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29話 賭け
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ゴブリンキングは吠えた後からずっと休憩している。
さすがのゴブリンキングでも休憩なしでさっきスキルを連発はできないみたいで少し安心した。
私はゴブリンキングが休憩している間にことりさんが持ってきていた【治癒のポーション(中)】を飲んだ。
そのおかげで一桁だったHPが7割くらいまで回復して、意識がだんだんはっきりとしてきたよ。
聞こえなくなった耳は治らなかったけど、念話があるから大丈夫!
本当はポーションは30分くらい間隔を空けて飲まないと後々体調を崩したりするらしいけど、今はそんなこと気にしていられる状況じゃない。
転移まで残り15分もある。
次の攻撃がいつ来るか分からないけど、もう一度さっきのスキルを食らったら間違いなく私は死んでしまう。
私が死んでしまったら、隠密の効果が切れてことりさんも殺されてしまう。
だから絶対にスキルを使わせたらいけない。
そのためにはゴブリンキングを倒すしかない。
「ことりさん、私に考えがあるんだけどね――」
ことりさんに何をするか説明する。
絶対に成功するわけじゃない。
なんなら失敗する可能性の方が高い。
けど、何もしなかったら確実に殺される。
「分かりました! 私はことねさんを信じます!」
私たちはことねさんが持ってきていた【力のポーション(中)】を飲む。
私はこれで3本目のポーションだ。
今は体調に変化はないけど、後々どうなるのかは分からない。
「ことりさんほんとに体調は大丈夫ですか……?」
「今は大丈夫! 私が合図をしたらよろしくね!」
チャンスはポーションの効果が残っている1分間だけ。
私は【スライムの短剣】を、ことりさんは【氷結の剣】を構える。
「鑑定!!」
私は休んでいるゴブリンキングを鑑定する。
――――――――――――――――――――――――
ゴブリンキング
状態:正常
HP:ERROR
攻撃力:ERROR
防御力:ERROR
スキル:「咆哮」
武器:ERROR
――――――――――――――――――――――――
どうしてかは分からないけど、スキルはERRORの表示から変わっている。
さっきの攻撃は私の言ってた通りでスキルによるものだったみたいだ。
ステータスは相変わらずERRORの表示。
でもそんなことはどうだっていい。
私が鑑定した理由はステータスを知るためじゃなく、ゴブリンキングに攻撃を誘発させるためだ。
私の狙い通り、鑑定した直後にゴブリンキングの視線がこっちに向いた。
「来るよ!!」
私の合図で繋いでいる手を離して、ゴブリンキングの攻撃範囲から移動する。
移動してすぐに振り下ろされた斧によって、最初の攻撃と同じように部屋が揺れ、砂埃が舞った。
手を離してから5秒が経った。
ことりさんに残っている隠密の効果が切れる。
だけど、ゴブリンキングがことりさんに気づいた様子はない。
危ない賭けだったけど、成功したみたいで良かったよ。
私が攻撃を誘発させた1つ目の理由、それは攻撃によって部屋中に舞った砂埃でゴブリンキングからことりさんの姿を見えなくさせるためだ。
隠密がなくても気づかれない今なら両手で剣を振ることができる。
そしてもう一つの理由、それは――
「ことりさんお願い!!!」
「まかせてください!!」
ことりさんはそう言って普通なら届く高さにないゴブリンキングの手に剣を振り下ろす。
ポーションによって強化されたことりさんの一撃によってゴブリンキングの手は切り落とされ、斧が地面に落ちる。
「狙い通りだ!」
斧を振り下ろした後なら手は普段よりも低いところに来る。
そのタイミングを狙って手を攻撃して武器を落とさせる。
それが攻撃を誘発させたもう1つ理由だ。
手を切り落とされ、武器を無くし、スキルもまだ使えない。
そんな状態のゴブリンキングに追い打ちをかけるように私は【スライムの短剣】を顔に投げつける。
一直線に飛んでいった【スライムの短剣】はゴブリンキングの顔に勢い良く突き刺さり、ゴブリンキングはそのまま後ろに倒れた。
ゴブリンキングが倒れたことによってまた部屋が揺れ、砂埃が舞った。
「ことりさん、次で最後だよ!」
「はいっ!!」
そう言って私たちはでゴブリンキングが持っていた斧を2人がかりで持ち上げる。
武器を落とさせた本当の理由はとどめを刺すためだ。
ポーションの効果が切れるまで残り5秒。
「「これで終わりだー!」」
私たちはそう言いながらゴブリンキングのに斧を振り下ろした。
斧が直撃したゴブリンキングは虹色に輝く魔石に変わった。
それと同時に3つの声が聞こえた。
『レベルが上がりました』
『エクストラボス ゴブリンキングの討伐が確認されました』
『1分後、10階層に転移します』
「ことねさんがいきてて、ほんと、よかった、です……」
ことりさんが号泣しながらそう言った。
「ことりさん泣きすぎだよ!」
「だってぇ……」
そんなことを言っている間に転移が始まりそうになったから、私は急いでゴブリンキングの魔石を回収した。
「帰ったらアイスが食べたいなぁ……」
私がそう呟いたと同時に部屋が光に包まれた。
さすがのゴブリンキングでも休憩なしでさっきスキルを連発はできないみたいで少し安心した。
私はゴブリンキングが休憩している間にことりさんが持ってきていた【治癒のポーション(中)】を飲んだ。
そのおかげで一桁だったHPが7割くらいまで回復して、意識がだんだんはっきりとしてきたよ。
聞こえなくなった耳は治らなかったけど、念話があるから大丈夫!
