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帰り道、一人で俯きながら歩く。
一人で帰りたいなんて驚かせてしまった。
初めてかもしれない。
一人ってこんな静かで気楽なんだ。
あぁ…たまには一人がいいな。
アパートの
自宅の階まで階段で上がる。
しんどい。
でも、いまの俺にはこれくらいがいい。
鍵を差し込んで扉を開ける。
うちは母親は男作って出て行ったし、父親はいい加減で夜中まで帰ってこない。
兄弟はいないから一人だ。
また、この無機質な部屋へ帰ってきた。
全てが俺の心情を表しているみたいだ。
泣きそうに顔が歪んだ瞬間、後ろからいきなり玄関の段差に叩きつけられた。

「!?いてぇ!!」

恐る恐る振り返って驚く。

「成海…なんで」

後ろで腕を縛られる。
次にはいっきにズボンを下着ごと下ろされる。

「まって、なるみっ、なに!?」

「…黙れ…お前、朝のあれ、なんだよ」

「だからっ、なんもないって…」

「そうかよっ…」

吐き捨てられ、次には尻に冷たい液体が垂らされた。

「ひぃっ!!」

尻に塗りこまれ、割れ目に手を添えられズボッと指を差し込まれる。

「うわあ"ぁぁぁっ!!!!?」

また涙が流れる。
グチャグチャとかき回され、ひときわ太いのを当ててくる。
それは躊躇いなくいっきに奥まで押し込まれた。

「ゔあ"ぁぁぁぁぁっ!?!!!」

いたい、いたい、いたい、いたい、悲しい、嫌だっ…。
好きな人にレイプされること以上に悲しいことはない。
嫌だ、嫌だ。
涙はどんどん出てくる。
そんな俺に構わず、ズプズプ抜き差ししてくる。
強引な律動に尻が切れたのが分かる。
痛いって…。
床に垂れるのは、成海の精液と、ローションと赤い血。
やめて、嫌だ、成海っ…。
そんな思いも通じず、欲のままに奥に精液を放たれた。
ズルりと抜けたそこからゴポリと赤と白の液体が滑り出てくる。
涙と鼻水で顔はグチャグチャだ。
俺はそれでも泣きながら成海を睨みつける。
目が合う。
すぐに逸らされた。
何でこんな悲しいんだ。

「ば、ばかやろぉぉっ!!かえれぇ!」

近くにあった、ゴム製の靴を掴んで投げつけた。近くにある靴を掴んでは投げ掴んでは投げる。近くに靴が無くなった。
その時を狙って成海が近づいてきた。

「いや、嫌だっ、くんなっ」

後ずさりすれば靴を脱いで上がってくる。不法侵入だって!
家の中に逃げ場なんて無くてすぐに捕まえられた。

「はぁ…っ、本田…」

腕を引かれて抱き締められる。
途端に大人しくなる俺。

「お前…ちょっとは、俺の話聞け…」

「嫌だ…聞きたくないっ」

「聞けって」

唇に触れるだけの優しいキスをされる。

「無理矢理して悪かった。次は気持ちよくするって言ったのにな…。お前が何も言わないから、ムカついた。俺が何かいう前にお前のことが先だ…朝のこと話せ。…俺のクラスまで流れてきた。あんたが廊下で泣いてたって…」

言われて息が詰まる。
言えない。
そんなこと。
でも、言うことはある。

「成海が…俺が女とヤッても気にしないって言った…」

「…なに、それで泣いたの」

頷いたら笑って頭を撫でられた。
うぅ…。

「可愛い…お前の勝手だってことだ。俺の意見お前に押し付けるわけにはいかないだろ…」



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