新しい道へ

ゆきりん(安室 雪)

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 翌朝、いつも通りリョウを出勤させた後、桜も出勤する。

 いつもよりも少し遅くなってしまい、バタバタと席に着く。ふぅ~、昨日疲れたし。今日も朝からグッタリだよ。と、ふと気づくと周りで何やらヒソヒソと人の顔を見ながら話しているのが目に付く。付く。付く。何なの~っ!?私の格好なにか変だったかな?考えていると

 「有村さん、今いいかな?仕事の相談で」

 と会議室に行く。

「で、有村さん。直球で聞くけど噂の真相は?どうなの?」

「あの~、何やらヒソヒソしてるのは気が付いたんですけど、内容知らないんですよ。何のお話?」

 心当たりが無いのだ。

「有村さんと部長の婚約話し」

「・・・。はい?」

「朝来たらもうその話題で持ちきりなんだよね。金曜日にはそんな話なかっただろ?なんでそんな話になってるのかなぁと」

 一昨日決まって、昨日の夜話が出ましたからね~。

「まさか、そんな事はないよね?」

 真剣に聞いてくる。興味本意の質問ではないようだ。

「え~と、実はそんな事は・・・」

 無いんです、と言おうとしたが、リョウに仮でと言われていたのを思い出し

「そんな事があるんですね~っ、びっくりですよね」

 引きつり笑顔で答える。

 ちょっと田代夫妻っ!

 どんな広め方なのっ、昨日の夜で今朝よ?


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