隠密少女は気づかれたいっ!

ぽん

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50話 早起き

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 翌朝。
 私は2人に起こされた――5時に……

「おふぁよぉ………………」

「ほかりん早く起きてー!」

「もう5時ですよことねさん!」

 起きるから2人とも私の腕を引っ張らないで!
 そんな強く引っ張ったらちぎれちゃうよ!

「“もう”の使い方間違ってるよことりさん。“まだ”5時だよ……」

「間違ってなんていません! “もう”です、“もう”!」

 普通の人ならまだ寝てる時間なのにぃ……眠たい……

「朝ごはんできてるからほかりんも着替えて早くリビング来てねー!」

「待ってますよ!」

 そう言って2人は先にリビングに戻っていった。

 このまま二度寝しようかなと思ったけど、ここで二度寝したら間違いなく100%、2人に怒られるからすぐに服を着替えてリビングに向かった。

「来たけど眠たい……」

 眠い目をこすりながら私は椅子に座って朝ごはんを食べ始める。
 いつも通りの食パンに目玉焼き。
 2人と一緒の時間に朝ごはんを食べるって地味に初めてかも。

「さっきからずっと気になってたんだけど、どうしてこんな早くに起こされたの私」

 私はパンをかじりながら2人に聞く。

「それはダンジョンに行くからだよー!」

「今から行くの? 早すぎない?」

「影操作を早く試したいなーって」

 スキルを手に入れたら試したくなるのは分かるけど、それにしても早い。

「しょうがないなぁ……。行くのはいいけど、どのダンジョンに行くか決めてるの? それと私武器持ってないよ?」

「私はダンジョンのことは知らないから2人が決めたところでいいよー」

「分かった。ことりさんはどこがいい?」

「わ、私もそこまで詳しくないのでことねさんに決めてもらいたいです……」

「そういうことなら私にまかせて!」

 それから朝ごはんの片付けとかを終わらせてから私たちはゴブリンダンジョンに向かった。
 レベル1の人が行くダンジョンじゃないけど、私とことりさんがいるから大丈夫。
 私の命にかえても涼っちは守るよ!





 ★





 向かってる途中、涼っちの家に寄って木刀を貰っていたから、少し時間がかかってしまった。
 それでもまだ6時30分だけどね。

「着いたよ涼っち! やっぱりこの時間は誰もいないね!」

「初ダンジョン楽しみー!」

「早く行きましょう!」

 元気いっぱいのことりさんと涼っちに両手を引っ張られて私はダンジョン内に入っていく。

「ここがダンジョン? もっと洞窟的なのを想像していたからちょっと違った。でもなんかいいねこの感じ」

 私がEXスライムダンジョンの写真を見せたから洞窟的なのを想像したのかも。

「それはEXスライムダンジョンだけだよ……って涼っちはまだ念話スキル持ってないんだった。悪いけどことりさん通訳みたいなのをよろしくね!」

 ことりさんに通訳みたいなのを頼んだら喜んで引き受けてくれた。
 さすがことりさんだ!



 少しの間、1階層を歩いていると3体のゴブリンが前から姿を現した。
 1階層でモンスターと遭遇するのって結構珍しい気がする。

「2体は私が先に倒しておくよ!」

 そう言って私は2体のゴブリンの頭を木刀で叩くとゴブリンたちは魔石に変わった。
 リフレクトスライムを倒してレベルが60まで上がった私ならゴブリンくらい木刀でも余裕だよ!

「あとは涼っちに任せるよ!」

 少しして涼っちが頷いた。
 私が念話でことりさんにそう言ったのをことりさんが涼っちに伝えるから時間が無駄にかかってしまうし、ことりさんに申し訳ない。
 涼っちには早く念話を手に入れてもらわないといけないね。

「それじゃあいくよ! 影操作!」

 涼っちの声に合わせて影がゴブリンの方に伸びて、ゴブリンの体を拘束した。
 ゴブリンは影を引き剥がそうと暴れているけど、影の拘束はビクともしない。

 そして、拘束したゴブリンに涼っちは近づいて木刀で叩きまくっていた。
 動けない状態で叩きまくられるゴブリンが少し可哀想に見えてきた。

「おっ、レベルが上がった!」

 涼っちがステータス画面を開いてレベルの確認をしている間に私は魔石を拾って【アイテムポーチ】に入れる。
 アイスが減ってきたおかげで【アイテムポーチ】が持ち運べるくらいの重さには戻った。
 疲れてきたら涼っちに持たせよう。
 影で持ったら重くないみたいだし便利な荷物持ちだ!

 そんなことを考えていたら涼っちに睨まれた。
 手を繋いでいるわけでもないのにどうして私の場所が分かるのかな……
 私の考えていることが分かるのは……いつも通りだね……

 ステータスとかの確認が終わった涼っちは鼻歌を歌いながら歩き始めた。
 楽しそうでなによりだよ。
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