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26話 既視感
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ことりさんはシャーマンを倒した経験値でレベルが上がったらしく、ステータス画面を見ながら歩いている。
ながらスマホならぬ、ながらステータス画面?
基本的にステータス画面は周りに見せない表示にした方がいいと思うけど、ダンジョン内だから私たち以外の人はいないし、いたとしても手を繋いでいる限りは私以外の人に見られることはないから大丈夫だけどね。
そういえばどうして私は隠密の効果が発動していることりさんに気づけるのかな?
隠密のスキルを持っている人には効果がないとか?
でも同じ固有スキルを持っている人はいないから確かめようがないよ。
「あそこに見えるのって階段ですかね?」
そんなことを考えていたらことりさんが道の奥の方を指さしながらそう言った。
「よくそんな遠くにある階段に気づけるね。さすがことりさん、私だけだったら絶対に見逃していたよ」
「目だけはいいんです! それ以外はお察しの通りですが……」
ことりさんの中での自己評価がやたら低い。
性格も顔もいいし、最高だと思うんだけどね。
髪が水色だからとか?
フードで隠していたから自分で染めたとは思えないし……
あんまり隠せてなかったことは……うん、見なかったことにしてあげよう。
ひたすら道を進むこと2分くらい。
思っていたよりも時間がかかったけど、階段に着いた。
「ことねさんことねさん、階段ってこんなに暗かったけ?」
ついに敬語とタメ口が混ざり始めた。
そんなことより暗いってどういうこと?
ゴブリンダンジョンは明るいダンジョンなはず――って前もこんなことなかった?
とりあえず階段を降りてみよう。
「この暗さ、既視感が……」
「ことねさん何か知ってるの?」
「知ってるけど、知らない……」
ことりさんがどういう表情をしているのかは暗くて見えないけど、たぶん「この人急に変なこと言い出したヤバいやつだぁ!」みたいな顔をしていると思う。
「そ、そうなんだね……」
私の答え方が悪かったのは確かだけど、こういう時は聞き返してほしい。
「えーっとね、前来た時も1回だけ暗い時があったの。階層は違ったけどね」
「わ、分かりました。ありがとうございます……」
分かってくれたから良しとしよう……
とりあえず6階層に移動したから状況を整理しよう。
「ことりさん懐中電灯って持って……」
「ないです!」
即答すぎるよ!
私もこういう時に限って持ってきてないし、このまま進むしかないか……
「ことねちゃん、このまま進もうとしてない?」
してるけど、どうしたんだろう。
「懐中電灯が無くてもスマホのライトで足元くらいなら照らせるよ!」
「スマホノライト?」
びっくりして変な声になってしまった。
ライトか……そういえばそんな機能あったね……
どうして今まで気づかなったんだろう。
すごい悲しくなってきた。
「どうかしたの?」
「ナンデモナイヨ、ハヤクイコッカ……」
私は短剣を持っていて手が塞がっているから、ことりさんに道を照らしてもらうことにした。
いつもなら暗い階層でモンスターに遭遇しても無視していたけど、今回は全員倒すことにした。
けっして八つ当たりではないよ。ないったらない!
「またレベルが上がりました! この調子でどんどん上げていきましょう!」
「私はまだ1も上がっていないよ……」
1上げるだけでもことりさんの倍くらいの経験値は必要になる。
経験値の表記とかはされていないから絶対とは言えないけど、体感的にはそれくらいだ。
もっと経験値が多いモンスターを倒したいなぁ……
「あっちの方が明るくなっているけど、何かあるんでしょうか?」
レベルが上がらないことを嘆いていたらことりさんがそんなことを言い出した。
今までの経験上、明るくなっているとこにあるのは階段しかない。
「たぶん階段だよー!まあとりあえず行ってみよう」
見えるところまで近づくとやっぱり階段があった。
暗い階層って実は階段を見やすくしてくれるラッキーフロア的なものなのかな。
そんなことを思いながら階段を降りていく。
「ちょっと眩しい……」
急に明るくなったから少し眩しく感じるけど、すぐに慣れるから気にしなくても大丈夫。
「眩しくて少しくらくらします……」
目がいいとそういうこともあるのかな?
「少し休憩する?」
「だ、大丈夫です……」
大丈夫そうには見えないけど、本人がそう言ってるだし、なんとかなるよね……?
一応さっきよりも少しゆっくり歩くようにしよう。
しばらく進んでいると急にことりさんが立ち止まった。
「大丈夫!?」
「やっぱり少し休憩させてほしいです……わがままでごめんなさい…………」
やっぱり無理をしていたみたいだ。
一応【治癒のポーション(小)】を持ってきているからいざとなったら使おう。
「ゴブリンが来ないか見張っておくからことりさんは休んでていいよ!」
「ありがと……」
そう言ってことりさんは壁にもたれかかった。
そう、壁に。
ながらスマホならぬ、ながらステータス画面?
