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部活に入ろう!
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部活説明会を経て、つかさに誘われた陸上部の体験入部にも行ったけど、イマイチしっくりこなかった。
「うーん、こうなったら片っ端からお邪魔しようかな」
そんなことを考えてたら、目の前に見知った人が通りかかった。
「こんにちは!あまね先輩」
「こんにちは、まどか君、こんなところでどうしたのかな?」
そう言って微笑むあまね先輩の笑顔は、包み込まれるようなやわらかい雰囲気ですごく癒される。
「実は、部活動をどうしようか迷ってまして」
「それならいい部活があるよ、おいで」
あまね先輩の後についていくと、そこは演劇部の部室だった。
「あれ?あまね先輩って生徒会とかじゃないんですか?」
「ん?ああ、入学式の時はよし君に頼まれて生徒会の仕事手伝ってただけだよ」
「よしくん?」
「伏見生徒会長のことだよ、幼馴染なんだ」
へー、2人は幼馴染なのか、だから入学式の後2人で話してたんだなーと納得する。
あまね先輩に案内されて部屋に入った僕は、部室の中を見渡す。
演劇で使ったと思われる衣装や小道具が散乱していた。
「今日は僕以外の部員は休みだから誰もいないんだけど、部室の雰囲気だけでもね」
「あまね先輩は休みじゃないんですか?」
あまね先輩は周囲に視線を廻して苦笑する。
「見たらわかると思うけど、ちょっと整頓しようとおもってね」
「なるほど、よかったら手伝いますよ!」
「いいのかい?」
「いいですとも」
先輩ともっと仲良くなりたい僕は、快く片付けを手伝う事にする。
さすが演劇部だって色々な衣装がある、片付けの最中に僕はその中の1つ、王子風の衣装を手に取る。
「よかったら来てみるかい?」
「いいんですか?」
僕はあまね先輩に言われて、部屋の片隅にある簡易の更衣室で王子服に着替える。
「んー、ちょっと丈が長いかもね」
あまね先輩は優しくフォローしてくれたが、自分でも明らかに身長がたりてないとわかり落ち込む。
「まどか君の身長だと、これがぴったりなんだけど.....」
そう言ってあまね先輩から差し出された衣装は、お姫様が着るようなドレスだった。
「せっかくだから着てみる?恥ずかしいなら僕もいっしょに着るけど」
「人生なにごとも経験ですし、あまね先輩のドレス姿もみてみたいし、着てみようと思います」
僕たちは更衣室の中と外でお互いに着替える。
「どう?着れたかな?」
「はい」
「それじゃ開けるよ」
そう言ってカーテンが開かれると、ピンク色のロングのドレスとロングヘアーのウィッグを装着したあまね先輩の姿に目が奪われる。
普段のあまね先輩とちがって、ピンクがかもしだす妖艶さが、やわからい印象のあまね先輩に小悪魔の要素がたされて、その、すごくえっちです。
「先輩...とても.....綺麗です」
語彙力のない自分を殴りたい。
「ありがとう、こっち来て、ウィッグつけてあげる、あ、その前に背中のファスナー締めるね」
頭にウィッグを装着した僕は鏡の前に案内される。
「こ、これが僕」
ショート丈の黄色いドレスに、ミディアムヘアの金髪のウィッグをつけた僕が鏡に移り出される。
その後ろでは、あまね先輩が僕の両肩に手を回している。
「やっぱり、まどか君を演劇部に呼んで正解だったよ」
そうボソッと呟いた声を拾った僕は、声の方向に振り返り、思ったよりあまね先輩と顔が近い事に焦ってしまう。
「あっー」
態勢を崩し、後ろに倒れそうになるのをあまね先輩がとっさに僕の後頭部に手をまわし、倒れこむ僕が床に頭をぶつけないように対応する。
「いてて、大丈夫まどか君?」
「は、はい、すいません、あまね先輩こそ大丈夫ですか」
仰向けで床に倒れ込んだ僕の上に、あまね先輩が密着して倒れこむ。
その状態からあまね先輩が顔をあげると、お互いに顔が近く、思わず顔が赤くなる。
「あーちゃん、片付けは終わりそうか?」
お約束のタイミングで演劇部の扉がひらかれると、そこには生徒会長がいた。
「.....お邪魔したかい?」
