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『来やがった』と呟いた後で、綾美の耳元で『頼む、特別報酬10万出すから』と言う。もうこの場に来ちゃってるし、この場だけならいいかと、綾美は了承する。
「涼さん、お会いしたかったわ。・・・、あらこちらは?」
ちょっと目がつり上がった女性が、綾美をチラ見する。
「ああ、俺結婚しようと思って。今は婚約者。綾美、こちらは後藤 真紀子さん。会社の取引先の社長の娘さんなんだ」
「まあ、はじめまして。いつも二階堂がお世話になっております。あ、お父様にですね。あらでも、涼さん、娘さんとお知り合いになる機会がありましたの?」
「以前、社長に紹介されてね。恋人はいると言ってたんだけどね」
涼は綾美の肩に手を回す。
「浮気は禁止ですよ?涼さん」
ここで、真理亜直伝の真理亜スマイルをいれる。可憐な微笑み、完璧なはずだ。
「あら、ごめんなさいね。後藤さん?」
視線を向けると、苦虫を潰したような顔で彼女は去って行った。
「・・・。そろそろ、手を退けてもらえますか?」
先ほどまでとは違う、あからさまに冷たい声で言う。
「完璧だな、真理亜スマイル・猫被り」
くくくっと、声を殺して笑う。
報酬分は頑張るわよっ!
「お褒めに頂きまして光栄ですわ」
中々手を離さない涼の手をつねり上げる。
「で、綾美。再度依頼だ。婚約者になってくれないか?」
綾美をグッと引き寄せて、耳元でお願いされる。
「お断りします」
そして、今度こそ席を離れティーラウンジを出る。追いかけてこない。諦めたかな?
ラウンジを出て、ホテルの正面から出た所で綾美の横にスッと車が止まりドアが開く。後ろから走ってきた涼に、グイッと押され車に乗せられる。
「ちょっと、何するんですかっ!」
「お前が拒否するからだろう?俺的には話を受けてもらわないと困るんだ」
「は?代理なら他に頼めばいいじゃないですか。別に私じゃなくても」
そう。便利屋に登録している女性は沢山いる。綾美以外にも、若い女性はいるし、破格の報酬が出るならみんな喜んでやると思う。
「いや、俺はお前がいい。その顔、性格、真理亜もどき」
「だったら真理亜さんにお願いして下さいっ」
「一条夫人に断られたから無理だな。俺、こないだ別れ際に言ったよな『今日は解放してやるよ。次は分からないがな』と」
「私は次に会うつもりはありませんでしたっ!あなたが一条夫人に頼んだんでしょ?」
「ああ、でもお前は来た」
涼は綾美の頤を掴みじっと目を見つめる。
「だ、だって一条夫人の依頼だったから。あなただと分かってたら、絶対に・・・っ」
綾美は最後まで文句を言い切る事が出来なかった。綾美の文句も、ソレを言う唇ごと涼に塞がれてしまったのだ。
「涼さん、お会いしたかったわ。・・・、あらこちらは?」
ちょっと目がつり上がった女性が、綾美をチラ見する。
「ああ、俺結婚しようと思って。今は婚約者。綾美、こちらは後藤 真紀子さん。会社の取引先の社長の娘さんなんだ」
「まあ、はじめまして。いつも二階堂がお世話になっております。あ、お父様にですね。あらでも、涼さん、娘さんとお知り合いになる機会がありましたの?」
「以前、社長に紹介されてね。恋人はいると言ってたんだけどね」
涼は綾美の肩に手を回す。
「浮気は禁止ですよ?涼さん」
ここで、真理亜直伝の真理亜スマイルをいれる。可憐な微笑み、完璧なはずだ。
「あら、ごめんなさいね。後藤さん?」
視線を向けると、苦虫を潰したような顔で彼女は去って行った。
「・・・。そろそろ、手を退けてもらえますか?」
先ほどまでとは違う、あからさまに冷たい声で言う。
「完璧だな、真理亜スマイル・猫被り」
くくくっと、声を殺して笑う。
報酬分は頑張るわよっ!
「お褒めに頂きまして光栄ですわ」
中々手を離さない涼の手をつねり上げる。
「で、綾美。再度依頼だ。婚約者になってくれないか?」
綾美をグッと引き寄せて、耳元でお願いされる。
「お断りします」
そして、今度こそ席を離れティーラウンジを出る。追いかけてこない。諦めたかな?
ラウンジを出て、ホテルの正面から出た所で綾美の横にスッと車が止まりドアが開く。後ろから走ってきた涼に、グイッと押され車に乗せられる。
「ちょっと、何するんですかっ!」
「お前が拒否するからだろう?俺的には話を受けてもらわないと困るんだ」
「は?代理なら他に頼めばいいじゃないですか。別に私じゃなくても」
そう。便利屋に登録している女性は沢山いる。綾美以外にも、若い女性はいるし、破格の報酬が出るならみんな喜んでやると思う。
「いや、俺はお前がいい。その顔、性格、真理亜もどき」
「だったら真理亜さんにお願いして下さいっ」
「一条夫人に断られたから無理だな。俺、こないだ別れ際に言ったよな『今日は解放してやるよ。次は分からないがな』と」
「私は次に会うつもりはありませんでしたっ!あなたが一条夫人に頼んだんでしょ?」
「ああ、でもお前は来た」
涼は綾美の頤を掴みじっと目を見つめる。
「だ、だって一条夫人の依頼だったから。あなただと分かってたら、絶対に・・・っ」
綾美は最後まで文句を言い切る事が出来なかった。綾美の文句も、ソレを言う唇ごと涼に塞がれてしまったのだ。
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