新しい道へ

ゆきりん(安室 雪)

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 1週間の仕事が終わり、土曜日は目覚ましをかけず、起きたい時間に起きる。それが桜にとって幸せな時間なのだが・・・。

「桜ちゃん、おはよ~。朝だよ?」

 平日はリョウにキス攻めにされて起きる日々がずっと続いているが、休みの日に声をかけて起こしにくるのは珍しい。

「リョウ・・・?今日はお仕事休みの日だからまだ寝てたいんだけど・・・」

 寝ぼけながらに抗議する。

 すると、リョウは桜の頭をナデナデしながら

「じゃあ、俺と一緒に寝ようか?」

 甘く耳元で囁かれる。

 まだ夢の中の桜は

「・・・う・・ん」

 と意識のないまま、同意していたのだ。



 う・・・ん、この腕、安心する。



 ふと目が覚める。

 目と前にあるのは、リョウの顔。

 リョウの顔!?

 「何で!?」

 しかも、ぎゅっと抱きしめられている。

 桜が動いたので、リョウを起こしたようだ。

「ん?桜ちゃん起きる?」

「何で、リョウ私のベッドに!って、私の部屋じゃない?どうして?」

「桜ちゃん起こしに行ったら、一緒に寝たいって言うから、俺のベッドで一緒寝てたんだよ?。いいね、一緒に寝るの。桜ちゃん不足が癒される」

 えっ、私そんな事言ったかな?

 至近距離でジッと見つめながら

「桜、そろそろ俺だけの桜にならない?」

 後頭部に手を置かれ、ゆっくりリョウの唇が近づいてくる。

『チュッ』と唇か触れ合い、すぐに離れる。

「桜。俺、桜が他の男と話してるのを見ると、それだけで引き離したくなるし、翔がおでこ触れてるのもイヤだ。心狭いと思うけど、桜が他のヤツの所に行ってしまいそうで不安になる。俺だけの桜になって・・・」

 熱く熱く見つめられ『コクン』と首を縦に振る。そしてリョウにしがみ付く


「えっ、俺の見間違いかな。『うん』て言ってるみたいに見えたんだけど」

「仮を取って『婚約者』でお願いしますっ」

 リョウの胸に顔を埋めながら言う。



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