「え、いや、これは違うくて」
慌てる僕をよそに、立ち上がったあまね先輩は手を差し伸べる。
あまね先輩に引っ張り上げて貰った僕は、ドレスの裾をパンパンはたき改めて生徒会長の方をみる。
「はじめまして、一年の九条 円っていいます、まどかって呼んでください、今日はあまね先輩に誘われて部室見学にきてました」
「ああ、はじめまして、生徒会長の伏見 良馨(ふしみ よしか)だ、よろしく、まどか君」
「こちらこそよろしくお願いします、あ、僕着替えますね」
恥ずかしくなった僕はウィッグを外し、そそくさと更衣室に入る。
外ではあまね先輩が、伏見先輩に事態を説明しながら服を脱いでいるのか、衣摺れの音が聞こえる。
服を着替えた僕が外に出ると、やはりあまね先輩も着替えてて、いつもの先輩に戻っていた。
チラッと時間をみると、時刻は下校時間を回っていた。
そろそろ帰らないとトシに怒られるかもしれない。
「今日はありがとうございました、片付けしてたのにあまり手伝えなくすいません」
「こちらこそ、ごめんね長く引き止めちゃって、残りの片付けはよし君とやって帰るから大丈夫、またね」
「はい!お世話になりました」
そういって僕は部室からでて学校を後にした。
◇
家に帰った僕はお風呂上がりのフルーツ牛乳を一気飲みする。
「ぷはー、やっぱお風呂上がりの牛乳は最高だよね」
牛乳を飲み終わった僕にトシが声をかける。
「まどか様、寝る前にちゃんと明日の準備してくださいね、そうじゃないと朝に慌てるのはまどか様ですからね」
いつものトシの小言に口をとぎらせる。
「毎日言わなくてもわかってるよ、もー」
僕は部屋に戻り、明日使うテキストを鞄に突っ込んでいくと、なにかが手に当たる。
「ん?なんだこれ」
ごそごそと鞄の中をまさぐると、見たこともない風邪薬のような瓶が出てきた。
中に入ってる錠剤は色とりどりで少し怪しい、これやばいやつじゃないよね?
僕はどうしようか迷ったけど、今日演劇部の部室に訪れたことを思い出す。
もしかしたら、その時に紛れ込んだものかもしれない。
こんな事なら、あまね先輩の連絡先聞いておけば良かったと反省しつつベッドに潜り込む。
明日朝一に渡すべくいつもより早く登校する旨を、つかさにメールで送信して僕は部屋の電気を消した。
「うーん、こうなったら片っ端からお邪魔しようかな」
そんなことを考えてたら、目の前に見知った人が通りかかった。
「こんにちは!あまね先輩」
「こんにちは、まどか君、こんなところでどうしたのかな?」
そう言って微笑むあまね先輩の笑顔は、包み込まれるようなやわらかい雰囲気ですごく癒される。
「実は、部活動をどうしようか迷ってまして」
「それならいい部活があるよ、おいで」
あまね先輩の後についていくと、そこは演劇部の部室だった。
「あれ?あまね先輩って生徒会とかじゃないんですか?」
「ん?ああ、入学式の時はよし君に頼まれて生徒会の仕事手伝ってただけだよ」
「よしくん?」
「伏見生徒会長のことだよ、幼馴染なんだ」
へー、2人は幼馴染なのか、だから入学式の後2人で話してたんだなーと納得する。
あまね先輩に案内されて部屋に入った僕は、部室の中を見渡す。
演劇で使ったと思われる衣装や小道具が散乱していた。
「今日は僕以外の部員は休みだから誰もいないんだけど、部室の雰囲気だけでもね」
「あまね先輩は休みじゃないんですか?」
あまね先輩は周囲に視線を廻して苦笑する。
「見たらわかると思うけど、ちょっと整頓しようとおもってね」
「なるほど、よかったら手伝いますよ!」
「いいのかい?」
「いいですとも」
先輩ともっと仲良くなりたい僕は、快く片付けを手伝う事にする。
さすが演劇部だって色々な衣装がある、片付けの最中に僕はその中の1つ、王子風の衣装を手に取る。
「よかったら来てみるかい?」
「いいんですか?」
僕はあまね先輩に言われて、部屋の片隅にある簡易の更衣室で王子服に着替える。
「んー、ちょっと丈が長いかもね」
あまね先輩は優しくフォローしてくれたが、自分でも明らかに身長がたりてないとわかり落ち込む。
「まどか君の身長だと、これがぴったりなんだけど.....」
