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 今日は私の20回目の誕生日パーティーが華やかに王宮で執り行われています。

 私は薔薇が好きなので、前もって国中からは沢山の薔薇の花が送られてきており、パーティー会場は勿論、廊下や階段、宮殿の至るところが薔薇の匂いに包まれています。

 パーティー会場には国内外の王族、貴族がお祝いに駆けつけ、お祝いの言葉を述べてくれたり、品物を手渡してくれたりしています。毎年、このように沢山の方に祝われて私はとても幸せです。

 パーティーの中盤になり、私は一旦会場から出ようと、出口に向かうため、踵を返すといきなり腕を掴まれ、身体がよろけてしまい、毛足の長い絨毯に転んでしまいました。

 ちょっと痛い。

 「リリアンヌっ!!お前とは婚約を解消するっ!俺というものがありながら他の男にエスコートされ、イチャイチャしているなど、理解出来んっ!!たかがお前は顔がいいだけだっ!!俺はこのエリザベスと婚約するっ!反論は認めんっ!!」

 何なの!?

 誰なのあなたは!?

 「あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?」

 キッと、腕の主を睨み上げるけれど、初対面だ。だが、ああ、知ってる顔だ。

 周りはザワザワとし始め、慌てて男性が飛んできて、マリアンヌを抱きおこす。が足を痛めたようだ。自力で立っていられず、それに気づいた男は抱き上げてくれた。

 「はっ!!ふしだらだな、リリアンヌっ!この場で未婚の女がそんな風に男に抱き上げられるなんて。売女めっ!!」

 静かになったその場に、控え目な声が割って入る。

 「あの~、宜しいでしょうか?」

 割って入ったのは、私に瓜二つの双子の妹、リリアンヌだ。マリアンヌを引き倒した男は唖然としている。

 「リリアンヌが2人!!」

 「私がリリアンヌですが、そもそも私はあなたとの婚約はお断りしております。私には婚約者がおりまして、来月結婚予定ですのよ?ねえ、ミシェル様」

 リリアンヌが顔を向けると、第2王子が現れた。

 「流石に他に結婚を前提にした婚約者がいるんだから、新たに婚約はしないな?しかもおお前が引き倒した女性が誰だかわかっているのか?」

 「ああっ!?リリアンヌじゃ無いなら、そんな売女知らね~よ」

 その途端、会場は凍りついた。

 ああ、この一族、滅びるわ・・・。

 悪魔の様に薄っすらと笑みを浮かべた男は低い声で言い放つ。

 「ほう。人の妻に売女呼ばわりとは。貴様の一族は命がいらないらしいな!?」

 「おっ、王太子殿下っ!!誠に、誠に申し訳ございませんっ!!愚息が大変失礼を致しましたっ!!」

 ガバッと禿げ上がった男が、その場にひれ伏した。

 「あ!?親父、何やってんだ!?」

 「馬鹿者っ!!王太子殿下に非礼を詫びろっ!!」

 「お、王太子・・・殿下?王様の子供?」

 「馬鹿者っ!!いい加減にしろっ!」

 禿げ上がった父親は、1度立ち上がり、息子を土下座させ、自分も横で再度ひれ伏した。

 「ベンジャミン伯爵、そなたの愚息は我妻を間違え、暴力を働き、また、我が弟の婚約者も辱めようと、このパーティーをブチ壊そうてした。しかも、次代の王になりうる王太子の私の顔を知らぬとは、貴族でいる意味がないな!?たった今をもって、ベンジャミン伯爵家は取り潰し、領地は国に返還するものとする。近々新領主は発表する。そなた等は平民になるがいいっ!」

 「あっ、うっ、そ、そんなっ!王太子殿下っ!!お待ち下さいっ!!」

 「なんだアイツっ!!」

 「馬鹿息子めっ!!お前のせいだっ!!」

 「ホラ平民は去れっ!!」

 騎士達は2人を王宮の外に追い出した。




 「マリアンヌ、大丈夫か?」

 先程までは悪魔の様な顔をしていた男は、マリアンヌを心底心配そうにみている。

 「あなたが助けてくれたから平気よ?足も少し腫れてしまっているけれど。湿布を貼ればじきに治るわ」

 「ああ、労しいな・・・」

 「お姉様、申し訳ありませんでした」

 リリアンヌは頭を下げるが

 「いいえ、あなたが悪い訳ではないわ。気にしないで頂戴?」

 そして私はニッコリと微笑んだ。



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