処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖

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偽りの奇跡の果て

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アランの帰還


大聖堂の包囲から九日目。

ついに、アランが北から五万の軍勢を引き連れて、帝都に帰還した。

「……すごい威圧感ね」

私は鐘楼の窓から、帝都の城門を埋め尽くす正規軍の「軍旗」を見つめていた。

アランは帝都に入ると真っ先に、大聖堂の包囲網に合流した。

「……エリアーナ! ルシアン!」

アランの、怒声が聖堂中に響き渡る。

「……今すぐ出てこい! さもなくば、この『聖域』とやらを兵士に踏み潰させるぞ!」

アランは大神官の警告を無視し、軍事力で脅迫してきた。

「……大神官様。民衆は?」

「……門の前に集まっている」

大神官が冷静に答える。

民衆はアランの軍隊と、大聖堂の間に立ち、固唾を飲んで、事態を見守っていた。

「……イザベラが来たぞ」

ルシアンが遠眼鏡を覗きながら言った。

イザベラが純白のドレスでアランの隣に立つ。

(……役者は、揃ったわね)


※※※※※※※※※※※※※


エリアーナの「挑発」


「……大神官様。私にお話をさせてください」

「……よかろう」

私は大神官の許可を得て、大聖堂のバルコニーに姿を現した。

もちろん、アランの矢が届かない安全な距離だ。

「……!」

「……エリアーナ様だ!」

「……魔女が、出てきたぞ!」

民衆がどよめく。

アランとイザベラも私に気づいた。

「……エリアーナ! やっと出てきたな!この魔女め!」

アランが罵声を浴びせる。

私は彼を無視した。

私はアランではなく、彼の隣にいるイザベラに話しかけた。

「……イザベラさん」

私は静かに、しかし、全員に聞こえる声で言った。

「……私が欲しいのでしょう?」

「……!」

イザベラがビクリと肩を震わせた。

「……私が『魔女』だというのなら、あなた(聖女)が直接、私を討てばよいのではありませんか?」

「……」

「……アラン様の軍隊の後ろに隠れていないで」

「……き、さま……!」


※※※※※※※※※※※※※※※


イザベラの顔が憎悪に歪む。

「……怖いのですか? イザベラ」

私は彼女を挑発した。

「……あなたの、その『奇跡』の力が、私に通じないのが怖いのですか?」

「……だまれ!!」


※※※※※※※※※※※※※※※


イザベラの「暴走」


イザベラはエリアーナの「挑発」に激しく動揺した。

(……あの女。……私を見下している!)

(私の方が、力も、アラン様の愛も、手に入れたのに!)

『……行け、イザベラ』

悪魔王の声が響く。

『あの女を、殺せ。……あの聖域の中で殺せ』

『あの女さえ殺せば、全てお前のものだ』

「……イザベラ! 待て!どこへ!」

アランの制止も聞かず。

イザベラは、悪魔王の力に突き動かされるように大聖堂の「門」に向かって、一人で歩き出した。

「……開けなさい!」

イザベラが門を叩く。

「……私は、聖女イザベラ! 神の家に入る資格があります!」

「……魔女と、一対一で対決する!」

「……開けなさい!」

彼女の、その「勇気」ある(狂気的な)行動に民衆が熱狂した。

「……おお! 聖女様!」

「そうだ! 魔女と直接対決だ!」

「開けろ! 門を開けろ!」

民衆がイザベラを支持し、大聖堂の門を叩き始めた。


※※※※※※※※※※※※※※※


聖域への「侵入」


(……来たわ)

私はバルコニーから大神官の元へ戻った。

「……大神官様。民衆が門を破ろうとしています」

「……やむを得まい」

大神官は神官たちに命じた。

「……門を開けよ」

「……! いや、しかし!」

「……イザベラのみ中へ通せ。……民衆は外で見守らせよ」

「……はっ!」

ギィィ……。

あの日、私たちを守るために閉ざされた、大聖堂の「門」が、今、イザベラを招き入れるために開かれた。

イザベラは勝利の笑みを浮かべ、一人、堂々と聖堂の中へと入ってきた。

アランは、あまりにも無謀なイザベラの行動に戸惑いながらも、「行け! イザベラ! 魔女を討て!」と、声援を送るしかなかった。

民衆が外で固唾を飲んで見守る中。

大聖堂の重い扉が、再び閉ざされた。

(……イザベラ。……あなたを、私たちの『舞台』に引きずり込んだわ)

聖堂の薄暗い内部。

私とルシアン。

そして大神官がイザベラの前に立ちはだかった。

決戦の火蓋が切られた。
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