隠密少女は気づかれたいっ!

ぽん

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65話 目が覚める

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 家に帰ってきた私たちは少し早めの夜ご飯のそうめんを食べながらステータスの確認をしていた。

 ――――――――――――――――――――――――
 穂刈 琴音ほかり ことね 16歳 レベル72 スキルポイント 1430 
 状態:隠密
 HP:200
 攻撃力:244
 防御力:189
 固有スキル:「隠密」
 スキル:「初級氷属性魔法」「鑑定」「念話」「身体強化」
 装備:【成長の指輪】【力の指輪】【ウッドリング】
――――――――――――――――――――――――
 ――――――――――――――――――――――――
 一ノ瀬 涼花いちのせ すずか 16歳 レベル20 スキルポイント80 
 状態:正常
 HP:38
 攻撃力:41
 防御力:45
 固有スキル:「影操作」
 スキル:「念話」
 装備:【ルーンネックレス】
――――――――――――――――――――――――
 ――――――――――――――――――――――――
 宮倉 小鳥みやくら ことり 17歳 レベル59 スキルポイント 1680
 状態:正常
 HP:126
 攻撃力:129
 防御力:125
 固有スキル:「正直」
 スキル:「念話」「初級水属性魔法」
 装備:【ウッドリング】
――――――――――――――――――――――――

 私は1だけレベルが上がっていて、涼っちは4、ことりさんは2だけ上がっていた。
 やっぱりゴブリンダンジョンだと、私とことりさんはほとんど上がらないね。

「ねぇねぇ、2人とも明日はどこのダンジョンに行きたい?」

 みんなが揃っているこの時間に明日の予定を決めておく。

「前に行った骨のダンジョンにしませんか? あっ、でも、それだと涼花さんが行けないですね……」

 強い固有スキルを持っているとはいえ、Cランクダンジョンに行くにはレベルが全然足りない。
 私とことりさんがサポートしたら行けないことはないと思うけど、念の為だ。

「なら今日と同じでゴブリンダンジョンにしよっか!」

「あのー、そのー、私明日から授業始まるんだー……」

「それで?」

「だから、放課後はダンジョンに行けなくなるってこと……」

 そうだった。
 今日は授業が無かったからたまたま行けただけで、普通だったらダンジョンに行く時間なんて無いんだったよ。

「それなら平日は2人で骨のダンジョンに行って、休日は涼っちのレベル上げをするってことにしよっか! ていうか涼っちなら1人でもゴブリンダンジョンくらい余裕でクリアできるんじゃないの?」

 今日だってみんなで行ったけど、ゴブリンを倒したのは全部涼っちだったからね!

「多分1人でもクリアできると思うよ」

「だったら、みんなで行くより1人で行った方が経験値が増えていい気がするんだけど……」

「うーん……でも休日くらいはみんなで楽しく行きたいなー」

 確かダンジョンにいた時もそんなこと言ってたね。

「涼っちがそう言うならみんなで行こっか! ことりさんもそれでいいよね?」

「私もそれで大丈夫です!」

 いつも言っているけど、念の為に聞いておくのは大切だよ。
 まあことりさんのことだから大丈夫じゃないってことはないとは思うけどね。



 それから、夜ご飯を食べ終えた私たちはリビングで用事をしていた。
 私はみんなの武器の手入れ、ことりさんは使った食器とかの片付け、涼っちはテスト勉強だ。

 武器の手入れは毎日はしてないけど、たまーにしている。
 と言っても濡らしたタオルで汚れを拭き取ったりするだけだけどね。

 その横で涼っちは数学の問題を悩むことなくスラスラと解いている。
 こう見えても涼っちはかなり頭がいい。
 私の記憶が正しければ、一学期の期末テストは学年で3番目くらいだったはずだ。
 正しくなくても一桁台には入っていたよ。

 ことりさんはいつも通りって感じ。
 家事は基本、ことりさんがしてくれて、たまに涼っちがしてくれる。
 私がサボってるように見えるけど、そういうわけじゃない。
 代わるよって言っても2人が代わってくれないから、できないだけだよ。

 そんな感じで各自用事をしていると誰かのスマホが鳴った。

「あ、ママからだ」

 どうやら涼っちのスマホに電話がかかってきたみたい。

「電話出るから2人とも静かにしてね!」

 私とことりさんは静かに頷く。

「もしもし、ママ。こんな時間にどうしたの―――って、えっ……ほんとに!!? 分かった、すぐにほかりんを連れて行くよ!」

 そう言って涼っちはすぐに電話を切った。

「私を連れて行くとか言ってたけど、何かあったの?」

「落ち着いて聞いてね」

 落ち着いて聞いてってそんなに大事な話しなのかな?

「うん、分かったから早く言ってよ」

「なら言うね。ついさっきほかりんの妹ちゃんの目が覚めたんだて」

「えっ、あっ……うそ、まって………………は? 嘘じゃないよね?」

「ほんとだよ! それでママがほかりんを病院に連れてきてって言ってたの」

「…………………………」

 しばらくの間、目からポロポロと零れる大粒の涙が止まらなかった。
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