お見合いに代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)

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 綾美は仕事の帰り道、かなり急いで歩いていた。残業は無しの契約なのに、新卒社員がやらかした為、ソレの尻拭いだ。くっそーと思いながら急いで電車に乗り込み目的地に向かう。

 息を切らせてついた場所は、とある高級住宅街のお家。インターフォンを押す前に深呼吸をして息を整える。

「遅くなって申し訳ありません。真理亜・・・です」



 その変な依頼は先週の土曜日、まだ綾美が惰眠を貪っている時にやって来た。前日遅くまでネット小説を書いていたので、朝10時でもまだまだ寝足りない。ソコからの着信は別で設定してあるので、音楽ですぐにわかる。

「もしもし?」

 寝ぼけ声になるが仕方がない。だって、寝起きだもん。

「森田さん、朝からごめんなさいね~。急な依頼があって。内容がちょっと変わってるから、口頭で説明してい~い?報酬関連は後からメールで送るから」

 便利屋の担当は朝からテンション高く話してくる。いつも通りだ。

「はい、お願いします」

 メモとペンを引き寄せながら聞く体勢になる。

「代理なんだけど、ちょっと変わってて。お見合いの代理です。要は現地行って断ればいいんだけどね。依頼主が結構な家柄で、当日は完全にその家のお嬢様になりきって欲しいらしいの。マナーや仕草、勿論、服や髪型まで。で、条件に合うのが森田さんしかいないのよっ。助けると思って是非お願い。後から報酬メールは送るけど、準備期間は1日1万円で当日は5万円、費用は向こう持ち。お願いっ!」

「はぁ。準備期間ってどれくらい?」

「多分、2週間位の予定よ」

 2週間も何するの?しかも昼間は仕事してるから、仕事終わってからと土日しかないよ?

「まあ、私以外いないなら受けますけど・・・」

「ありがと~、森田さんっ!早速メール送るわ。で、もし今日予定無ければ一度クライアントと顔合わせるしたいんだけど、どお?」

「目の下にクマがあってもいいなら、午後から大丈夫です」

 


 そして、担当者と共にクライアントの家を訪れる。高級住宅街だ。そして、一軒一軒が広いっ、家も庭もガレージもっ!その中の家の前で立ち止まり、表札を確認する。『一条』。どうやらココらしい。

 インターフォンを押す。

「どうぞお入り下さい」

 名乗らなくても女性2人なので、心得ているようで、名乗らせなかった。

 通された客間はまさに『お金持ちですが何か?』と言うような豪勢な部屋で紅茶を出される。

 そして待つ事5分程。

 依頼主の奥さんとお嬢さんがやってくる。


 
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