基本的にステータス画面は周りに見せない表示にした方がいいと思うけど、ダンジョン内だから私たち以外の人はいないし、いたとしても手を繋いでいる限りは私以外の人に見られることはないから大丈夫だけどね。
そういえばどうして私は隠密の効果が発動していることりさんに気づけるのかな?
隠密のスキルを持っている人には効果がないとか?
でも同じ固有スキルを持っている人はいないから確かめようがないよ。
「あそこに見えるのって階段ですかね?」
そんなことを考えていたらことりさんが道の奥の方を指さしながらそう言った。
「よくそんな遠くにある階段に気づけるね。さすがことりさん、私だけだったら絶対に見逃していたよ」
「目だけはいいんです! それ以外はお察しの通りですが……」
ことりさんの中での自己評価がやたら低い。
性格も顔もいいし、最高だと思うんだけどね。
髪が水色だからとか?
フードで隠していたから自分で染めたとは思えないし……
あんまり隠せてなかったことは……うん、見なかったことにしてあげよう。
ひたすら道を進むこと2分くらい。
思っていたよりも時間がかかったけど、階段に着いた。
「ことねさんことねさん、階段ってこんなに暗かったけ?」
ついに敬語とタメ口が混ざり始めた。
そんなことより暗いってどういうこと?
ゴブリンダンジョンは明るいダンジョンなはず――って前もこんなことなかった?
とりあえず階段を降りてみよう。
「この暗さ、既視感が……」
「ことねさん何か知ってるの?」
「知ってるけど、知らない……」
ことりさんがどういう表情をしているのかは暗くて見えないけど、たぶん「この人急に変なこと言い出したヤバいやつだぁ!」みたいな顔をしていると思う。
「そ、そうなんだね……」
私の答え方が悪かったのは確かだけど、こういう時は聞き返してほしい。
「えーっとね、前来た時も1回だけ暗い時があったの。階層は違ったけどね」
「わ、分かりました。ありがとうございます……」
分かってくれたから良しとしよう……
とりあえず6階層に移動したから状況を整理しよう。
「ことりさん懐中電灯って持って……」
「ないです!」
即答すぎるよ!
私もこういう時に限って持ってきてないし、このまま進むしかないか……
「ことねちゃん、このまま進もうとしてない?」
してるけど、どうしたんだろう。
「懐中電灯が無くてもスマホのライトで足元くらいなら照らせるよ!」
「スマホノライト?」
びっくりして変な声になってしまった。
ライトか……そういえばそんな機能あったね……
どうして今まで気づかなったんだろう。
すごい悲しくなってきた。
「どうかしたの?」
「ナンデモナイヨ、ハヤクイコッカ……」
私は短剣を持っていて手が塞がっているから、ことりさんに道を照らしてもらうことにした。
いつもなら暗い階層でモンスターに遭遇しても無視していたけど、今回は全員倒すことにした。
けっして八つ当たりではないよ。ないったらない!
「またレベルが上がりました! この調子でどんどん上げていきましょう!」
「私はまだ1も上がっていないよ……」
1上げるだけでもことりさんの倍くらいの経験値は必要になる。
経験値の表記とかはされていないから絶対とは言えないけど、体感的にはそれくらいだ。
もっと経験値が多いモンスターを倒したいなぁ……
「あっちの方が明るくなっているけど、何かあるんでしょうか?」
レベルが上がらないことを嘆いていたらことりさんがそんなことを言い出した。
今までの経験上、明るくなっているとこにあるのは階段しかない。
「たぶん階段だよー!まあとりあえず行ってみよう」
見えるところまで近づくとやっぱり階段があった。
暗い階層って実は階段を見やすくしてくれるラッキーフロア的なものなのかな。
そんなことを思いながら階段を降りていく。
「ちょっと眩しい……」
急に明るくなったから少し眩しく感じるけど、すぐに慣れるから気にしなくても大丈夫。
「眩しくて少しくらくらします……」
目がいいとそういうこともあるのかな?
「少し休憩する?」
「だ、大丈夫です……」
大丈夫そうには見えないけど、本人がそう言ってるだし、なんとかなるよね……?
一応さっきよりも少しゆっくり歩くようにしよう。
しばらく進んでいると急にことりさんが立ち止まった。
「大丈夫!?」
「やっぱり少し休憩させてほしいです……わがままでごめんなさい…………」
やっぱり無理をしていたみたいだ。
一応【治癒のポーション(小)】を持ってきているからいざとなったら使おう。
「ゴブリンが来ないか見張っておくからことりさんは休んでていいよ!」
「ありがと……」
そう言ってことりさんは壁にもたれかかった。
そう、壁に。
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