隠密少女は気づかれたいっ!

ぽん

文字の大きさ
4 / 72

4話 イタズラ

しおりを挟む
 アプリでスキルポイントの使い方を調べてみるとこう書かれていた。

『スキルポイントを使用するとスキルを獲得できる。スキルによって必要なスキルポイントの量が変わってくる』

「スキルはステータスを獲得した時以外でも手に入るんだ! 10ポイントで獲得できるスキルってあるのかな?」

 獲得できるスキルについても調べてみたけど、最低でも100ポイント必要らしい。
 レベルが1上がって10ポイント貰えたから、100ポイントためるには最低でもあとレベルを9も上げないといけない。
 ベビースライム50体とスライム1体でレベル1上がったから、単純計算でベビースライムを450体とスライムを10体倒さないといけないことになる。
 でも、レベルが上がるにつれて必要経験値も上がっていくはずだからこの倍くらいは倒さないといけないと思う。

「そんなのんびりレベル上げなんてしてられないよぉ! もっと経験値が多いモンスターがいるダンジョンって近くになかったっけ?」

 地図アプリを開いて近くのダンジョンを調べてみると歩いて行ける距離にあるダンジョンでクリアできそうなダンジョンは2つしか無かった。

 1つはスライムダンジョンと同じEランクダンジョンの灰のダンジョンで、もう1つはDランクダンジョンのゴブリンダンジョン。

「ここはルーレットで決めよう!」

 私はルーレットアプリを開き、項目のところにゴブと灰を入力する。

「よーし、スタート!」

 スタートボタンを押してルーレットが回り始めた。
 回っているルーレットが少しずつゆっくりになっていき、灰の方に止まった。

「ルーレットだし、仕方ないね……」

 Dランクダンジョンに行ってみたかったから少し悲しい。

 このあと、スライムダンジョンにもう1回行こうか悩んだけど、やっぱり家に帰ることにした。

 魔石は各ダンジョンに3つくらい設置されている魔石換金ボックスみたいなのに入れてきた。
 ベビースライムの魔石が51個で2550円、スライムの魔石が1個で300円、クエスト報酬で貰った魔石(中)は500円もした。
 合計3350円だからアイスが20本以上も買えてしまう。
 ダンジョンはやっぱりアイス天国だね。

 ポーションとかはダンジョン近くの買取ショップで高く売れるけど私は隠密が解除できないから売りに行けない。
 解除できたとしてもポーションは必要だから売らないけどね。

 それとクエスト報酬でもらえた【成長の指輪】は装備すると経験値が2倍になるという効果だった。
 どれくらいのレア度なのかは分からないけど、無くさないように指にはめておくことにした。

 家について、すぐにシャワーを浴びた。
 髪をドライヤーで乾かしながら、今日ダンジョンであったことを思い出していた。

 初クリア報酬は【成長の指輪】だったけど、クリア報酬は何が貰えるんだろう。
 もう1回いけば貰えたりするかも?
 でもクエストクリア報酬は1人1回だけしか貰えないからやっぱ無理かなぁ。
 あとでアプリにある匿名掲示板にでも未遭遇クエストのことを書き込んでおこう。
 これでちゃんとクエストがあることの確認ができたら報酬金というのが貰えるらしいから書き込んでおいても損は無い。

「スライムダンジョンで『モンスター未遭遇』というクエストを確認しました。よしこれで書き込み完了っと!」

 私は掲示板に書き込んだあと簡単な夜ご飯を作って食べた。
 そのあと、食後のデザートにアイスを食べようと思って冷凍庫を開けた時、事件が起きた。

「アイスが1つもない! 早く買いに行かないと死んじゃうよ。でも隠密のせいで行けないんだった。こうなったら友だちに頼んで買ってきてもらうしかない」

 私は急いで友だちの一ノ瀬 涼花いちのせ すずかにLEINを送った。

『緊急クエスト、アイスを買って私の家に持ってきて!』

 1分もせずに既読がついた。

『めんどくさいからやーだー。自分で買いに行きなよ』

『月見大福を10パックお願い!』

『人の話を聞いてる?』

『お給料払うから!』

『まかせて! 秒で買って来るから』

 15分くらいしたら家のインターホンが鳴った。

『玄関の前に置いといて。後で取りに行くから』

『ほかりんもしかして今家いないの? お給料ほしいんだけど!』

『いるけどいない』

『ほかりんが壊れた。いつもの事だけど』

『壊れてないよ。あといつもの事とはなんだ!』

『そのまんまの意味です』

『お給料あげないよ?』

『もー、冗談に決まってるじゃん。ほかりんはいつもかわいいよ!』

『えへへー、ありがと』

『そんなことは置いといているなら早く取りに来てよ。久しぶりに会いたいし』

『いや、その、それはだめなの!』

『なんでダメなの? あ、鍵開いてるじゃん』

「お邪魔しまーす」

 玄関の方から声が聞こえた。
 勝手に入ってくるなよって思うけどいつもの事だ。
 けど今日は少しイタズラしてやる。

『ほかりん早くリビング来なよ。アイス溶けちゃうよー』

 涼っちは気づいていないけど私は既にリビングにいる。

『やだ。最近リビングで誰もいないのに音がしたりするから行きたくないの……』

『幽霊がいるって言いたいの? そんなのいるわけないじゃん』

 涼っちの言う通り幽霊なんかいない。
 私が幽霊のフリをして脅かすだけだ。

 手始めに冷凍庫を開けてみよう。

「冷凍庫が開いてる? そうだ、冷凍庫にアイス仕舞っておいた方がいいよねー」

 まさかのスルー!
 今度は電気を消そう。

「停電? それかブレーカーが落ちたのかなー? ほかりんに聞いてみるかー」

『停電なんてしていないし、ブレーカーなんか落ちてないよ』

『なんでリビングにいないのにほかりんがそれを知ってるの?』

 あっ、どうして先に言っちゃったんだ私。
 ここは無視してもっと驚かせてやる。
 今度ドアを閉じたり開いたりさせよう。
 これで驚かない人はまずいない。

「風強いみたいだけど、窓でも空いてるのかな」

「気づいてよ!」

 なんか疲れたし、もう諦めよう。

『ほかりん早く来なよー』

『私ずっとリビングいるよ』

『ずっと隠れてたの?』

『隙あり、これでもくらえ!』

「ちょ、やめて、くすぐったっい、ねぇ、ほかりん、ギブだって、あれ、誰もいない!?」

『ふっふっふー、今度はこれだー!』

「ちょっ、胸を揉むなーー!!!」

『幸せだよ~!』

「やめろーーー!!!!」

 このあとLEINで隠密について教えてあげた。
 それとめっちゃくちゃ怒られた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

処理中です...