隠密少女は気づかれたいっ!

ぽん

文字の大きさ
45 / 72

45話 VSリフレクトスライム①

しおりを挟む
 私は勢いよくボス部屋の扉を開けて中に入る。
 部屋の壁にも階段と同じ鉱石が埋め込まれていて、部屋は明るくなっている。

「さあ、こい! スライムでもドラゴンでもなんでも倒してやる!」

 私がそう言った後、部屋の中に声が響いた。

『EXスライムダンジョン ボス リフレクトスライムの討伐』

『時間は無制限です』

 声が聞こえなくなると部屋の中心に小さい魔法陣が出現し、そこから1体の透明なスライムが現れた。

「思ってたよりも小さい。これなら余裕で勝てそうだよ!」

 私の予想ではさっきのキングスライムみたいなのがボスだと思ってたから正直ホッとした。
 あれを倒せって言われても私には無理だけどね。
 ていうか勝てる人とかこの世界にいないんじゃないかな?

 ってそんなこと今はどうでもいい。
 戦いに集中しないと。

「鑑定!」

 ――――――――――――――――――――――――
 リフレクトスライム(オリジナル)
 状態:正常
 HP:2000
 攻撃力:1000
 防御力:1000
 スキル:「反射リフレクト
 装備:なし
――――――――――――――――――――――――

 ボスなだけあってほかのスライムたちよりもステータスが高い。

「スキルも鑑定!」

 ――――――――――――――――――――――――
反射リフレクト
 効果:50m以内にいる相手の能力を反映し、コピーする。
――――――――――――――――――――――――

 50m以内ってもう入ってるじゃん。
 そう思ったその時、リフレクトスライムが光った。
 そして姿が変わり始めた。



「私……?」

 私の目の前には短剣を構えた黒髪でロングヘアの少女が立っている。
 どっからどう見ても私だ。
 能力だけじゃなく姿までコピーされるみたいだ。

 というか気づかれてないはずの私をどうやってコピーしたんだろう。
 ゴブリンキングみたいに鑑定した時にバレたとかかな?
 まあいいや。とりあえずこのニセモノの能力を鑑定しよう。

 ――――――――――――――――――――――――
 リフレクトスライム(オリジナル)
 状態:リフレクト 隠密
 HP:2000
 攻撃力:1000
 防御力:500
 スキル:「反射リフレクト」「隠密」「初級氷属性魔法」「鑑定」「念話」「身体強化」
 装備:【反射の短剣リフレクトソード】【反射の指輪リフレクトリング】【反射の指輪リフレクトリング
――――――――――――――――――――――――

 ステータス以外私と同じだよ……
 コピーするならそれも私と同じにしてよ!

 見た目は私でも所詮はスライム。
 スライムキラーで攻撃すれば倒せる。

「いくよ!」

 私は走ってニセモノに近づき、その勢いのまま切りかかる。

 しかし、その攻撃はニセモノが持っている短剣でいとも簡単に防がれた。

「えっ……」

 普通ならあんなわかりやすい攻撃を防ぐことなんて余裕だ。
 けど、私の場合は隠密がある。
 気づいていない私の攻撃をどうやって……

 そんなことを考えている私にニセモノが短剣を構えて近づいてくる。

「もしかして気づかれてる?」

 私は隠密の効果についてよく思い出してみる。
 効果のところに書かれていたわけではないけど、この前私が言っていたことだ。

 隠密を持っている人には隠密は効かない。

 あの時はたぶんそうなんだろうと思っていた。
 けどそれが今、確信に変わった。

「ニセモノになんて負けない! 私は私1人で十分だよ!」

 私は短剣を構えてそう言った。

 近づいてきたニセモノが振り下ろす短剣を私は受け止める。

「重……くない?」

 ステータスは私より高いけど身体能力は私と同じなんだ。

 私はニセモノの短剣を押し返して、一旦距離をとる。
 一撃でも食らえば私は死ぬ。
 ここは慎重にいこう。


 ニセモノはすぐに距離を詰めてきて次々に短剣を振るってくる。
 それを全部受け止めていたら私の体力が先に尽きてしまう。

 私はギリギリのタイミングで短剣を躱して反撃を試みる。

「今だっ!」

 僅かな隙を見つけ、振るった私の短剣はニセモノの腹に命中した。

 しかし、全く手応えがない。
 なんというかキラーが発動していないようなそんな感じだ。

 攻撃が命中して油断した私はニセモノに蹴り飛ばされた。
 蹴り飛ばされた私は勢いよく後ろの壁に打ち付けられる。

「がはっ………」

 どうして短剣で攻撃されなかったのか考えている余裕もない。
 何本もの骨が折れた体を動かしてすぐにポーションを飲む。
 さっきポーションを飲んでからまだ30分も経っていないがそんなこと気にしていられない。

 残り1桁だったHPは4割まで回復し、骨が折れた足も痛くなくなった。
 なんとか立ち上がった私にニセモノが近づいてくる。
 キラーが発動しない相手を倒す力は私にはない。

 私は倒す方法を必死に考えながらニセモノが振るう短剣を受け止める。
 さっきよりもニセモノの短剣が重く感じる。

 キラーが発動しないから勝てない。
 ならキラーを発動させることさえできればいい。
 そんなことどうやって……

「いや、これなかできるもしれない……」

 私は短剣を受け止めたタイミングでニセモノを蹴り飛ばした。
 蹴り飛ばしたニセモノは勢いよく後ろに飛んでいき壁にぶつかった。

 身体能力が同じならできないことはないと思っていたけど、上手くいってよかったよ。

 壁に打ち付けられたニセモノはすぐに起き上がり私の方に走ってくる。
 予想よりも起き上がるのが早かったけど、なんとか準備は間に合った。

「これでも食らえ!」

 そう言って私はニセモノにポーションを投げつけた。
 ポーションの入っている瓶は割れ、中の液体がニセモノにかかる。

「それは【スライムポーション】って言うんだ。飲んだら種族がスライムになっちゃうやつだよ。スライムって確か体全体で吸収するから、かかっただけでも効果が発動するよね!」

 反撃の時間だ。

 私は剣を構えてそう呟いた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...