隠密少女は気づかれたいっ!

ぽん

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6話 灰のダンジョン

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 翌日。
 私は予定通り灰のダンジョンに来ていた。

 昨日のことはすごいショックだったけど、悲しんでいる暇なんかない。
 早くレベルを上げてSランクダンジョンをクリアしないといけないからね。

「準備よし! 灰のダンジョンにれっつごーだ!」

 ダンジョンの入口を通って、ダンジョン内に転移する。
 灰のダンジョンは前が見えない程じゃないけど、薄暗くなっている。

「強いモンスターは出ないみたいだけど、慎重に進んでいこう」

 スライムダンジョンに行った時と同じで片手に木刀を持って進んでいく。
 懐中電灯は無くても困らないって書いてあったから持ってこなかったけど、あった方がよかったかもしれないね。



 順調に進んでいき、モンスターに遭遇することなく階段を見つけることができた。
 どのダンジョンでも1階層は比較的モンスターは少ないのかなと思いながら2階層に降りていく。

 階段を降りた先にはいつも通りモンスターがいた。
 今回はスライムじゃなくてコボルトだったけどね。
 確定で出現するのはボスだけだから偶然なんだろうけどそれにしても階段を降りた先での遭遇率が高すぎるよ。

 コボルトは鼻がいいらしいから気づいてくれるかなと思ったけど、やっぱり気づいてくれなかった。
 鼻がいいだけじゃ、隠密には勝てないみたいだ。


 私は油断しまくっているコボルトに近づき、頭に木刀を振り下ろす。
 コボルトはスライムと違って、1発じゃ倒れなかったので、何度も木刀を振り下ろした。

「ふー……」

 10回以上振り下ろしてようやく倒れ、魔石に姿を変えた。

「一体倒しただけだと、さすがにレベルは上がらないか」

 私は魔石をリュックに入れ、2階層の探索を始める。

 探索を始めてから1分も経たずに階段を見つけたけど、もう少しだけ2階層でモンスターを探すことにしよう。

「スライムでもコボルトでもどっちでもいいから見つからないかな~」

 そう呟きながら歩いていると通路の横からスライムとコボルトが2体同時に出てきた。
 普通なら同時に相手をするのはキツいけど、私の場合はラッキーでしかない。

「魔石2つに経験値。じゅるり…………」

 私はスライムを速攻で倒してコボルトに近づく。
 コボルトは目の前でスライムが魔石に変わったのを見て、不思議そうな顔をしている。

 そんな顔をしているコボルトに木刀を何度も振り下ろす。
 今回は8回で倒れ、魔石に変わった。

 個体によってHPの量が違ってるのかな?
 私の叩く力がさっきよりも強かったのかもしれないけどね。

 魔石を拾い、来た道を戻っていく。

「確か階段はここを曲がったところにあったはず」

 道を曲がると目の前は行き止まりだった。

「あれ? 間違えた?」

 どうやら違う道に来てしまったみたいだ。
 自分の方向音痴にさらに薄暗さも加わってるから余計迷ってしまう。

「どっちだったっけ?」

 それから適当に歩いているとまたスライムが出てきたので木刀で軽く叩いた。
 スライムはそれだけで倒せるくらい弱いのに、なぜか魔石は300円もする。
 アイスを2本も買えるお金を、こんな簡単に手に入ってしまっていいのだろうか。
 そんなことを考えながら歩いていたら階段を発見した。

「やっと見つかったよー!」

 何かいるかもしれないと思って、木刀を構えながら階段を降りたけど、今回は何もいなかった。

「やっぱり確定って訳じゃないんだね」

 3階層はモンスターと遭遇する前に階段を見つけた。
 探しても良かったけど、さっきみたいに迷ったら嫌だからすぐに4階層に進んだ。

 4階層はなぜかさっきまでよりも暗くなった気がする。
 深さとかが関係しているのかな。

 暗いせいで足元がよく見えず、石につまずいて3回くらい転んでしまった。
 そのせいでHPが少し減った時は焦った。
 ポーションは家に置いてきたので回復する手段はない。
 ダンジョン内だと時間が経てばある程度の怪我なら治るようになっているからそこまで困らないと思うけどね。

 4階層もモンスターと遭遇せずに階段を見つることができたと思ったら、階段の前に待っていたかのようにコボルトが2体いた。
 実際は待っていないんだろうけどね。

 私は堂々とコボルトたちに近づいて木刀を何度も振り下ろした。
 コボルトたちは何に攻撃されているのかも分からず、魔石に変わった。
 これでも私なりに正々堂々と戦っているつもりだ。

 私は魔石をしっかりと回収して5階層に進んだ。
 5階層は4階層よりも明るかった。

「深さは関係ないんだね」

 ダンジョンはよく分かっていないことが多いから特に気にすることもなく探索を続ける。

「スライムはっけん! ていっ!」

 いつも通り魔石に変わると同時に頭に声が響いた。

『レベルが上がりました』

「お、もう上がった! これも【成長の指輪】のおかげだねー!」

 一応ステータス画面を開いて確認してみると全ステータスが少しだけ上がっていた。
 スキルポイントも10増えていたのでいい感じだ。
 この調子でレベルを上げれたら100ポイントぐらいすぐにたまりそう。

「早くレベルを11まであげて、あのスキルを手に入れたいなぁ」
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