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面接当日、待ち合わせの10分前に駅に着いた。ここからは歩いてすぐの会社だと昨日聞いた。
ここって、Jエンタープライズのある最寄駅だ。音楽業界に片足を突っ込んでいる桜には憧れの場所だ。そう、桜は大学からバンド活動をはじめ、いつかはデビューしたいと夢を見て派遣社員をしながらバンド活動頑張り中なのだ。
「あ、有村さん。早いですね。昨日はお疲れ様でした。問題無く終われましたか?」
「あ~、はい。約1名にしつこく連絡先聞かれましたが何とか逃げました」
たまにいるのだ。
うっかり連絡を教えてしまって、以前大変な目に合いそうになったので、それ以来派遣先では連絡先を教えない事にした。
「それは・・・、大変でしたね。稀に他の派遣の人からも相談受けます。もし、今後そういった事があればすぐに相談して下さいね」
真剣な眼差して言われると照れてしまう。
「あ、着きました。このビルですよ」
ひゃあ!
ここって!
「こ、この会社ですかっ」
「ええ、知ってますかって、知ってますよね~。バンドやってますもんね」
正面の入り口から入り受付で担当部署に連絡を入れてもらい、入館証を首からぶら下げてエレベーターに乗り込む。
チンと目的のフロアに着き面接の部署に行く。会議室が準備してあるようで再び廊下に出る。
案内してくれた社員の人がコンコンっと会議室のドアをノックして扉を開け、中に入るように促してくれる。
「どうぞ、そちらに座ってください」
松田さんと同年代かな?比較的若い。
「失礼します」
と座り、面接担当の顔を見た瞬間、桜は固まってしまった。そして
「リョウ!」
と、つい口から出てしまった。
あわわわっ。
しまった。
本人に間違いないと思うけど、もしかしたら違うかもしれない。
ひゃ~、どうしよう。
「なんだ、リョウ知り合いだった?」
松田さんはサラリとリョウに聞く。
「あ~、うん。多分最後のファン、かな?」
「へ~、リョウは知ってて俺は知らなかったみたいだけど」
松田さんは何故かちょっと拗ねた感じの話し方になる。
「ああ、俺のライブ一回しか見てないから」
「は?で、お前は覚えられてて俺は覚えられてない?」
「もうお前いなかった。ラストライブだからね、桜ちゃん」
はあ、面接に来たのに何この流れ。
「ま、仕事はすぐに慣れるよ。主に俺のアシスタント。秘書でもいいけど、色々サポートしてもらえると助かる。あと、社内副業OKの会社だから派遣とは別に社内でバイトしてもいいよ」
「はぁ。」
「で、桜ちゃんはいつから働けるの?」
「おい、なんでそんなにフランクなの。会社内でいいのかよ、化けの皮剥がれてるぞ。有村さんは2/1からなら就業できる」
「はい。大丈夫です」
「そう。で、いつ引っ越してくるの?」
「それはまだ話してない。要相談案件」
「そう。じゃ、俺が話す。仕事の内容はさっき言った通り、俺のサポート。公私共に。以上」
「松田さん、すいません。意味不明なんですけど」
横にいる松田さんに助けを求めるが、ニッコリと笑われる。
「大丈夫、有村さんならキチンとお仕事こなせると思うから」
ここって、Jエンタープライズのある最寄駅だ。音楽業界に片足を突っ込んでいる桜には憧れの場所だ。そう、桜は大学からバンド活動をはじめ、いつかはデビューしたいと夢を見て派遣社員をしながらバンド活動頑張り中なのだ。
「あ、有村さん。早いですね。昨日はお疲れ様でした。問題無く終われましたか?」
「あ~、はい。約1名にしつこく連絡先聞かれましたが何とか逃げました」
たまにいるのだ。
うっかり連絡を教えてしまって、以前大変な目に合いそうになったので、それ以来派遣先では連絡先を教えない事にした。
「それは・・・、大変でしたね。稀に他の派遣の人からも相談受けます。もし、今後そういった事があればすぐに相談して下さいね」
真剣な眼差して言われると照れてしまう。
「あ、着きました。このビルですよ」
ひゃあ!
ここって!
「こ、この会社ですかっ」
「ええ、知ってますかって、知ってますよね~。バンドやってますもんね」
正面の入り口から入り受付で担当部署に連絡を入れてもらい、入館証を首からぶら下げてエレベーターに乗り込む。
チンと目的のフロアに着き面接の部署に行く。会議室が準備してあるようで再び廊下に出る。
案内してくれた社員の人がコンコンっと会議室のドアをノックして扉を開け、中に入るように促してくれる。
「どうぞ、そちらに座ってください」
松田さんと同年代かな?比較的若い。
「失礼します」
と座り、面接担当の顔を見た瞬間、桜は固まってしまった。そして
「リョウ!」
と、つい口から出てしまった。
あわわわっ。
しまった。
本人に間違いないと思うけど、もしかしたら違うかもしれない。
ひゃ~、どうしよう。
「なんだ、リョウ知り合いだった?」
松田さんはサラリとリョウに聞く。
「あ~、うん。多分最後のファン、かな?」
「へ~、リョウは知ってて俺は知らなかったみたいだけど」
松田さんは何故かちょっと拗ねた感じの話し方になる。
「ああ、俺のライブ一回しか見てないから」
「は?で、お前は覚えられてて俺は覚えられてない?」
「もうお前いなかった。ラストライブだからね、桜ちゃん」
はあ、面接に来たのに何この流れ。
「ま、仕事はすぐに慣れるよ。主に俺のアシスタント。秘書でもいいけど、色々サポートしてもらえると助かる。あと、社内副業OKの会社だから派遣とは別に社内でバイトしてもいいよ」
「はぁ。」
「で、桜ちゃんはいつから働けるの?」
「おい、なんでそんなにフランクなの。会社内でいいのかよ、化けの皮剥がれてるぞ。有村さんは2/1からなら就業できる」
「はい。大丈夫です」
「そう。で、いつ引っ越してくるの?」
「それはまだ話してない。要相談案件」
「そう。じゃ、俺が話す。仕事の内容はさっき言った通り、俺のサポート。公私共に。以上」
「松田さん、すいません。意味不明なんですけど」
横にいる松田さんに助けを求めるが、ニッコリと笑われる。
「大丈夫、有村さんならキチンとお仕事こなせると思うから」
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