天才令嬢の憂鬱

１

　ダウンロード、ダウンロード、ダウンロードダウンロード↓


ダウンロードダウンロードダウンロードダウンロードダウンロードダウンロードダウンロードダウンロードダウンロードダウンロードそしてこのままアップロード、アップロード、アップロード↑

アップロードアップロードアップロードアップロードアップロードといきたいところだがちょっとここで待ってほしい。落とした時の勢いはそのままに、だが冷静に落ち着いて考えなければならないものがある。

それはタイトル、そしてサムネイルである。この二つの調和で生ごみもダイヤモンドに、また逆もしかりだ。

内容より釣りと言われても良い、まず見てもらわなければ話にならない。勝負の９割はここで決まる、

人間は見た目が十割というがそれと同じなのだ。



キャプチャー、キャプチャー、キャプチャ、これもキャプチャ、あれもキャプチャ、それもキャプチャ…

ダウンロードできない動画、アップロード者本人、もしくはその動画を転載したものが後からつけたロゴマークがあるために丸ごと保存できないものはこのやり方にするのが無難だ。

どれくらいの動画をダウンロードしてキャプチャしたであろう？別のところにアップロードし直すたびにこまめに消しているつもりだがPCが重くなっていくのを感じる……。

仮想通貨を採掘するというほどではないけれどもやはりスペックは高いに越したことはないのだろう。



アップするたびに仕事をしたという充実感とともに自分の中のなにかが

すり減っていく感じを受ける。もちろん転載だって一つの作業であり神経が磨り減るのは

当然だろう。PCとにらみ合いしてるだけで目は疲れ体がだるくなる、がそれとは違う何か……

何か自分の中の大事なものを失っていくような感じ……



何度この馬鹿気た真似をやめようと思ったことか！？



これほどまでになんの生産性もない作業がほかにあろうか？　いやないだろう。断言できる！

そう、あってはならないのだ。何から何まで腐れたゴミのような所業をそもそも仕事はおろか

作業として扱うことすら愚かしい、あってはならないことだ。

けれどやめられない……


もちろん対価を得られるからだ。王太子に「お前との婚約を破棄する」とそう言われてからずっと明日からどうやって暮らしていけるかを考えるのに必死だった。コンビニ店員、ファミレス、トラックドライバーなんでもやった。しかし得られるのは恐ろしいほどの疲労とわずかな賃金だけだった。こんなやり方を見つけるまでは……