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ダメな君のそばには私
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「雪乃っ! 雪乃ってば!」
後ろで叫んでいる陽奈を無視して、家の中に招き入れる。そのままその手を引き、陽奈をベッドの上に座らせた。
「ゆ、雪乃? 急にどうしたの?」
「……気持ちいいことなら、女の子同士でもできるから」
「えぇ?」
「だから、あんなダメ男たちじゃなくて、私と付き合えばいいじゃない!」
「な、何言って……」
「私なら陽奈のこと、もっと大事にしてあげられる。気持ちいいことだってしてあげられるから」
陽奈の目を見ながら、精一杯思いを伝える。だてに今までたくさんの本を読んできたわけじゃない。物語の中には同性愛の話が出てくることもある。その中にはもちろん女性同士のことだって。
──だから、知識は、知識だけはあるのだ。
「雪乃……?」
そっと、陽奈をベッドの上に押し倒す。
「えっ? 待っ──」
陽奈が言い終わらないうちに、そっとその唇を塞いだ。
──もっと、抵抗があるものだと思っていた。自分がそんなことをするなんて考えられなかったはずなのに、他の男に触れられていたと思うだけで頭が沸騰しそうで、耐えられなくて。自分だけを見て欲しくて。
初めての口づけは思った以上に、甘やかだった。
「陽奈……」
陽奈の柔らかくほのかに甘い唇に酔いそうになる。薄く開いたその口に舌を滑り込ませると陽奈の体がわずかに震えた。
「んんっ……!? あっ、だ、だめ……」
「何がだめ……? 陽奈は気持ちいいこと好きなんでしょう?」
少し唇を離し、至近距離から問いかける。
「だって、雪乃は友だちだから! だから、こんなこと……」
少し頬を紅潮させた陽奈は、雪乃を押し返そうと手を押し付けてきたが、その手をぎゅっと掴み、また距離を詰め直した。
「……私も最初は友だちだって、思ってたよ? だけど、あんなダメ男たちの話聞かされて自分の気持ちに気づいちゃったの」
言いながら、陽奈の腰に手を伸ばし、そっとその可憐な白い肌を撫で上げる。
「んぁっ! そ、そこ、だめ、だってば……」
「だから、私にしなよ」
もう一度、その目を見て真剣に話す。気づいたのはついさっきかもしれないけれど、雪乃の気持ちは本物だった。
「私なら絶対、陽奈を幸せにしてあげられる」
「ゆ、きの……」
陽奈の太陽のように輝く瞳が大きく揺れている。その目は決して拒絶じゃないと、そう思いたい。
「私のこと、受け入れて……」
「あ……」
もう一度、その甘やかな唇に自分の唇を重ね合わせる。今度は陽奈の体から力が抜けていくのを感じ、そのまま二人溶け合うようにベッドに身を委ねた。
◇◆◇◉◇◆◇
「ごめんなさい!」
開口一番、雪乃は陽奈の前で土下座で謝罪した。
あのあと、まぁ、いろいろあってシャワーを浴びて、お互い冷静になったタイミングだった。
(い、いきなり手を出すとか、私他のダメ男たちと同じようなものじゃない!)
