところか。
 
 あと、五芒星のシエスタも六属性を扱えるが、闇属性は上級止まりと以前スカーレットに聞いている。
 そんなスカーレットも闇属性は上級止まり。
 ならやはり、この町へ俺たちより後に来た誰か・・が、結界を破壊し、ロクサーヌを操ったのか。


「そうか。なら貴様はその輩に心当たりは無いのか? 闇属性を特級まで扱えるとなると、そうそういないだろう?」

「あぁ。闇属性は云わば魔の象徴。魔族しか使えねぇ魔法だ。そん中でも特級まで使えるつったら、俺様は二人しか思い当たらねぇ……」

 ゴラムはそう言うと何やら不安そうな、そして信じられないといった表情を浮かべていた。

「二人……? その二人とは一体誰だ?」

「言っていいのか……?」

「何を躊躇っている? 早く言え」

 ――ゴラムは何をそんなに怯えているんだ?
 まさか"名前を出してはいけない例のあの人"ってわけでもないだろうに。
 にしても二人か。
 闇属性はそんなに高度な魔法なんだな。
 特級に至るにはそれ相応の素質と努力が必要なんだろう。
 まぁ俺は生まれつき0だが……。

 そしてゴラムは唇を震わせて恐る恐る口を開く。

「今、魔族内で闇属性魔法を特級まで使えんのは――――エル様……。あんたの両親だけだぜ」

「…………っ!?」

 ゴラムが発した言葉に俺は驚愕した。あまりの衝撃に声すらも出なかった。

「だけどよ、エル様の親父さん……先代魔王様は十年前に死んじまった。そんですぐに魔王妃様もどっかへいなくなっちまった……」

「俺もそう聞いている。だが先代が死んでしまっている以上、他に闇属性を扱える者がいないのなら、考えたくはないが犯人は俺の母で間違いないだろう」

 俺がそう言うとゴラムは顔を伏せてしまった。恐らくは俺の気持ちを気遣っての事だろう。
 
 人の気持ちに寄り添える、こんなにも優しい子の綺麗な手を、魔王の俺なんかの為に汚させてしまった。そんな事を考えると非常に胸が痛み、申し訳ない気持ちが押し寄せて来る。
 それと同時に、こんな世界にしてしまった先代魔王とその相手である国王に憎しみを抱かずにはいられない。

 そして俺は決意する。何を考えているのわからない、居場所すらもわからない自分の母親を自らの手で止めることを。


「気遣ってくれて感謝する、ゴラムよ。だが俺は大丈夫だ」

「ほ、本当か……?」

 俺がそう言ってやると、ゴラムは潤んだ瞳で俺を見た。ロクサーヌならこの場合、こう言うのだろう。

「――――きゅんです……!」

「は……?」

「…………コホン。それより、この死人アンデッド達を何とかしないとな。止めようにもロクサーヌの指示しか聞かないのだろう?」

 盛大にスベり散らかした俺は強引に話題を変えた。ゴラムは戸惑っていたが、すぐに死人アンデッド達に目を向け答える。

「あぁ。だが、そんな気負う事ねぇーぜ?」

「ん……? 何故だ?」

「何故って、コイツらはあのアホの指示しか聞かねーつっても魔族だぜ? エル様は誰だよ? 忘れたのか?」

 ゴラムにそう言われ俺はハッとする。

 ――そうだ。俺は魔族の王……魔王だ。
 そんな魔王の言う事を聞かない奴なんて、魔族にいるはずが…………いや、いたな沢山……。
 そして今、俺の目の前にも……。

 俺はゴラムの顔を冷めた目で見つめる。当の本人はキョトンとしているから俺もこれ以上は何も言えない。

「いや、覚えている。俺は魔王だ。コイツらの暴走など、すぐに止めてやろう」

「さすがエル様だぜ……!」

 そして俺は大量の酸素を身体に入れ、一気にそれを大声と共に吐き出した。

「しーーーずーーーまーーーれーーー!!!」

 某魔法学校の校長の如く、言葉以上の力を持ったその声はジャペン全域へと木霊した。そしてそれを聞いた死人アンデッド達は次々と戦意を喪失させ、武器を下ろし始めた。
 そんな中、どう見ても他の死人アンデッド達とは格が違う者が一人、こちらへ近付いて来た。
 

「ま、魔王様……! よくぞご無事で……!」
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