本当はポーションは30分くらい間隔を空けて飲まないと後々体調を崩したりするらしいけど、今はそんなこと気にしていられる状況じゃない。
転移まで残り15分もある。
次の攻撃がいつ来るか分からないけど、もう一度さっきのスキルを食らったら間違いなく私は死んでしまう。
私が死んでしまったら、隠密の効果が切れてことりさんも殺されてしまう。
だから絶対にスキルを使わせたらいけない。
そのためにはゴブリンキングを倒すしかない。
「ことりさん、私に考えがあるんだけどね――」
ことりさんに何をするか説明する。
絶対に成功するわけじゃない。
なんなら失敗する可能性の方が高い。
けど、何もしなかったら確実に殺される。
「分かりました! 私はことねさんを信じます!」
私たちはことねさんが持ってきていた【力のポーション(中)】を飲む。
私はこれで3本目のポーションだ。
今は体調に変化はないけど、後々どうなるのかは分からない。
「ことりさんほんとに体調は大丈夫ですか……?」
「今は大丈夫! 私が合図をしたらよろしくね!」
チャンスはポーションの効果が残っている1分間だけ。
私は【スライムの短剣】を、ことりさんは【氷結の剣】を構える。
「鑑定!!」
私は休んでいるゴブリンキングを鑑定する。
――――――――――――――――――――――――
ゴブリンキング
状態:正常
HP:ERROR
攻撃力:ERROR
防御力:ERROR
スキル:「咆哮」
武器:ERROR
――――――――――――――――――――――――
どうしてかは分からないけど、スキルはERRORの表示から変わっている。
さっきの攻撃は私の言ってた通りでスキルによるものだったみたいだ。
ステータスは相変わらずERRORの表示。
でもそんなことはどうだっていい。
私が鑑定した理由はステータスを知るためじゃなく、ゴブリンキングに攻撃を誘発させるためだ。
私の狙い通り、鑑定した直後にゴブリンキングの視線がこっちに向いた。
「来るよ!!」
私の合図で繋いでいる手を離して、ゴブリンキングの攻撃範囲から移動する。
移動してすぐに振り下ろされた斧によって、最初の攻撃と同じように部屋が揺れ、砂埃が舞った。
手を離してから5秒が経った。
ことりさんに残っている隠密の効果が切れる。
だけど、ゴブリンキングがことりさんに気づいた様子はない。
危ない賭けだったけど、成功したみたいで良かったよ。
私が攻撃を誘発させた1つ目の理由、それは攻撃によって部屋中に舞った砂埃でゴブリンキングからことりさんの姿を見えなくさせるためだ。
隠密がなくても気づかれない今なら両手で剣を振ることができる。
そしてもう一つの理由、それは――
「ことりさんお願い!!!」
「まかせてください!!」
ことりさんはそう言って普通なら届く高さにないゴブリンキングの手に剣を振り下ろす。
ポーションによって強化されたことりさんの一撃によってゴブリンキングの手は切り落とされ、斧が地面に落ちる。
「狙い通りだ!」
斧を振り下ろした後なら手は普段よりも低いところに来る。
そのタイミングを狙って手を攻撃して武器を落とさせる。
それが攻撃を誘発させたもう1つ理由だ。
手を切り落とされ、武器を無くし、スキルもまだ使えない。
そんな状態のゴブリンキングに追い打ちをかけるように私は【スライムの短剣】を顔に投げつける。
一直線に飛んでいった【スライムの短剣】はゴブリンキングの顔に勢い良く突き刺さり、ゴブリンキングはそのまま後ろに倒れた。
ゴブリンキングが倒れたことによってまた部屋が揺れ、砂埃が舞った。
「ことりさん、次で最後だよ!」
「はいっ!!」
そう言って私たちはでゴブリンキングが持っていた斧を2人がかりで持ち上げる。
武器を落とさせた本当の理由はとどめを刺すためだ。
ポーションの効果が切れるまで残り5秒。
「「これで終わりだー!」」
私たちはそう言いながらゴブリンキングのに斧を振り下ろした。
斧が直撃したゴブリンキングは虹色に輝く魔石に変わった。
それと同時に3つの声が聞こえた。
『レベルが上がりました』
『エクストラボス ゴブリンキングの討伐が確認されました』
『1分後、10階層に転移します』
「ことねさんがいきてて、ほんと、よかった、です……」
ことりさんが号泣しながらそう言った。
「ことりさん泣きすぎだよ!」
「だってぇ……」
そんなことを言っている間に転移が始まりそうになったから、私は急いでゴブリンキングの魔石を回収した。
「帰ったらアイスが食べたいなぁ……」
私がそう呟いたと同時に部屋が光に包まれた。
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