そう言ってあまね先輩から差し出された衣装は、お姫様が着るようなドレスだった。
「せっかくだから着てみる?恥ずかしいなら僕もいっしょに着るけど」
「人生なにごとも経験ですし、あまね先輩のドレス姿もみてみたいし、着てみようと思います」
僕たちは更衣室の中と外でお互いに着替える。
「どう?着れたかな?」
「はい」
「それじゃ開けるよ」
そう言ってカーテンが開かれると、ピンク色のロングのドレスとロングヘアーのウィッグを装着したあまね先輩の姿に目が奪われる。
普段のあまね先輩とちがって、ピンクがかもしだす妖艶さが、やわからい印象のあまね先輩に小悪魔の要素がたされて、その、すごくえっちです。
「先輩...とても.....綺麗です」
語彙力のない自分を殴りたい。
「ありがとう、こっち来て、ウィッグつけてあげる、あ、その前に背中のファスナー締めるね」
頭にウィッグを装着した僕は鏡の前に案内される。
「こ、これが僕」
ショート丈の黄色いドレスに、ミディアムヘアの金髪のウィッグをつけた僕が鏡に移り出される。
その後ろでは、あまね先輩が僕の両肩に手を回している。
「やっぱり、まどか君を演劇部に呼んで正解だったよ」
そうボソッと呟いた声を拾った僕は、声の方向に振り返り、思ったよりあまね先輩と顔が近い事に焦ってしまう。
「あっー」
態勢を崩し、後ろに倒れそうになるのをあまね先輩がとっさに僕の後頭部に手をまわし、倒れこむ僕が床に頭をぶつけないように対応する。
「いてて、大丈夫まどか君?」
「は、はい、すいません、あまね先輩こそ大丈夫ですか」
仰向けで床に倒れ込んだ僕の上に、あまね先輩が密着して倒れこむ。
その状態からあまね先輩が顔をあげると、お互いに顔が近く、思わず顔が赤くなる。
「あーちゃん、片付けは終わりそうか?」
お約束のタイミングで演劇部の扉がひらかれると、そこには生徒会長がいた。
「.....お邪魔したかい?」
「え、いや、これは違うくて」
慌てる僕をよそに、立ち上がったあまね先輩は手を差し伸べる。
あまね先輩に引っ張り上げて貰った僕は、ドレスの裾をパンパンはたき改めて生徒会長の方をみる。
「はじめまして、一年の九条 円っていいます、まどかって呼んでください、今日はあまね先輩に誘われて部室見学にきてました」
「ああ、はじめまして、生徒会長の伏見 良馨(ふしみ よしか)だ、よろしく、まどか君」
「こちらこそよろしくお願いします、あ、僕着替えますね」
恥ずかしくなった僕はウィッグを外し、そそくさと更衣室に入る。
外ではあまね先輩が、伏見先輩に事態を説明しながら服を脱いでいるのか、衣摺れの音が聞こえる。
服を着替えた僕が外に出ると、やはりあまね先輩も着替えてて、いつもの先輩に戻っていた。
チラッと時間をみると、時刻は下校時間を回っていた。
そろそろ帰らないとトシに怒られるかもしれない。
「今日はありがとうございました、片付けしてたのにあまり手伝えなくすいません」
「こちらこそ、ごめんね長く引き止めちゃって、残りの片付けはよし君とやって帰るから大丈夫、またね」
「はい!お世話になりました」
そういって僕は部室からでて学校を後にした。
◇
家に帰った僕はお風呂上がりのフルーツ牛乳を一気飲みする。
「ぷはー、やっぱお風呂上がりの牛乳は最高だよね」
牛乳を飲み終わった僕にトシが声をかける。
「まどか様、寝る前にちゃんと明日の準備してくださいね、そうじゃないと朝に慌てるのはまどか様ですからね」
いつものトシの小言に口をとぎらせる。
「毎日言わなくてもわかってるよ、もー」
僕は部屋に戻り、明日使うテキストを鞄に突っ込んでいくと、なにかが手に当たる。
「ん?なんだこれ」
ごそごそと鞄の中をまさぐると、見たこともない風邪薬のような瓶が出てきた。
中に入ってる錠剤は色とりどりで少し怪しい、これやばいやつじゃないよね?
僕はどうしようか迷ったけど、今日演劇部の部室に訪れたことを思い出す。
もしかしたら、その時に紛れ込んだものかもしれない。
こんな事なら、あまね先輩の連絡先聞いておけば良かったと反省しつつベッドに潜り込む。
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