ものすごい自己嫌悪に陥っていると、陽奈が雪乃のあごを人差し指で持ち上げて、上に向かせる。
「なーんで、謝るわけぇ~?」
「いや、だって冷静に考えるといきなり手を出すとか、ないなーって」
「ふ~~ん」
訝しげにまじまじと雪乃の顔を凝視すると、意外なことを言い出した。
「あたしは、あんなに情熱的な雪乃、初めて見たから嬉しかったけど?」
「えっ!?」
「絶対、幸せにしてくれるんでしょ?」
そう言って、笑う姿はまるで陽だまりのようで。
初めて出会ったときに素敵だなと思ったその笑顔を見ると、何の理由もなくただただ好きだと改めて自覚してしまう。
「とりあえず、これからよろしくっ☆」
後ろで叫んでいる陽奈を無視して、家の中に招き入れる。そのままその手を引き、陽奈をベッドの上に座らせた。
「ゆ、雪乃? 急にどうしたの?」
「……気持ちいいことなら、女の子同士でもできるから」
「えぇ?」
「だから、あんなダメ男たちじゃなくて、私と付き合えばいいじゃない!」
「な、何言って……」
「私なら陽奈のこと、もっと大事にしてあげられる。気持ちいいことだってしてあげられるから」
陽奈の目を見ながら、精一杯思いを伝える。だてに今までたくさんの本を読んできたわけじゃない。物語の中には同性愛の話が出てくることもある。その中にはもちろん女性同士のことだって。
──だから、知識は、知識だけはあるのだ。
「雪乃……?」
そっと、陽奈をベッドの上に押し倒す。
「えっ? 待っ──」
陽奈が言い終わらないうちに、そっとその唇を塞いだ。
──もっと、抵抗があるものだと思っていた。自分がそんなことをするなんて考えられなかったはずなのに、他の男に触れられていたと思うだけで頭が沸騰しそうで、耐えられなくて。自分だけを見て欲しくて。
初めての口づけは思った以上に、甘やかだった。
「陽奈……」
陽奈の柔らかくほのかに甘い唇に酔いそうになる。薄く開いたその口に舌を滑り込ませると陽奈の体がわずかに震えた。
「んんっ……!? あっ、だ、だめ……」
「何がだめ……? 陽奈は気持ちいいこと好きなんでしょう?」
少し唇を離し、至近距離から問いかける。
「だって、雪乃は友だちだから! だから、こんなこと……」
少し頬を紅潮させた陽奈は、雪乃を押し返そうと手を押し付けてきたが、その手をぎゅっと掴み、また距離を詰め直した。
「……私も最初は友だちだって、思ってたよ? だけど、あんなダメ男たちの話聞かされて自分の気持ちに気づいちゃったの」
言いながら、陽奈の腰に手を伸ばし、そっとその可憐な白い肌を撫で上げる。
「んぁっ! そ、そこ、だめ、だってば……」
「だから、私にしなよ」
もう一度、その目を見て真剣に話す。気づいたのはついさっきかもしれないけれど、雪乃の気持ちは本物だった。
「私なら絶対、陽奈を幸せにしてあげられる」
「ゆ、きの……」
陽奈の太陽のように輝く瞳が大きく揺れている。その目は決して拒絶じゃないと、そう思いたい。
「私のこと、受け入れて……」
「あ……」
もう一度、その甘やかな唇に自分の唇を重ね合わせる。今度は陽奈の体から力が抜けていくのを感じ、そのまま二人溶け合うようにベッドに身を委ねた。
◇◆◇◉◇◆◇
「ごめんなさい!」
開口一番、雪乃は陽奈の前で土下座で謝罪した。
あのあと、まぁ、いろいろあってシャワーを浴びて、お互い冷静になったタイミングだった。
(い、いきなり手を出すとか、私他のダメ男たちと同じようなものじゃない!)
ものすごい自己嫌悪に陥っていると、陽奈が雪乃のあごを人差し指で持ち上げて、上に向かせる。
「なーんで、謝るわけぇ~?」
「いや、だって冷静に考えるといきなり手を出すとか、ないなーって」
「ふ~~ん」
訝しげにまじまじと雪乃の顔を凝視すると、意外なことを言い出した。
「あたしは、あんなに情熱的な雪乃、初めて見たから嬉しかったけど?」
「えっ!?」
「絶対、幸せにしてくれるんでしょ?」
そう言って、笑う姿はまるで陽だまりのようで。
初めて出会ったときに素敵だなと思ったその笑顔を見ると、何の理由もなくただただ好きだと改めて自覚してしまう。
「とりあえず、これからよろしくっ☆」
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